成績概要書(2007年1月作成)
課題分類
研究課題 リードカナリーグラスの利用法
(低整備水準農地におけるリードカナリーグラスの有効活用)

担当部署 上川農試天北支場 技術普及部 
担当者名
協力分担
予算区分 受託
研究期間 2003〜2006年度(平成15〜18年度)

1.目的
 リードカナリーグラス(RCG)は粗剛で嗜好性に難があり、栄養価が低下しやすい草種であるが、泥炭草地では適応性が高く、完全駆除が難しいため、泥炭草地を持つ酪農家では利用せざるをえない状況がある。そこで、現地農家のRCGの利用実態および農家生産RCGサイレージの牛による採食量を明らかにするとともに、飼料成分の変化からみたRCG収穫適期を示す。
 

2.方法
1)現地農家における刈取時期および施肥量
2)現地農家生産サイレージの採食量
3)採草利用における収穫適期
4)アルカロイド含量
 

3.成果の概要
1)宗谷管内豊富町内7筆のRCG優占ほ場の1番草刈取日の平均は6月20日であった。刈り取り時のステージは概ね出穂始〜出穂期であった。2番草刈取日は年次による変動はあるが
 8月24日前後で生育期間は概ね60日程度であった。また、給与については、単独給与ではなく、チモシー(TY)との混合給与の形が見られた。
2)RCGサイレージ(1番草 出穂始〜出穂期、2番草 生育期間30〜60日)の自由採 食量は、当場生産のTY1番草出穂期ロールベールサイレージよりも20〜30%程度少なかった(表
 1・2)。採食量の改善を意図して、ロールベールの切断や糖蜜を添加しても効果が認められなかった。また、個体差も大きかった(図1)。
  一部農家で行われているTYとの混合給与については、TY60%とRCG40%混合した場合、採食量の低下はTY100%に比べて10%程度であった(表3・4)。
3)−1 RCGの生育ステージ別飼料成分の変化から、1番草の刈り取り適期は穂孕み期が望ましいと考えられた。しかし、穂孕み期であっても飼料成分はほ場、年次で異なっており、草
 丈が高く、生育が進行すると栄養価の低下が顕著であった(表5・6)。
3)−2 RCG1番草の飼料成分と草丈の関係を検討すると、飼料成分の変化は草丈の伸長に強く影響を受け、栄養価が低下することが明らかになった。このことから、1番草について
 は、穂孕み期を目安としつつも草丈80cm程度で収穫することとする。この場合、1番草でNDF含量65%、ADF含量34%、IVDMD70%程度となる(図2・3)。2番草については草丈と飼
 料成分の関係は明確ではないことから(図4)、刈り取り適期を生育日数と飼料成分の変化から判断し、生育日数40日程度とする。この場合、NDF含量60−67%、ADF含量30−35%、
 IVDMD60−70%程度となる。
4)RCGに含まれる代表的なアルカロイドであり、採食性に影響を及ぼすとされるグラミン含量は、調査したいずれの圃場および刈取時期(28点)でも、採食性に影響があるとされる
  2000ppmを超える事例は見られなかった。
5)現地農家で生産されたサイレージの自由採食量はTYに比べ、20〜30%程度少ないが、TYとの混合給与することにより一定の採食量を確保することができる。また、1番草については
 穂孕み期と草丈80cmを、2番草については生育日数40日を目安とした収穫体系を導入することにより、現行より良質な粗飼料を得ることができる。
 

 

あ    ああ
図1 RCG切断長と個体採食量  

 


図2 RCG1番草の草丈とIVDMD(%)

図3 RCG1番草の草丈とADF(乾物中%)

    40日、60日:生育日数
図4 RCG2番草の草丈とIVDMD(%)

 

4.成果の活用面と留意点
1)RCGについて、本成績で示したスケジュールで1・2番草の収穫を行うと3番草の再生量が大きく、翌年の収穫時にその枯葉が混入して飼料価値が低下するので、3番草の利用が必須
 となる。
2)道北地域での実態を調査したものであり、当該地域に利用できる。

  

5.残された問題とその対応
 RCG抑制法の検討