成績概要書(2007年1月作成)
研究課題:水田畦畔へのグラウンドカバープランツ導入指針
       (水田畦畔へのグラウンドカバープランツ導入指針の作成)

担当部署:花・野菜技術センター 研究部 花き科
協力分担:
予算区分:事業
研究期間:2004 −2006 年度(平成16 〜18 年度)

 

1.目的
 近年、クリーン農業を推進し差別化を図るため畦畔にグラウンドカバープランツを栽培する農家が多くなってきたが、品目の選定、植栽基準など導入指針がなく導入を見合わせる農家も多い。
 当センターでは、平成15年指導参考事項「道央におけるグラウンドカバープランツの生育特性」により道央地域におけるグラウンドカバープランツの生育特性や害虫の生息数の減少に対する効果を明らかにしてきた。
そこで本試験では、永続性など生育特性を明らかにすること、現地圃場での試験を実施し畦畔に導入した際のグラウンドカバープランツ導入指針を確立することを目的とした。

2.方法
 1)グラウンドカバープランツ品目の導入試験(場内)
   試験場所:場内幹線明渠(北向き面、南向き面)、圃場 1区16株/㎡、1反復
   定植年次、品目数:平成13〜17年、延べ173品目
 2)グラウンドカバープランツの栽培試験(場内)
   栽植密度(場内幹線明渠)、定植時期(場内幹線明渠)、施肥試験(圃場)
 3)グラウンドカバープランツ導入方法の検討(現地試験)
   試験場所:
   (開始年次)
  

  供試品目:クリーピングタイム、ポテンティラ・ノイマンニアナ、アップルミント他
   定植時期:6月、10月、(5,6,7,8,9,10月定植(H16:秩父別、H17:由仁))
   栽植間隔:株間50、75、100cm 栽植様式:1条畦中央、肩、2条千鳥、2条並木
   定植苗のポットサイズ:6、7.5、9cm 施肥:植え穴への基肥の有無

 

3.成果の概要
 1)品目選定:場内栽培試験より3年以上のデータがある品目より畦畔、のり面に有望なグラウンドカバープランツの特性表(表1)を作成した。
 2)栽植間隔:畦畔でのアップルミントの被覆速度は早くいずれの植栽間隔でも2〜4年目で70%以上の被度を維持していた。畦畔でのクリーピングタイムの被覆速度はやや遅いため、株
  間の狭い区の被度が高くなっていた(図1)。
 3)ポットサイズ:畦畔へのアップルミント・クリーピングタイム、のり面へのポテンティラともポットサイズによる被覆速度に差が認められなかった(図2)。
 4)栽植様式:畦畔へのクリーピングタイムは植え方による被覆速度に差が認められなかった。
 5)定植時期:アップルミント、クリーピングタイムとも定植が遅くなるにつれて欠株率が上がる傾向であった。
 6)施肥: クリーピングタイム春植え(図3)、ポテンティラでは植穴への施肥により被度が高くなる傾向が認められた。また2年目以降も数種品目で被度向上に施肥の効果が認められ
  た。
 7)定植年の刈り込み:アップルミントで定植年に刈り込みを行うと翌年の生育が低下していた(図4)。
 8)越冬性の地域差:由仁町での越冬後の欠株率は滝川他に比べ高くなっていた。
 9)以上の結果からグラウンドカバー導入基準(表2)を作成した。

 

表1.畦畔、のり面に有望なグラウンドカバープランツの特性

 


  図1.