【普及上の参考事項】
亜麻輸入品種に関する試験成績
特用作物第2研究室 |
昭和29年及び昭和30年の2ヶ年に亘り、9品種がオランダより輸入され、琴似、十勝、北見の各場で試験を行うと共に、各地に委託試験を行った結果、比較的成績の良好なウイーラ、ノーブレッセ、ダイヤナは、昭和31年度各地で試作を行うため、輸入の手続きが取られているので、従来の試験成績の概要を紹介する。
1. 特性の概要
ウイーラ : 稚苗の色は濃く、草丈は「サギノ-1号」より低く、熟期は大差がない。花色は白で倒伏に甚だ強い。茎収量は「サギノ-1号」とほぼ同程度であるが、子実収量は著しく多
く、その千粒重も重い。繊維歩粒及び品質は高く、草型も従来の本道品種と異なり輸入品種中最も普及性の高い特性を有している。
ノーブレッセ : 前輸入品種同様稚苗の色濃く、草丈はウイーラと同様低い。熟期は「サギノ-1号」より4~5日遅い。花色は従来の品種と同様青花である。茎収量は、本場に於いては
「サギノ-1号」より稍多いが十勝、北見では大差がない。子実収量は前記ウイーラに劣るが、「サギノ-1号」より多い。繊維歩粒畄品質共に良好である。
ダイヤナ : 稚苗の苗は濃く、熟期はノーブレッセとほぼ同程度である。草丈は前記2品種より高く「サギノ-1号」程度である。倒伏は前記2品種より稍弱い。茎収量及び子実収量は
「サギノ-1号」より多いが前記2品種に劣る。
2. 成績(琴似、十勝、北見、三場平均)
品種名 | 開花始 (月日) |
草丈 (cm) |
1/10陌当(kg) | 繊維 | ||||||
茎重 | 百分比 | 子実重 | 百分比 | 繊維重 | 百分比 | 歩畄 | 品質 | |||
ウイーラ | 7.4 | 81.2 | 424.4 | 105 | 76.3 | 119 | 90.3 | 111 | 21.73 | F4 |
ノーブレッセ | 7.6 | 82.1 | 437.8 | 108 | 70.4 | 110 | 95.6 | 117 | 22.48 | 〃4 |
ダイヤナ | 7.6 | 82.5 | 435.1 | 107 | 66.0 | 102 | 91.1 | 112 | 21.74 | 〃4上 |
サギノ-1号 | 7.2 | 84.8 | 405.7 | 100 | 64.1 | 100 | 81.7 | 100 | 20.63 | 〃4 |
3. 各場委託試験成績平均
品種名 | 開花始 (月日) |
草丈 (cm) |
1/10陌当(kg) | 繊維 | 倒伏 程度 |
||||
茎重 | 百分比 | 子実重 | 百分比 | 歩畄 | 品質 | ||||
ウイーラ | 7.5 | 88.7 | 447.0 | 102 | (38.6 | 216) | (19.79 | F3上) | 極少 |
青柳 | 7.8 | 93.8 | 501.0 | 115 | (25.3 | 141) | (18.70 | F3下) | 少 |
本系54号 | 7.8 | 91.9 | 501.6 | 115 | (25.4 | 142) | (18.75 | 〃 ) | 〃 |
サギノ-2号 | 7.4 | 93.0 | 436.4 | 100 | (17.9 | 100) | (19.19 | 〃 ) | 多 |
種子が重いことと倒伏に強いことから播種量を従来より1升内外増すことが必要である。
註) これらの試作は青柳が増殖普及に至るまでの暫定措置である。