成績概要書(平成15年1月作成)
課題分類:
研究課題:粒厚選別と色彩選別の組み合わせによる玄米品質および歩留向上技術
担当部署:北大 農学研究科 農産物加工工学研究室
担当者名:
協力分担:道立中央農試 生産システム部 機械科
予算区分:経常
研究期間:2001〜2002年度

1. 目  的
 1等米の調製を前提として選別歩留の向上をはかるため,粒厚選別機と色彩選別機とを組み合わせた新しい玄米選別技術を開発する

2. 方  法
 1) 供試材料 2001年北村産「きらら397」,2001年美唄産「ほしのゆめ」
          2002年北村産「きらら397」,2002年長沼産「きらら397」
 2) 供試選別機 
   粒厚選別機 回転式縦目篩選別機(サタケ製 TWS)
   色彩選別機 異物選別機能付玄米色彩選別機(安西製作所製GDM−120またはGDM−90)
 3) 調製条件
  粒厚選別機篩目
  「きらら397」  1.80mm,1.90mm,2.00mm
  「ほしのゆめ」  1.75mm,1.85mm,1.95mm
  色彩選別機  粒厚選別を行ったそれぞれの試料について一等米調製を目標にセンサ感度調整
  「きらら397」 2.00mm,「ほしのゆめ」1.95mm  選別歩留の向上
  「きらら397」 1.80mm・1.90mm,「ほしのゆめ」1.75mm・1.85mm 未熟粒等の除去
 4) 調査項目
 選別歩留,組成(静岡製機製品質判定機RS−2000Xで1000粒および目視 5反復),粒厚分布5反復,検査等級,搗精歩留2反復,タンパク質含有率(ブランルーベ製InfraAnalyzer−2000による4反復),食味評価(日本穀物検定協会北海道支部に委託2001年滋賀県湖南産の日本晴を基準米とし,2001年北村産「きらら397」についてのみ実施)

3.成果の概要
 1)粒厚選別機の篩の網目サイズを現行の「きらら397」で2.00mm,「ほしのゆめ」で1.95mmよりも各々0.1mm小さくし,「きらら397」で1.90mm,「ほしのゆめ」で1.85mmとして玄米の粒厚選別を行った後、色彩選別機によって未熟粒等を除去し,一等米の調製を前提として選別した結果,現行の調製方法に比べ,検査等級,玄米白度,精米蛋白含有率および整粒割合は同等またはそれ以上で、選別歩留は向上した。年次,産地、品種の異なる米で同様の結果が得られた。また、2001年産米で搗精歩留が増加し、同年の北村産「きらら397」では食味がわずかに向上した。
 2)現行の粒厚選別機の篩の網目サイズを小さくし,色彩選別機の設定を調整することにより,一等米の調製を前提とした玄米品質および歩留の向上が可能である。
 3)本技術による歩留向上結果を2001年産の玄米収量(「きらら397」539kg/10a,「ほしのゆめ」524kg/10a)にあてはめると,1等玄米製品量の増加量は「きらら397」で約23kg/10a,「ほしのゆめ」では約31kg/10aと推計される。

表1 選別機の組み合わせと検査等級

表2 選別機の組み合わせと歩留

表3  選別機の組み合わせと整粒割合

表4 選別機の組み合わせと玄米白度

 「きらら397」の慣行区 2.00mm色選なし
           改善区 1.90mm色選あり
  「ほしのゆめ」 の慣行区  1.95mm色選なし
             改善区 1.85mm色選あり

表5 選別機の組み合わせと食味
     (2001年北村産「きらら397」)


       図1精米蛋白含有率
     (2001年北村産「きらら397」)


        図2 搗精歩留
     (2001年北村産「きらら397」)

4. 成果の活用面と留意点
 1)玄米の品質および1等米製品量の年次間差を減少させる上で有効な技術である。
 2)色彩選別機は,流量やセンサの感度レベルの調整により選別結果が異なるので,選別後製品玄米の性状を良く確認した上で,色彩選別機の設定を行う。

5. 残された問題点とその対応