「とうもろこし（サイレージ用）「ＤＫＣ３４-２０（ＳＨ３４８１）」」（普及奨励事項）

北海道農業研究センター寒地飼料作物育種研究チーム
北海道立上川農業試験場研究部畑作園芸科
北海道立畜産試験場環境草地部草地飼料科
北海道立十勝農業試験場作物研究部畑作園芸科
北海道立道南農業試験場研究部作物科

執筆担当者　濃沼　圭一

　

「ＤＫＣ３４-２０（ＳＨ３４８１）」は“中生の中”に属し、同熟期の標準品種「おおぞら」と比較して次のような特性をもち、対象地域での安定栽培が可能である。絹糸抽出期は２〜３日早いが雄穂開花期は１日遅く、収穫時の熟度および乾物率は並である。耐倒伏性は同程度だが折損が少ない。すす紋病抵抗性およびごま葉枯病抵抗性はは強く、いずれも「キタユタカ」より強い。発芽期は並で初期生育は並かやや劣る。乾物総重および推定TDN収量は並で、乾雌穂重割合はやや高い。

　

１　来歴等

フランスのモンサント社が育成した単交雑（デント×デント、構成系統は不明）の一代雑種で、平成14年に雪印種苗株式会社が導入した。平成16年にOECD登録されている。

　

２　特性概要

(1） 熟　　期

　絹糸抽出期は「TH9861」より１日遅く「おおぞら」より２〜３日早い。雄穂開花期は「TH9861」より３〜４日遅く「おおぞら」より１日遅い。収穫時の熟度は「TH9861」よりやや遅れ「おおぞら」並で、総体乾物率は「おおぞら」並である。熟期は“中生の中”に属する。

(2) 耐倒伏性

　「おおぞら」と同程度だが、折損は「おおぞら」より少ない。

(3) 発芽および初期生育

　発芽期は「おおぞら」並で、初期生育は「おおぞら」並かやや劣る。

(4) 収量性および乾物特性

　乾総重および推定TDN収量は「おおぞら」並である。乾雌穂重割合は「おおぞら」よりやや高い。

(5) 形態特性

　稈長および着雌穂高は「おおぞら」よりやや低い。

(6) 耐 病 性

　すす紋病抵抗性とごま葉枯病抵抗性は、いずれも「キタユタカ」および「おおぞら」より強い。

３　試験成績

表１　生育および収量調査の結果概要¹⁾

注 1) 畜試滝川試験地の平成16年は、春先の天候不順による播種の遅れとその後の湿害による生育異常のため、倒伏および折損を除き参考成績とした（倒伏合計と折損はH16〜18の３か年平均）

2) １：極不良〜９：極良の評点　　　 3) 倒伏と折損の合計個体率

4) 品種間差異が認められた試験の平均　 5) 推定TDN収量＝乾茎葉重×0.582＋乾雌穂重×0.85

　

表２　病害抵抗性に関する特性検定試験結果（北海道農研）¹⁾

注 1) 病菌接種による罹病程度の評点値（１：無〜９：甚）

４　採用理由及び普及見込み地帯等

　「ＤＫＣ３４-２０」は、“中生の中”の熟期で、耐倒伏性、すす紋病抵抗性および収量性等に優れることが示された。対象地域での安定栽培が可能であると判断される。普及対象地域は北部を除く道央地域と道南地域である。

　

５　普及指導上の注意事項

普及見込み面積： ８００ha　　　　配布しうる種子量： ２０t