成績概要書(2007年1月作成)

研究課題名:秋出荷花壇苗の生産技術(道央水田地帯における秋出荷花壇苗の生産技術)

担当部署:花・野菜技術センター 研究部 花き科
協力・分担関係:なし
予算区分:道費
研究期間:2004〜2005年度(平成16〜17年度)       

 

1.目 的
 道央水田地帯への導入に適する花壇苗品目および播種期を検討し、生産体系を確立する。

2.方 法
1)適品目の選定と播種期の検討
 (1)供試品目:マリーゴールド、サンビタリア、リナリア他、計24品目
 (2)播種期:3水準[6月3日、6月17日、7月4日(両年度とも)]
 (3)試験規模:1品種96鉢(24鉢×4トレイ、各トレイを反復とした)
 (4)稚苗育成:用土はプラグミックスtypeⅡを使用、406穴セルトレイに1粒播き(1品目203粒)
 (5)鉢あげ:農試慣行用土(ピートモス:火山礫=5:3、N:234mg,P2O5:531mg,K2O:234mg/L),9㎝ポット
 (6)調査項目:発芽率、苗生育、花壇における観賞性、越冬性、プランター植えでの冬期室内観賞性

2)水稲用育苗ポットの適用性
 (1)供試品目:2004年度は3品目、2005年度は1)と同じ24品目
 (2)処理区別:稚苗育成法[水稲用育苗ポット、慣行(406穴セルトレイ)]
 (3)播種期:2004年度6月3日、2005年度6月3日、6月17日、7月1日
 (4)試験規模:播種粒数 水稲用育苗ポット226粒、慣行203粒(406穴セルトレイの半分に1粒播き)

3)宿根草有望品目の探索
 (1)供試品目:2004年度10品目、2005年度15品目
 (2)播種期:2004年度6月10日、2005年度6月6日

4)経済性試算および需要動向調査
 労働時間および収益性の試算、直売所での試験販売、秋花壇見学会におけるアンケート調査

3.結果の概要
1)品目選定と播種期の検討
 栽培適性が高い品目はマリーゴールド、リナリア、金魚草、パンジー、ビオラ、であった。観賞適性が高い品目はビオラ、なでしこ、パンジー、はぼたん、ダスティミラー、帝王貝細工であっ
 た。栽培適性、観賞適性ともに高く、有望と思われたのは、ダスティミラー、ビオラ、なでしこ、パンジー、金魚草、帝王貝細工、はぼたんの7品目であった(表1)。

2)水稲用育苗ポットの適用性
 供試品目は全て水稲育苗用ポットで稚苗育成可能であり、導入にかかるコストを軽減できる(表2)。

3)宿根草有望品目の探索と実用化
 実生系の宿根草品目で、当年開花性および越冬性の高い品目は、ダイアンサス`スポーキー`、ケナリヒナム2品種、シンバラリアであった。特にケナリヒナムは草姿がコンパクトで室内
 観賞性もあり、有望であった(表3)。

4)経済性試算および需要動向調査
 なでしこ、ビオラ、金魚草の3品目を等分に生産した場合、労働時間は1a当たり153時間程度と考えられ、7月上中旬に作業ピークがある。生産コストは1ポット当たり約13円になると試
 算され、直売所への出荷を想定したモデルケースでは1aで19万円程度の所得が見込めると考えられた(表4)。試験販売では売れ行きは概ね好調で、なでしこ等越冬性のある品目の人
 気が高かった。アンケート調査では秋花壇苗の条件として「冬越しするなら」をあげた人が最も多かったが、「冬越ししなくてもきれいなら」をあげた人も半数以上いた(図1)。
  作期、草姿、観賞期間等の観点から、秋出荷に適した花壇苗品目を選定し、適作期を示した。

 

 

   

   

   

  

 

4.成果の活用面と留意点
 1)水稲農家において新たな複合品目を選定する際の資料として活用する。
 2)越冬性は 滝川市 での結果であることを考慮する。
 3)ハウス床面にはシートを敷き、ハウス土壌に農薬がかからないよう注意する。

5.残された問題とその対応
 室内で長期間観賞するための管理法の検討