成績概要書(2006年1月作成)
研究課題:グリーンアスパラガス露地栽培の品種特性および多収維持管理法 担当部署:花・野菜技術センター 研究部 野菜科 園芸環境科 |
1.目的
近年、
2.方法
試験実施場所:花・野菜技術センター圃場(造成台地土) 栽培法:処理以外は慣行栽培法
1)品種特性調査(2002〜2005年)
供試品種:12品種(「ガインリム」「ウェルカム」を含む) 試験規模:1区20株×3反復
2)初期の収穫日数がその後の収量に及ぼす影響(1997〜2005年度)
供試品種:「ガインリム」「ウェルカム」 収穫日数の処理水準:12水準
試験規模:1区14株×2〜4反復
3)夏秋期茎葉の倒伏防止効果
(1) 試験Ⅰ:定植当年株における倒伏処理試験(2004〜2005年度)
供試品種:「ウェルカム」 処理水準:倒伏傾斜角度30°、60°、90°
試験規模:1区12株×3反復 高畦マルチ栽培(30cm)
(2) 試験Ⅱ:定植当年株における倒伏防止処理試験(2004〜2005年度)
供試品種:「ガインリム」「ウェルカム」 処理水準:フラワーネット有・無
試験規模:1区12株×3反復 高畦マルチ栽培(30cm)
(3) 試験Ⅲ:成園における倒伏防止処理試験(2002〜2005年度)
供試品種:「ガインリム」「ウェルカム」
処理水準:フラワーネット、テープ、無処理、人為的倒伏(「ウェルカム」のみ)
試験規模:1区20株×2反復
(4) 試験Ⅳ:成園における簡易倒伏防止処理試験(2005年度)
供試品種:12品種(「ガインリム」「ウェルカム」を含む)
処理水準:フラワーネット、テープ2段式 試験規模:1区20株×反復なし
3.成果の概要
1)6〜9年生株において品種特性調査を実施したが、3〜5年生株でみられた品種特性と大きく異なる傾向は認められなかった。そこで3〜9年生株における調査結果をもとに品種特性総
括表を作成した(表1)。規格内収量に関してはオランダ育成品種(「ガインリム」、「ヴェンリム」)の方がアメリカ育成品種(「ウェルカム」、「バイトル」、「グリーンタワー」、「シャワー」)より
も 多収を示す傾向にあり、「ガインリム」が最も多収であった。
外観品質では、アメリカ育成品種の方が頭部のしまりが良好でアントシアニン着色も少なかった。茎色はオランダ育成品種が濃かった。9年生株の外観品質調査結果を用いて「ガイン
リム」と「ウェルカム」の市販価格で販売可能な収量(上物収量)を試算したところ、「ガインリム」の方が高くなった(図1)。しかし、頭部のしまりに対する基準によって試算結果は変動す
るため、頭部のしまりの規格基準が高い場合は「ウェルカム」等を選択肢に入れる必要がある。
2)5年生株以降の収量性を安定させるための2〜4年生株に対する収穫日数は、「ガインリム」では2年生株で14日(約2週間)程度、3年生株で31日(約4週間)程度、4年生株で40〜50日
程度、「ウェルカム」では2年生株で0日、3年生株で17日(約2週間)程度、4年生株で40〜50日程度を目安とする(図2、表2)。
上記日数と併せ、収穫期間中の一本重の推移も勘案し、2年生株で収量が100kg/10aを超えた場合や、平均一本重が8gを下回った場合には、上記日数に満たなくても収穫を打ち切
る。
3)倒伏防止処理はアスパラガス栽培では定植当年から斑点病の蔓延を抑制する(表3)。また、受光体勢の悪化を防ぐためにも夏秋期に茎葉の倒伏防止処理を施した方が良い。
定植当年株、2年生株はフラワーネットを用い、3年生株以降は作業の省力化を考え、テープ2段式で対応する。ただし、耐倒伏性に優れる「ガインリム」は定植当年からフラワーネット
以外の方法で対応できる可能性がある(図3)。
4.成果の活用面と留意点
1)倒伏防止に関する試験以外は全て夏秋期にフラワーネットによる倒伏防止処理を行った。
2)品種特性は定植3〜9年目(3〜9年生株)の評価である。
5.残された問題とその対応
1)定植当年における簡易倒伏防止処理法の検討
2)経済栽培年数の把握