成績概要書(2003年1月作成)
課題分類 : 研究課題 :バガスおよびバガスと廃材チップ混合物の牛舎敷料および堆肥化副資材への利用 (バガスの敷料利用および堆肥化試験) 担当部署 :道畜試 環境草地部・畜産環境科,家畜生産部・肉牛飼養科 協力分担 : 予算区分 :受 託 研究期間 :2001年度 |
1. 目 的
さとうきびから糖分を搾り採ったあとの残滓であるバガスは世界中で年間約2億8千万トン発生しており、その利用拡大が求められている。本試験では、バガスおよびバガスと建築廃材チップの混合物について、牛舎敷料および堆肥化副資材としての利用性を検討した。
2. 方 法
1) 供試資材
(1)バガス;製糖過程で排出されるサトウキビの残滓。天日乾燥後に200℃で強制乾燥し、圧縮梱包されベトナムから輸入されたもの。価格約3万円/t(平成14年現在,運賃込み)。
(2)混合物:バガスと廃材チップ(建築廃材を破砕処理したもの、平均粒径2.1mm)を当容量混合したもの。
2) 肥育牛への敷料利用試験
バガス(バガス区)、廃材チップ(チップ区)およびそれらの等容量混合物(混合区)を肥育牛5頭を飼養する牛房に敷き込み、3×3ラテン方格法で試験を行った。調査項目:資材特性(材料水分含量・容水量)、敷料状態(厚み・表面水分含量)、供試牛の行動・飼料摂取量。
3) 堆肥化副資材としての利用性の検討
バガス(バガス区)、廃材チップとバガスの等容量混合物(混合区)、廃材チップ(チップ区)、オガコ(オガコ区)を、それぞれ水分約68%となるように乳牛ふんと混合し、各0.5m3を箱型容器に詰め堆肥化した。試験期間:75日間(27・53日目に切返し)。調査項目:資材特性(水分、容積重、各種成分)、品温、水分、灰分、pH、C/N等。
3.成果の概要
1) 肥育牛への敷料利用試験
(1)バガスおよび混合物の水分率は10%前後で、対照とした廃材チップと同程度であった。乾物重量当たりの容水量はバガスが最も高く、混合物、廃材チップの順に低下した(図1)。
(2)敷料表面の水分含量や牛の行動(図2)および飼料摂取量に資材間の差はみられなかった。敷料の厚みの低下速度はバガス区と混合区で、チップ区に比べ緩やかな傾向がみられた。
(3)バガスは敷料交換時に多量の粉塵が発生したが、廃材チップを混合利用した場合は粉塵の発生は緩和された。
2) 堆肥化副資材としての利用性の検討
(1)堆肥化試験に用いた副資材の水分率は、オガコに比べ、バガス、混合物および廃材チップで低かった(表1)。容積重は廃材チップやオガコに比べ、バガスおよび混合物で低かった(表1)。また、バガスは廃材チップやオガコ等の木質系の資材に比べ、ヘミセルロース含量が高くリグニン含量が低かった(表1)。
(2)バガス区は、堆肥化過程での有機物分解率(図4)が他の区に比べ顕著に高く、発酵熱(図3)による水分含量の低下や減量化がはかられた。
(3)混合区は、バガス区よりも有機物分解率(図4)は劣るものの、オガコ区やチップ区よりも品温の積算値(表2)が高く、水分含量の低下や減量化がはかられた。
以上の結果、バガスおよびバガスと廃材チップ混合物は牛舎敷料として利用することが可能で、堆肥化副資材としても容積重が低く易分解性有機物を多く含むため、発酵温度が高まり、水分含量の低下や減量化がはかられる等の点から有効な資材であることが明らかになった。
図3 発酵温度と外気温の推移
4. 成果の活用面と留意点
1)牛舎敷料および堆肥化副資材として利用できる。
2)バガスを単独で用いると、敷料交換作業時に多量の粉塵が発生する。
3)廃材チップは「建設工事に関わる資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」に基づき、適切に分別解体され防腐処理材が除去されたものを利用する。
5. 残された問題点とその対応