【普及奨励すべき事項】
水稲 フクユキ(福雪)(上育202号)について

北海道立農業試験場上川支場

 

Ⅰ 来歴
 本種は北海112号×農林34号から選抜育成されたものである。

Ⅱ 特性概要
 1. 出穂期は「農林34号」と大差はないが、成熟期はやや遅く、早生の晩に属する。
 2. 草型は穂数型で、中稈、穂の長さは中程度で、粒着やや密、無芒である。
 3. 稲熱病抵抗性は「農林34号より弱いが「白雪」程度である。
 4. 冷水抵抗性は遅延型、障害型ともに「農林34号」よりややまさり、強の部に入る。
 5. 耐倒伏性は「農林34号」より劣り中程度である。
 6. 収量は直播栽培においては「農林34号」に比べ30年には大差ないが、31年及び32年共に約12%まさっている。
   移植栽培においては「農林34号」に比べやや優り、31年の冷害年を除いても、栄光、豊光と同程度である。現地試験では、直播移植ともに「農林34号」よりまさっている。
 7. 玄米の形状はやや長く、大きさは中程度である。品質は「農林34号」よりは劣り、検査等級は3等の中下であった。
   食味は「農林20号」よりやや優り、中位である。

Ⅲ 栽培上の注意事項
  (1) 熟期および耐冷性の点から、早中生種地帯に適するが、耐病性の点から稲熱病の発生し易いところでは栽培をさけるべきである。
  (2) 初期成育は良好である。出穂期は農林34号程度であるが、登熟期間が長く、成熟期では農林34号より3日くらい遅れる。耐冷性は強いが耐病性、耐倒伏性はあまり強い方ではな
    いので、多肥栽培では倒伏と稲熱病によって減収する恐れがあり、かつまた、多肥にした場合不稔が増す傾向があるので注意を要する。しかし普通肥少肥の場合はすぐれた収量
    を示すものと考える。

Ⅳ 成績
  ナガミノリの項参照
 比較品種の施肥量区別収量 昭和32年
    施肥量区分
   項目
品種名
平均
出穂期
成熟期 反当俵 比率 出穂期
成熟期 反当俵 比率 出穂期
成熟期 反当俵 比率 出穂期
成熟期 反当俵 比率 出穂期
成熟期 反当俵 比率
フクユキ 2.13 18.5 6.74 115 4.75 25.0 8.14 108 4.25 28.5 8.50 95 5.00 33.8 7.58 89 4.03 26.4 7.74 101
早生錦 1.13 15.5 5.86 100 4.38 23.6 7.46 99 3.75 26.6 8.73 101 4.38 29.5 8.31 98 3.41 23.8 7.59 100
農林34号 2.13 15.9 5.85 100 5.00 23.4 7.53 100 5.50 24.8 8.92 100 5.75 29.1 8.51 100 4.59 23.3 7.63 100