成績概要書(平成15年1月作成)
課題分類:
研究課題:汎用コンバインによる水稲直播用種子の収穫技術
(水稲直播用品種種子の機械収穫乾燥実用化)
担当部署:道立中央農試 生産システム部 機械科、栽培システム科
担当者名:
協力分担:なし
予算区分:道費
研究期間:2000〜2001年度(平成12〜13年度)

1. 目  的
汎用コンバインにより、水稲直播用種子の低温発芽率および苗立率を低下させない収穫条件を明らかにする。

2. 方  法
 1) 品種名:「ゆきまる」
 2) 場 所:岩見沢試験地グライ土水田、苗立率調査のみ岩見沢試験地泥炭土水田
 3) 栽培概要:成苗ポット,34日苗 平成12年4/18播種,5/22移植 24.0株/㎡(33cm×12.6cm)
                       平成13年4/18播種,5/22移植 23.1株/㎡(33cm×13.1cm)
 4) N施肥成分量(kg/10a):平成12年 全層4、側条4,平成13年2水準 標肥区:全層4+側条4 多肥区:基肥(全層4+側条4)+出穂期追肥(表層14)
 5) 供試収穫機:汎用コンバイン(刈り幅約2m)シリンダ周速度23.8(標準),21.8,19.9m/s
 6) 供試乾燥機:実験用熱風乾燥機 通風ビン直径21cm、高さ18cm 4ビン
 7) 調査項目 :脱穀選別損失、籾組成、玄米の損傷程度,発芽率 種子予措 塩水選(比重1.10)平成12年産籾 2001/2/5置床 25℃区 置床後8日目まで,15℃区 置床後21日目まで調査
 平成13年産籾 25℃区2002/2/4,15℃区2002/2/18置床25℃区 置床後6日目まで,15℃区 置床後12日目まで調査。圃場における苗立率 平成12年産籾,2001/5/17日播種,カルパー粉衣なし手播き,100粒4反復、6/5,6/19調査、平成13年産籾,カルパー粉衣処理およびカルパー粉衣なし2002 /5/16 シードテープ播種,100粒4反復,6/7,6/21調査

3. 成果の概要
 1) 「ゆきまる」を汎用コンバインで収穫した結果、刈取水分24〜26%では、種子籾の15℃発芽率および圃場での苗立率ともに,はさ掛け乾燥した籾と同等であった。刈取水分28〜29%では15℃発芽率は低下しなかったが,圃場での苗立率は低下した(図1,図2)。種子(玄米)の損傷程度が大きいほど圃場における苗立率は低下し,機械的損傷が苗立率低下要因の一つと考えられた(図3)。
 2) 脱穀時の損傷低減のため,汎用コンバインの機関回転数を下げ,シリンダ周速度を低下させた場合,15℃発芽率や圃場での苗立率ははさ掛けとほぼ同等となるが(図1),流量が低下するとともに、脱穀選別損失、枝梗付着粒率が増加する(表1)。このため、汎用コンバインの運転条件は回転数を落とさない通常運転で使用する。
 3) 汎用コンバインで収穫した籾を熱風温度30℃および35℃で乾燥した結果,15℃発芽は常温通風乾燥と大きな差はなく,熱風温度による差も認められない(図4)。
 4) 以上のことから,汎用コンバインによって,15℃発芽率を低下させずに直播用種子の機械収穫が可能であり,圃場における苗立率から判断して,籾水分が26%未満となった時に収穫を行うことが望ましい。


 図1 刈取水分と15℃発芽率(H12、H13「ゆきまる」)
    (図中の数字は汎用コンバインのシリンダ周速度)


 図2 刈取水分と圃場苗立率(H12、H13「ゆきまる」)


 図3 玄米の損傷程度と圃場苗立率(H12、H13「ゆきまる」)


 図4 乾燥温度と15℃発芽率(H12、H13「ゆきまる」)



4. 成果の活用面と留意点
 1)直播栽培を導入する際の指標となる。
 2)網走地域遠紋部については酪農中核地帯であるので試算の対象とはしていない。

5. 残された課題とその対応
 1)直播栽培における災害的な低収の発生に対する対策技術の開発
 2)網走地域遠紋部および道央地域における直播栽培導入効果