成績概要書 (2005年1月作成)
———————————————————————————————————————
研究課題:中玉トマトの品種特性と房どり収穫法
       (中玉トマトの高品質・省力栽培のための品種特性解明) 
担当部署:花・野菜技術センター 研究部 野菜科、園芸環境科
協力分担:
予算区分:道費
研究期間:2002〜2004年度(平成14〜16年度)
———————————————————————————————————————
1.目的
 中玉トマトの基本特性を把握するとともに省力化が期待される房どり収穫法を検討し、省力性に優れた中玉トマト品種の情報を提供する。

2.方法  
1)中玉トマトの基本特性の把握(耕種概要:表1のとおり)
  供試品種:中玉;「ファンゴッホ」、 大玉;「桃太郎8」、 ミニ;「キャロル7」
  収穫法:「桃太郎8」、「キャロル7」は個どり収穫。「ファンゴッホ」は個どり収穫と房どり収穫の両方。房どり収穫は8果以上着色した房を房ごと収穫。   
2)中玉トマトの品種特性(耕種概要:表1のとおり)
  供試品種:中玉;「ファンゴッホ」、「ヘーシンク」、「レンブラント」、「ラブリー40」大玉;「桃太郎8」、ミニ;「キャロル7」
  ※平成16年より「ファンゴッホ」は「カンパリ」、「ヘーシンク」は「テンプテーション」、「レンブラント」は「アランカ」と名称が変更。
  収穫法:中玉は房どり収穫。大玉、ミニは個どり収穫。
 
3.成果の概要
1)中玉トマトの基本特性の把握
(1)大玉トマト、ミニトマトと比較した中玉トマト(個どり収穫)の特徴
   「ファンゴッホ」(個どり収穫)は、「桃太郎8」に比べて生育が早く、「キャロル7」と同程度からやや早い傾向であった。良果収量は「桃太郎8」、「キャロル7」に比べ多かった(表2)。内部品質は「キャロル7」より劣るが、「桃太郎8」と同程度からやや優った(表2)。収穫時間は、「キャロル7」と比べると半分以下だったが、「桃太郎8」と比べると2倍以上であった(表3)。
(2)房どり収穫の検討  
   房どり収穫は個どり収穫に比べて生育の早さは同程度で、生育後半の草勢は良好であった。房どり収穫では、熟度の進んだ果実が収穫されるため、内部品質は優る傾向にあった(表2)。良果収量は、個どり収穫の8割程度にとどまったが、「桃太郎8」、「キャロル7」の良果収量を上回った(表2)。収穫時間は、個どり収穫の3分の1以下で済み、調製時間を加えても個どり収穫の50〜70%程度であった(表3)。
2)中玉トマトの品種特性
  供試中玉品種は、全般に「桃太郎8」、「キャロル7」に比べて生育が旺盛で生理障害果の発生が少なかった。内部品質は「キャロル7」より劣ったが、アスコルビン酸は 30mg/100g程度で「桃太郎8」よりも多かった。中玉トマトの葉柄硝酸濃度は、「桃太郎8」より低く、「キャロル7」より高く推移した。 
 「ファンゴッホ」:1果重が50~60g。生育は「桃太郎8」に比べて早い。良果収量は「桃太郎8」より多い。中玉品種間では房どり適性は高く、食味、日持ち性が良い。
 「ヘーシンク」:1果重が70~80g。生育は、「桃太郎8」並の早さ。良果収量は「桃太郎8」より多い。「ファンゴッホ」に比べ日持ち性は優れるが食味がやや劣る。
 「レンブラント」:1果重が40g前後で着果数が多い。生育は「桃太郎8」に比べ早く、「キャロル7」と比較しても早い。房どり適性は「ファンゴッホ」よりやや劣る。
 「ラブリー40」:1果重が40g前後。生育は「桃太郎8」に比べ早い。良果収量は、「桃太郎8」より少ない。内部品質は「桃太郎8」よりやや優る。
3)中玉トマトの収穫および調製方法
  個どり収穫は十分着色してから、房どり収穫は1果房8果程度の着色を目安に行う。多収を求めるなら個どり収穫、省力化を求めるなら房どり収穫+個どり調製、差別化を図るなら、房どり収穫+房調製(つる付き販売)が適する。収穫間隔は、裂果しづらく、日持ち性に優れているので1週間に2〜3回で良い。
 
