成績概要書(2007年1月作成)
研究課題 :りんごの品種特性
        (りんご品種改良試験)

担当分署 :中央農試作物研究部果樹科
協力分担 :
予算区分 :道費
研究期間 :1994〜2006年度(平成6〜18年度)

 

1.目的 
 公立機関、民間育成を合わせて毎年いくつかのりんご新品種が発表されているが、その多くは北海道での品種特性が未知である。そのため、本試験は北海道でのりんご導入品種の
 特性を明らかにする。

2.方法
 (1)供試品種 「シナノレッド」、「シナノスイート」、「きたろう」、「ぐんま名月」、「シナノゴールド」他15品種(表1)。標準品種は「つがる」、「ハックナイン」、「ふじ」。
 (2)収穫期 
 (3)果実特性
     外観特性(果皮色、さび、果実重等)
     内部特性(糖度、酸度、肉質、蜜入り等)
 (4)収量 (重量、果実数等)
 (5)生育相 (発芽期、開花期、満開期、落花期)
 (6)樹体生育、樹勢および凍害 (幹周、樹高、樹幅、樹勢、凍害)

3.成果の概要
 有望な特性を有しているものについて示す。


「シナノレッド」;9月上中旬に収穫できる濃赤色の品種である。着色良好で外観が良好である。熟期が揃いにくく、一斉に収穫するのは困難である。果実重が250g前後、糖度12〜13%、酸度は0.5〜0.6g/100ml程度で、やや酸味を感じる食味である。「つがる」より収穫期が早い品種としては大きく、食味も良好である。

「シナノスイート」;10月中下旬に収穫できる濃赤色の品種である。果実重が200〜250gで、糖度が14〜15%と高く、酸度0.4g/100ml前後と低いため、甘味を感じ、食味が良好である。貯蔵中に脂が上がりやすいが、粉質化はしづらい。年により心かびが発生する。冷蔵貯蔵した果実は硬度の低下が少なく、可食期間は4ヶ月程度であり、やや高い貯蔵性がある。収量はやや少ない。

「きたろう」;10月末〜11月初旬に収穫できる黄色の品種で、陽向面が赤色に着色する。果実重が250g前後で、糖度が14〜15%と高く、酸度は0.5g/100ml前後の甘酸適和で、食味が良好である。さび果が‘中’程度、つる割れ果が‘少’程度発生する。可食期間が長い品種でありながら、収穫直後においても食味が良好である。冷蔵貯蔵した果実は硬度の低下が少なく、可食期間は6ヶ月程度であり、高い貯蔵性がある。栽培早期からの収量がやや多い。

「ほおずり」;10月末〜11月初旬に収穫できる濃赤色の品種である。着色良好で外観が良好である。果実重が250g前後で、糖度は14%前後と高いが、酸度も0.8〜0.9g/100ml程度と高く、酸味を感じる食味である。肉質は良好で、蜜も入りやすい。冷蔵貯蔵した果実の可食期間は3ヶ月程度である。

「ぐんま名月」;11月上旬に収穫できる黄緑色の品種で、陽向面がわずかに赤色に着色する。果実重が200〜250g、糖度は14%前後で、酸度が0.4g/100ml前後と低いため、甘味を感じ、食味が良好である。肉質は良好で、蜜も入りやすい。冷蔵貯蔵した果実の可食期間は3ヶ月程度である。収量はやや多い。

「シナノゴールド」;11月上旬に収穫できる黄色の品種で、果面が鮮やかで外観が良好である。果実重が200〜250gで、糖度が14〜15%と高いが、酸度が0.6g/100ml前後とやや高く、やや酸味を感じる食味である。肉質は‘中’程度でやや粗く、なしのような食感で、硬度は高い。貯蔵後に食べると酸度、硬度が低下することで食味が良好となる。年により心かびが発生する。冷蔵貯蔵した果実は硬度の低下が少なく、可食期間は6ヶ月以上であり、高い貯蔵性がある。

表1 各品種の特性

 

4. 成果の活用面と留意点
 北海道でのりんご栽培における品種選択の参考として活用する。
 

5. 残された問題とその対応
 国内外で新たに発表された品種を導入し、北海道での特性を明らかにする。