成績概要書(2007年1月作成)

課題分類:
研究課題:繁殖雌豚のボディコンディション判定法
      (ボディコンディションスコアによる繁殖豚の管理技術)

担当部署:道立畜試 家畜研究部 中小家畜育種科
担当者名:
協力分担:
予算区分:民間受託
研究期間:2005〜2006年度(平成17〜18年)

 

1.目的
 豚の肥満の程度をかん骨部位の触診により判断するボディコンディションスコア(以下BCS)法は測定が簡易であり、繁殖雌豚の栄養管理に利用されている。しかし、BCSは豚の体脂肪
量との相関が高いP2といわれる部位の背脂肪厚との相関が低いことや、現場段階では、安定した判定を行なうまでに時間を要するなどの問題が指摘されている。
そこで、本試験では、繁殖雌豚の触診による判定とP2脂肪厚との関係を明らかにし、客観性の高い繁殖雌豚の肥満度判定法を開発する。
   

2.方法
1)体各部触診とP2脂肪厚の関係
2)体各部触診方法と従来法のBCS判定法の比較
3)体各部触診スコアによるP2脂肪厚の推定
4)触診スコアの測定者間の差の検討
  

3.成果の概要
1)繁殖雌豚のかん骨、背骨、肋骨を触診し骨の認知のしやすさにより4段階にスコア化した各値と豚のP2脂肪厚の間には0.6程度の相関があり、これらの部位を豚の肥満程度の判定に
  利用できると考えられた。
2)かん骨のみを指で探る従来のBCS法で豚の肥満度合いを判定した場合、各スコアにおけるP2脂肪厚の変動係数は15〜19%だった。一方、触診方法を表1のように定め、この方法で
  得られた触診スコアとP2脂肪厚の関係を検討した結果、かん骨を手のひらおよび指で触診したスコアの合計値におけるP2脂肪厚の変動係数は概ね15%以下であり、従来のBCS法
  より高い精度で豚の脂肪厚を判定できると考えられた(表2,3)。
3)繁殖雌豚の発育段階別に触診スコアとP2脂肪厚の関係を検討した結果、初産豚および2産以上の経産豚ではかん骨触診とP2脂肪厚の関係が異なったことから、それぞれの発育段
  階で触診スコアからP2脂肪厚を推定する回帰式を求め(図1、2)、これをもとに触診スコアからP2脂肪厚を推定し肥満程度を判定する方法を明らかにした(表4)。
4)測定者4名による触診スコアのばらつきは触診経験回数とともに減少し2または3回経験者による触診スコアの変動係数は10%程度であった。

以上の結果から、初産豚についてはかん骨を手のひらおよび指、腰部背骨、背部背骨の触診スコアの合計値から、経産豚についてはかん骨を手のひらおよび指、腰部背骨の触診スコアの合計値から繁殖雌豚の肥満度を判定する方法を明らかにした。

  

 

  

 

 

 

4.成果の活用面と留意点
1)本試験結果は、繁殖雌豚の栄養管理を行う際に豚の肥満度の判定に活用できる。

5.残された問題とその対応
1)繁殖ステージごとの肥満度判定技術