成績概要書(2006年1月作成)
1.課題の分類
2.場所名 北海道立 花・野菜技術センター
3.系統名 メロン「空知交14号」(北海道オリジナルブランド緑肉新品種の育成)

 4.育成経過
 現在の緑肉主力品種である「G08」と同等以上の果実品質および収量性を有し、「G08」よりうどんこ病耐病性が優れることを育種目標とした。花・野菜技術センターにおいて平成10年に育成した固定系統「HM-G52」を種子親、赤肉品種育成の共同研究相手先である株式会社大学農園より遺伝資源として導入した固定系統「Dkg」を花粉親として平成14年に最初のF1交配を行った。平成14、15年に「02X-1」の系統名で花・野菜技術センターにおいて生産力検定予備試験に供試した。平成16年より「空知交14号」の系統名を付して、生産力検定試験および道内各産地における地域適応性検定試験等を実施した。

5.特性の概要(標準品種:「G08」と比較して)
 長所:うどんこ病耐病性を有するため標準品種より農薬の散布回数を減らすことが可能である。ネット形質がやや優る。肉質がやや優れ、ウリ科特有の青臭みも少ないため食味が良
     い。
 短所:果実肥大初期に高温・多灌水で管理すると果形は長くなる傾向がある。高温期では成熟日数の短縮や果実過肥大により低糖度果が発生しやすく、また、日持ち性も劣る。

 1)生育特性
  つる長はやや長いが葉色はやや淡く、葉身長および葉柄長はやや短い。総合的に判断して草勢は同等である。
 2)着果性
  両性花着生率は同等である。着果率は年次によってやや変動があるがほぼ同等である。
 3)早晩性
  「極晩生」である標準品種に対し両性花開花始は2日程度早く、成熟日数も2日程度短いため収穫日が4〜5日早い。そのため早晩性は「晩生」である。
 4)収穫判定難易
  標準品種と同様に成熟に伴う果皮色の変化や離層の形成が認められず、結果枝に発生している葉の苦土欠症状も収穫適期より早期に認められるが、標準品種と異なり二次ネットの
  形成がやや明瞭であるため収穫判定難易はやや易である。

 5)果実品質
  (1)果実外観品質
   果形はやや長玉であるが標準品種と同等の果径比(縦径/横径)である。果皮色は濃緑-淡緑である。ネットの密度、太さは同等であるが、盛上りはやや優る。結果枝はやや細い。
  (2)果実内部品質
   糖度はやや劣る。しかし、肉質がやや優れ、標準品種と異なりウリ科特有の青臭みが少ないことから食味はやや優る傾向である。果肉色は淡緑-白緑で、やや優る。
 6)日持ち性
  適食時期は収穫後4〜6日目であり、日持ち性は無加温半促成では同等、ハウス抑制では劣る。
 7)収量性
  平均一果重は同等である。収穫果率、良果率は同等である。良果収量は同等である。
 8)病虫害抵抗性
  つる割病:レース0およびレース2に対しては抵抗性を有する。レース1,2yに対しては抵抗性を有しない。
  えそ斑点病:抵抗性を有しない。
  うどんこ病:標準品種と比較して強い耐病性を有する。

 

6.試験成績概要


図1 薬剤防除の有無とうどんこ病の発生推移(平成17年、無加温半促成)
*矢印は防除区の防除実施日、発病指数:0(無)-4(甚)

7.普及対象地域および普及見込み面積
 1)普及対象地域
  全道のメロン栽培地域
 2)普及見込み面積
  15ha

8.保有種子数(平成17年12月現在の保有数)
 「空知交14号」  約10,000粒
  種子親「HM-G52」 約 2,000粒
  花粉親「Dkg」 約 1,000粒

9.栽培上の留意点
 1)無加温半促成栽培およびハウス抑制栽培における成績であり、加温半促成栽培およびトンネル早熟栽培は未検討である。
 2)生育期全般に渡りハウス内を高温管理した場合、成熟日数の短縮や果実過肥大等を原因とした低糖度果や裂果の発生が助長されるため栽培管理に注意する。
  特にハウス抑制栽培などハウス内が高温になりやすい作型での栽培は避ける。
 3)果実肥大初期、特に縦肥大が旺盛な時期に高温・多灌水の場合には果形が長くなる傾向があるため、栽培管理に注意する。
 4)つる割病(レース1,2y菌)およびえそ斑点病に抵抗性を有しないので、発生および発生の恐れのある圃場では、抵抗性台木を使用する等の対策を講ずる。