「とうもろこし(サイレージ用)「KD500(KE3500)」」
(普及奨励事項)
北海道農業研究センター寒地飼料作物育種研究チーム
北海道立畜産試験場環境草地部草地飼料科 北海道立道南農業試験場研究部作物科
執筆担当者 濃沼 圭一
「KD500(KE3500)」は“中生の晩”に属し、同熟期の標準品種「36B08」と比較して次のような特性をもち、対象地域での安定栽培が可能である。絹糸抽出期は並か1日早く、収穫時の熟度は並で、乾物率はやや高い。耐倒伏性は同程度である。すす紋病抵抗性は「36B08」より弱いがその程度は“強”で「キタユタカ」より強い。ごま葉枯病抵抗性は「36B08」より弱い。発芽期は並で初期生育は優れる。乾物総重、推定TDN収量および乾雌穂重割合は並である。
1 来 歴 等
ドイツのKWS社が育成した単交雑(デント×デント、構成系統は不明)の一代雑種で、平成14年にカネコ種苗株式会社が導入した。平成15年にOECD登録されている。
2 特性概要
(1) 熟 期
絹糸抽出期は「36B08」並か1日早い。収穫時の熟度は「36B08」並で、総体乾物率は「36B08」よりやや高い。熟期は“中生の晩”に属する。
(2) 耐倒伏性
「36B08」並である。
(3) 発芽および初期生育
発芽期は「36B08」並で、初期生育は「36B08」より優れる。
(4) 収量性および乾物特性
乾総重および推定TDN収量は「36B08」並である。乾雌穂重割合は「36B08」並である。
(5) 形態特性
稈長および着雌穂高は「36B08」より高い。
(6) 耐 病 性
すす紋病抵抗性は「キタユタカ」より強く、「36B08」に比べて弱いが抵抗性の程度は“強”である。ごま葉枯病抵抗性は「キタユタカ」より強く「36B08」より弱い。
3 試験成績
表1 生育および収量調査の結果概要1)
注 1) 畜試滝川試験地の平成16年は、春先の天候不順による播種の遅れとその後の湿害による生育異常のため、倒伏および折損を除き参考成績とした(倒伏合計と折損はH16〜18の3か年平均)
2) 1:極不良〜9:極良の評点
3) 倒伏と折損の合計個体率
4) 品種間差異が認められた試験の平均
5) 推定TDN収量=乾茎葉重×0.582+乾雌穂重×0.85
表2 病害抵抗性に関する特性検定試験結果(北海道農研)1,2)
注 1) 病菌接種による罹病程度の評点値(1:無〜9:甚)
4 採用理由及び普及見込み地帯等
「KD500」は、収量性、耐倒伏性およびすす紋病抵抗性等に優れ、対象地域での安定栽培が可能であり、普及が期待される。普及対象地域は、北部を除く道央地域と道南地域である。
5 普及指導上の注意事項
普及見込み面積: 800ha 配布しうる種子量: 20t
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