成績概要書 (2007年1月作成)
研究課題: セミソリッドふん尿用固液分離装置と分離液の肥効特性 |
1.目的
畑作酪農地帯においてセミソリッドふん尿を適正に処理し有効活用するために、農家の既存ふん尿貯留施設に対し導入可能な固液分離システムを開発するとともに、分離液の飼料作・畑作における肥効特性を検討する。また、開発された固液分離システムの導入に当たって、利用方式別の費用を試算する。
2.方法
1) 畑作酪農地帯に求められる固液分離システムの検討(実態調査)
2) セミソリッドふん尿用固液分離システムの開発
3) セミソリッドふん尿の固液分離液の肥効特性の検討
4) 開発された固液分離システムの経済性評価と導入可能性の検討
3. 成果の概要
1) 畑作酪農地帯は酪農家と耕種農家が地域内に混在しており、ふん尿を固液分離することで、利活用しやすい基盤がある。スラリー用固液分離機利用農家の実態調査により、セミソリ
ッドふん尿用固液分離システムの開発には、①簡易な構造で初期投資と利用費用(固定費)の低減を図る、②分離液の肥効特性を明確にするという課題があることが整理された。
2) セミソリッドふん尿を排出する農家の既存施設に対して後付けで設置可能で、農家間移動利用も可能な固液分離システムとして、マニュアスプレッダを定量供給装置に改造してスクリ
ュープレス式固液分離機(セミソリッドふん尿対応・分離メッシュ径5mm・処理量2t/hr)の上部に配置したシステムを開発した(図1)。このシステムを農家で実証運転し、麦稈敷料混入ふん
尿(水分81〜88%)、およびオガクズ混入ふん尿(水分約83%)について2t/hr前後(1.37〜2.65t/hr)の処理能力で固液分離が可能であることを確認した(図2)。分離固分は容積重が小さく、
60℃以上の発酵温度となる良好な堆肥化が進行した。分離液分の粘度は1560mPa・s以下でありスラリーとしての取り扱いが可能であった。
3) セミソリッドふん尿固液分離液の養分簡易推定法としては現行のスラリーの養分含量の推定式が利用可能であった