成績概要書 (2007年1月作成)
研究課題:いちご疫病の総合防除対策および疫病抵抗性簡易検定法
       (いちごの疫病に対する総合防除対策)
担当部署:道南農業試験場 研究部 病虫科・作物科、
協力分担:渡島農業改良普及センター、JA新函館、ホクレン、北海三共株式会社
予算区分:道費
研究期間:2003〜2005年度(平成15〜17年度)

 

1.目的
 北海道内で近年発生が急増し、いちご生産に大きな被害を与えているいちごの疫病の発生実態を把握する。また、健全苗の生産技術、化学農薬および還元消毒の防除効果を検討するとともに、主要品種の抵抗性を評価し、これらを組み合わせた総合防除対策を構築する。さらに、抵抗性品種育成を推進するために、育種に利用可能な疫病の抵抗性簡易検定法を開発する。

2.方法
1)発生実態調査
  ①発生分布:1999年〜2006年までの8年間の病害虫診断試験により発生実態を調査した。
  ②菌種の同定:道内各地より分離した菌株を同定した。
2)薬剤および還元消毒による防除対策
  ①採苗ほ:露地採苗法における薬剤処理効果を検討した。 
  ②本ぽ:薬剤および還元消毒の防除効果を検討した。 
3)主要品種の疫病抵抗性評価:汚染ほ場において主要品種の疫病抵抗性を評価した。
4) 疫病抵抗性簡易検定法の開発:魚箱を用いた簡易な疫病抵抗性検定法を考案した。

3.成果の概要
1)発生実態調査
 ①発生分布:発生地域は12支庁管内46市町村におよび、ほぼ全道的に発生している実態が明らかとなった(図1)。本ぽでの発生は、一季成り品種では4〜6月、四季成り品種では6月に
  多く、採苗ほでの発生は7月に最も多かった。品種別診断件数は、一季成り品種では「宝交早生」、「けんたろう」、「きたえくぼ」、「さがほのか」が多く、四季成り品種では「エラン」、「き
  みのひとみ」が多かった。
 ②菌種の同定:道内における疫病発生の主体はPhytophthora cactorum によるものであった。
2)薬剤および還元消毒による防除対策
 ①採苗ほ:露地採苗法では、薬剤処理を行っても子苗への疫病感染を防ぐことができなかった。そのため、疫病汚染ほ場においては、もみがら採苗法(平成18年・普及推進事項)により
  採苗する必要がある。
 ②本ぽ:還元消毒(フスマまたは米糠1t/10a施用