【指導上の参考事項】

Ⅰ　指導上の注意
　高位泥炭地の畑土壌は酸性を呈し、苦土の欠乏したところが多いが、このような土地においては、窒素質肥料としては、尿素が硫安に優り燐酸質肥料では熔成燐肥が過燐酸石灰に優ることが認められた。

Ⅱ　成績
　1.　供試作物　　　　燕麦(前進)
　2.　施肥量(反当)　　　　　堆肥200貫　　窒素1.2貫　　　燐酸1.5貫　　加里1.5貫
　3.　PH　　　　　
　　　　播種前(4月29日)　　　　　　 4.18
　　　　播種後(6月6日)　　　
　　　　　　　　　無窒素区　　　　　　3.90
　　　　　　　　　硫酸アンモニア区　　4.08
　　　　　　　　　尿素区　　　　　　　 4.35
　　　　　　　　　無燐酸区　　　　　　3.95
　　　　　　　　　過燐酸石灰区　　　3.82
　　　　　　　　　熔成燐肥区　　　　 4.20
　4.　生育および収量調査成績

試験区別		成熟期 (月日)	成熟期		反当収量(kg)			収量 割合(%)	反当 俵数(俵)	子実/ 総重(%)	一立重 (g)	千粒重 (g)
			草丈(cm)	茎数(本)	総重	茎稈重	子実重
A	無窒素区	8.13	120.7	25	333.2	185.8	136.2	53	3.41	41		248
	硫酸アンモニア区	8.20	168.7	28	710.6	432.3	256.8	100	6.42	36	425	247
	尿素区	8.14	161.7	32	800.5	463.5	309.6	120	7.74	39	446	269
B	無燐酸区	8.22	146.9	28	628.4	384.1	217.9	70	5.45	35	422	257
	過燐酸石灰区	8.20	149.8	35	759.3	423.7	311.0	100	7.78	41	432	259
	熔成燐肥区	8.13	159.0	36	843.4	462.0	353.3	114	8.83	42	446	278

　窒素質肥料では尿素区は硫安区に比し初期より生育良好であった。硫酸アンモニア区は初期よりマグネシウム欠乏症状も顕著であるが、作況の進むにしたがいマグネシウム欠乏も回復し他の各区よりも旺盛な生育を示すに至るも、作況は著しく遅延し登熟の状況も劣る。尿素区は生育初期においてはマグネシウム欠乏症状は硫酸アンモニア区程には見られない。
　燐酸質肥料では熔成燐肥は当初より健全な生育過程を示し作況も進捗する。これに反し過燐酸石灰区は初期より生育劣り、マグネシウム欠乏症状が明確で生育の状況も著しく不整を示す以後次第に回復し生育も漸次旺盛となるが作況は著しく遅延し登熟の状況は劣る。