表1 耕種概要
年  次 平成14年 平成15年 平成16年
 は種期  2月25日  2月25日  2月24日
 定植期  4月22日  4月18日  4月16日
 収穫期  6月10日~9月30日  6月19日~10月10日  6月10日~9月30日
  基肥 N:P2O5:k2O= 1.0:2.0:2.0kg/a N:P2O5:k2O= 1.0:2.0:2.0kg/a N:P2O5:k2O= 1.0:2.0:2.0kg/a
  追肥 N:P2O5:k2O= 0.9:0.3:0.9kg/a N:P2O5:k2O= 0.6:0.3:0.7kg/a N:P2O5:k2O= 1.0:0.5:1.1kg/a
  ※ 試験規模:1区8株、2反復、栽埴密度:150×45cm(1481株/10a)

表2 大玉、中玉、ミニ及び個どり・房どり収穫の生育、収量、内部品質 (平成14~16年平均)
  花房開花始    栽培終了時  良果 良果  
第1 第9 草丈 茎径1 茎径9 収量 一果重 Brix 酸度 アスコルビン酸
 品種 月/日  月/日 (cm) (mm) (mm) (kg/a) (g) (%) g/100 mg/100g
桃太郎8(個) 4/21 7/14 240.7 16.0 12.5 659 199 6.2 0.37   24.2
ファンゴッホ (個) 4/15 6/30 306.9 15.6 12.4 967 59 6.1 0.45   30.9
ファンゴッホ (房) 4/15 6/30 304.2 15.6 13.4 781 64 6.2 0.40   33.4
キャロル7(個) 4/18 7/3 264.7 12.2 10.8 285 11 8.4 0.53   41.6
  注)(個)・・・個どり収穫、(房)・・・房どり収穫。茎径は第1、9果房直下を測定。

表3 房どり収穫、個どり収穫における収穫時間および調製時間(平成16年)    
        調製方法  収穫時間 桃太郎8 調製時間 収穫+調製 個どり収穫
  品種          (時間/10a)  対比 (時間/10a) (時間/10a)   対比
桃太郎8(個)  78  100   -   78    43
ファンゴッホ (個) 182  233   -  182   100
ファンゴッホ (房)→房調製  54   69   74  128    70
ファンゴッホ (房)→個どり調製  54   69   43   97    53
キャロル7(個) 428  549  -  428   235
注1) 房調製:果房から未着色果や障害果等を摘果して良果房(良果が6果以上でバランスの良い果房)に調製し、良果房とならなかった果房果実は個別に調製する。
注2)個どり調製:果房から着色果のみを個別に調製する。
注3)収穫、調製時間の算出法は 区当たり全収穫(調製)累計時間×10a当たり栽植株数/1区株数

表4 中玉トマト品種の特性総括表                        
  品種       生育の
早さ
草勢
 
1果重  収量性   内部
 品質
収穫 時間 房どり 適性 食味  日持
ち性
桃太郎8(個)  □  □ 200g前後  □   □  -  - -
ファンゴッホ(個)  ○  ○ 50〜60g  ◎  □〜○  -  - -
ファンゴッホ(房)  ○  ○ 50〜60g  ○ □〜○  □  □
ヘーシンク(房)  □  ◎ 70〜80g  ○   □ -  □  △
レンブラント(房)  ◎  ◎ 40g前後  △ □〜○ -  △  △
ラブリー40(房) □〜○  ◎ 40g前後  △   ○ -  □  □
キャロル7(個)  ○  △ 10〜12g  ×   ◎ ×  -  - -
注1)各記号は「桃太郎8」と比較して評価の高い方から◎>○>□(桃太郎8並)>△>× 
注2)草勢は「桃太郎8」と比較して生育後半の草勢が強いものから◎>○>□(桃太郎8並)>△>×
注3)房どり適性、食味、日持ち性は、中玉トマト間での評価で「ファンゴッホ」との比較

4.成果の活用面と留意点
  ・新たに中玉トマトを導入しようとする産地や直売グループ等で活用できる。
  ・供試した中玉品種は、房どり収穫に適性のあると考えられた品種を用いた。本試験
  は半促成長期どり作型、栽培方法は大玉トマトに準じた。
 
5.残された問題とその対応  
  中玉トマトの葉柄硝酸濃度に基づく施肥技術の検討