成績概要書(2006年1月作成)
研究課題名: 短節間かぼちゃの栽培法 担当部署: 花・野菜技術センター 研究部 野菜科、園芸環境科 |
1.目的
普通草姿品種と生育特性が異なる短節間かぼちゃの適正な省力・軽作業化栽培法について提案する。
2.方法
試験場所:花・野菜技術センター 定植時期:6月上旬
供試品種系統:「つるなしやっこ」「TC2A」(短節間品種系統)、「えびす」(対照品種)
3.成果の概要
(1)栽植密度の検討
短節間かぼちゃは、株間、畦幅を狭くすることにより、収量性が高くなった。しかし、栽植密度を高くすると平均一果重は軽くなり、栽培に係る物財費が増加することから、収益性は劣っ
た(データ略)。栽植密度を133.3株/a(株間50cm、畦幅150cm)とした場合、平均一果重は重く、収量性に優れた。
また、この栽植密度は、摘心の有無に関わらず果実品質に明確な差は認められなかったことから、実用的で省力的な栽植密度である(図1)。
以上のことから、短節間かぼちゃ栽培に最適な栽植密度は、133.3株/a(株間50cm、畦幅150cm)である。
(2)育苗方法の検討
普通草姿品種の「えびす」を(72穴)セル成型ポット苗を利用して栽培すると、(12cm)ポリポット苗を利用した栽培に比べて収量の低下が認められた。
一方、短節間かぼちゃでは、セル成型ポット苗を利用した栽培とポリポット苗を利用した栽培とは概ね同等の収量性であった(図2)。
セル成型ポット苗を利用した短節間かぼちゃの栽培では、ポリポット苗を利用した「えびす」の栽培と比べて、栽培作業に要する時間が約60%削減でき(表1)、総収量は約10%増収し
た(データ略)。セル成型ポットを利用する場合、育苗日数を短くすることにより花痕径が大きくなり、規格内収量が低くなることから、72穴セル成型ポットを利用する場合、10〜14日程
の育苗日数が適当である(データ略)。
(3)施肥量の違いによる生育への影響
短節間かぼちゃの窒素吸収量は、施肥処理区間に明白な差はなく概ね同等であった。短節間かぼちゃは、栽植密度が高いことから、「えびす」に比べて全体的に窒素吸収量は高くな
った。短節間かぼちゃの総収量は、ポリポット区では、年次により窒素施肥量1.2kg/a区が最も多くなる場合があったが、セル成型ポット区では窒素施肥量0.8kg/a区の時が最も優れて
いた。 同様に、「えびす」もセル成型ポット区では窒素施肥量0.8kg/a区の時が最も優れていた(データ略)。乾物率は、短節間かぼちゃでは窒素施肥量0.8kg/a区で優れていた。
従って、セル成型ポットを利用した短節間かぼちゃ栽培は、「えびす」同様の肥培管理が可能である。
(4)検討した栽培法の他短節間かぼちゃへの適応性(表2)
短節間かぼちゃ「TC2A」は「つるなしやっこ」と異なり、初期生育がやや優れ、セル成型ポット利用時の雌花開花始は早く、10,15節長はやや長い等の生育特性を有する。
しかし、「TC2A」のセル成型ポット区における生育は、ポリポット区と比べて、着果節位や株当たり果数が低下し、平均一果重が重くなる等、「つるなしやっこ」同等の変化が認められ
た。 こうしたことから「つるなしやっこ」同様に、「TC2A」においても収量性の低下を伴うことなくセル成型ポットを利用した省力栽培が可能であった。加えて、「TC2A」においても、摘心
の有無により乾物率に差は認められず、育苗方法や貯蔵日数により「つるなしやっこ」同様に変化した(データ略)。
従って、(1)〜(3)で検討した栽培法は他短節間かぼちゃにも適用できる。
(5)短節間かぼちゃ栽培の要点および利点について、表3、表4にまとめた。
図1 畦幅の違いと収量性、一果重、収穫果数および乾物率(1999、図中の棒は標準誤差を示す)
図2 品種、育苗方法の違いと収量(1999)
表1 品種、育苗方法の違いと作業時間(2001〜2005平均)
表2 検討した栽培法の他短節間かぼちゃへの適応性(2004)
表3 短節間かぼちゃ栽培の要点 表4 短節間かぼちゃ栽培導入の利点
4.成果の活用面と留意点
本成績で検討した短節間品種系統は「つるなしやっこ」および「TC2A」である。
短節間かぼちゃは、普通草姿品種と比べて果皮に蔓傷が生じやすい。
5.残された課題
短節間かぼちゃの省力的蔓傷軽減方法の確立
セル成型苗の小型化による経費削減や機械定植による省力化の検討