成績概要書(2006年1月作成)
研究課題:道央地域におけるりんどうの栽培指針 (リンドウの栽培法改善試験、りんどうの栽培法改善による産地支援) 担当部署:花・野菜技術センター 技術体系化チーム |
1 目的
北海道におけるりんどう産地での生産安定化を目指すため、地域に適合した高品質栽培技術の確立を図る。
2 試験方法
1) 育苗法の検討
(1) 発芽率向上の検討:低温処理期間、ジベレリン(GA)、光が発芽に及ぼす影響を調査
(2) 育苗培土の検討:3種類の培土による生育と土壌特性を調査
(3) 灌水条件の検討:頭上灌水と底面吸水による生育を調査
2) 半促成栽培の検討(2002年現地定植、2003〜2005年調査)
供試品種:「スカイブルーながの」、「スカイブルーしなの」、「ホワイトベル」
3) 施肥法の検討
(1) 養分吸収パターンの経年的調査(2002年定植、2003〜2005年調査)
供試品種:「スカイブルーながの」、「スカイブルーしなの2号」、施肥量:緩効性N入り肥料N14.3,P2O517.6,K2O14.3kg/10a、各年5〜9月に株採取、生育・養分吸収量調査
(2) N施肥量の検討:増肥による切り花への影響を調査(2005年現地調査)
供試品種:「スカイブルーながの」、「スカイブルーしなの3号」、施肥量:緩効性N入り肥料 慣行(N10+5kg/10a)、増肥(N12.5+7.5kg/10a)、分施増肥(N10+10kg/10a)
4) 産地における発生障害事例(2004〜2005年現地調査)
(1) 産地における株枯れ症状の一事例:現地実態調査および土壌調査
(2) 産地における発生病害虫
3 成果の概要
1) 育苗法の検討
播種前に0℃、10日以上吸水処理を行い、播種後覆土をせずに管理することにより発芽率が向上した。吸水時の50ppm GA処理により発芽促進効果がみられた。育苗にはpH5.0〜
5.4、固相率9.6%、有効水分保持量28.8ml/100mlに準じた特性を持つ培土が適当であった。発芽揃い後20日までを目安に底面給水から頭上灌水に変更すると、育苗時の欠株率を低く
え定植時の苗質が向上した(表1)。
2) 半促成栽培の検討
2月上旬よりハウス被覆を開始することで萌芽期は露地栽培に比べ約1ヶ月早まり開花期も20〜40日早まった。切り花品質、採花本数は品種間差はみられたが露地栽培と同等以上で
あった(表2)。半促成栽培の採花時期は切り花単価が高く、定植3年目と4年目の所得は露地栽培より高くなった。
3) 施肥法の検討
5〜6月におけるN吸収量は10kg/10a以上であった。慣行の基肥N量5.2kg/10aでは不十分であり基肥を増肥する必要がある。また慣行の採花後の分施は不必要と考えられた。
「スカイブルーしなの2号」では「スカイブルーながの」より採花期が遅く、生育後半にN吸収量の増加が鈍化しN含有率も低く推移した。
現地試験の結果、採花期の遅い品種では6月の分施増加により切り花品質向上がみられた。
4) 産地における発生障害事例
産地でみられる株枯れ症状について品種間差、圃場間差が見られた。また定植1年目秋〜2年目春に多発した。多発圃場では未発生圃場と比較して乾燥しやすい傾向や排水不良
がみられた。その他、現地で発生している病害虫について病害6種、害虫4種を整理した。
以上の結果から慣行との改善点および新たな栽培技術を組み入れたりんどうの栽培指針を作成した(表3、図1、図2)。
4 成果の活用面と留意点
1) 半促成栽培導入の際の参考とする。
2) GA処理の登録使用回数は発芽前もしくは定植直前の1回である。
5 残された問題とその対応
1) 品種別、作型別の施肥時期および適正施肥量