【指導参考事項】
肉牛の若令肥育試験
道立滝川畜産試験場

Ⅰ 試験目的
 食生活の改善に伴って近年畜肉の消費が著しく増加し、これに応ずるため今後肉用牛の積極的増殖が必要と思われる。その対策の一環として当場に於て昭和34年秋より黒毛和種と日本短角種の去勢牛を用い、肉牛肥育においてまず取り上げねばならぬ去勢牛の若令肥育を実施した。
 第1次試験では、両種3頭を用い従来奨励されている慣行法に準じて試験を行い、第2次試験では各4頭を用い、特に夏季全放牧と短期肥育による若令試験を行った。
Ⅱ 第1次試験
 1. 試験方法
  (1) 供試牛
 第1表  供試牛名
番号 各号 品種 生年月日 血統 産地 入場時体重
(㎏)
1 宝国 黒毛和種 34.2.5 田中 たから6 白老町 196
2 沢松 34.4.5 しけふじ1 149
3 石松の1 34.4.5 まつを 152
4 ヨシハル 日本短角種 34.3.1 金楼 ヨシハルの1 幌泉町 241
5 玉沢の5 34.3.20 第2アカデアン
マドグスタワー
5沢の1 230
6 細畑の1 34.4.22 金楼 細畑 202
 注 黒毛和種は現地で哺乳中に去勢済、日本短角種は34.10.10に去勢実施。

  (2) 試験期間
 第2表  試験期日
期別 期間 日数 備考
34.12.9~35.5.8 152 品種別に群飼
35.5.9~35.9.8 123 単飼
35.9.9~35.12.12 95 単飼
全期 34.12.9~35.12.12 370  

  (3) 飼料給与
 栄養分の目安はN.K.C肉牛飼養標準(第3表、第4表、第5表)に従ったが、実際の給与に当っては慣行法に従い濃厚飼料は体重に対する割合、粗飼料は飲食できる程度給与した。
 第3表  N.R.C肉牛飼養標準
  試験開始時(生後8ヶ月) 終了時(生後20ヶ月)
DM 2.9㎏ 2.1㎏
DCP 0.2㎏ 0.17㎏
TDN 1.9㎏ 1.5㎏

 第4表  濃厚飼料の給与量
期別 濃厚飼料の給与量(体重比)
黒毛和種 日本短角種
0.5~1.3% 平均1.0% 0.5~1.0% 平均0.8%
0.5~1.3% 平均0.7% 0.5~1.0% 平均0.6%
1.2~1.7% 平均1.4% 1.2~1.7% 平均1.4%

 第5表  濃厚飼料の配合割合
期別 燕麦 フスマ 米糖 脱脂糖 大豆粕
40 25 25 - 10
45 25 - 20 10
50 35 - 10 5

  (4) 飼養管理
 飼養管理は次のとおり行った。
 ア. 飼料給与回数はⅠ、Ⅱ期には朝夕2回、Ⅲ期は朝、昼、夕の3回とした。
 イ. 乾草、生草類は草架にて与え、根等は細切、ビートパルプは水浸、燕麦は換割し、他の濃厚飼料と混じ飼槽で給与した。
 ウ. 給水は朝夕2回行った。
 エ. 第Ⅰ期、第Ⅲ期は含飼、第Ⅱのうち35年5月20日より6月30日までは昼間放牧(路傍)7月1日より9月2日まで夜間放牧(野草地)とした。
 オ. 運動は1日1時間程度自由運動、手入れは毎日十分行い、敷わらも毎日取り換えた。
 2. 試験成績
  (1) 体重の増加
 両品種の増体は、試験中に重症の慢性腸カタールを起した和種2、3号牛を除いても日本短角種が黒毛和種よりも優れていた。
 1日平均増体重、両種共Ⅰ期が最も秀れ、次いでⅢ期。Ⅱ期の放牧時期は最も悪かったが、その原因として給与養分の不足が考えられる。
  (2) 体格各部位の増加
 各部位の測定の結果、各部位とも日本短角種が黒毛和種より大で大柄であることがわかるが、測尺の結果からは両種の体型に顕著な差は認められなかった。しかし外貌上からは肋張り腿の充実等の点は可成り差異が認められ、日本短角種は黒毛和種より肉用タイプの体型を有しているものと考えられる。
  (3) 飼料の摂取並びに利用性
 飼料養分の摂取総量について和種1号と短角種平均とを比較すると、粗飼料摂取量は乾草換算で、1,500㎏、1,700㎏、濃厚飼料は1,300㎏:1,350㎏、T.D.Nは1,640㎏:1,750㎏、D.C.P256㎏:270㎏となっている。これからわかるように短角種は濃厚飼料摂取量では大差ないが、粗飼料摂取量がやや多い結結となった。又養分摂取では約6%上回った。なお従来の若令肥育における飼料摂量、濃厚飼料の1,500㎏、粗飼料1,200㎏に比して濃厚飼料の摂取量が少なかった。
 次に1㎏増体に要した養分では全期を通じてみて和種1号と短角種とでは殆ど差は認められなかった。
 しかし期別にみると短角種はⅠ期のT.D.N効率が秀れているが、第Ⅲ期になると更に和種の方が秀れる傾向が現れる。
 このことは短角種の方がより早熟なることを示していると思われる。
 第6表  体重の増加(㎏)
品種 番号 第Ⅰ期 第Ⅱ期 第Ⅲ期 全期間
増体重 1日平均
増体重
増体重 1日平均
増体重
増体重 1日平均
増体重
開始時 終了時 増体重 1日平均
増体重
黒毛和種 1 102 0.57 67 0.55 66 0.69 238 473 235 0.64
2 94 0.62 8 0.07 67 0.71 188 357 169 0.46
3 83 0.55 34 0.28 45 0.47 183 345 162 0.44
平均 93.0 0.61 36.3 0.30 59.3 0.62 20.30 391.7 178.7 0.51
日本短角種 1 129 0.85 65 0.53 79 0.83 278 551 273 0.74
2 109 0.72 71 0.58 56 0.59 264 500 236 0.64
3 124 0.82 69 0.57 72 0.75 229 494 265 0.72
平均 120.7 0.80 68.3 0.56 69.0 0.73 257.0 515.0 258.0 0.70

 第7表  1㎏増体に要した養分量(㎏)
  1 2 3 和種平均 4 5 6 短角種平均
T.D.N 7.49 6.36 7.07 6.97 6.55 7.13 5.72 6.47
D.C.P 1.10 0.93 1.04 1.02 0.93 1.02 0.81 0.92
T.D.N 5.12 36.15 8.08 16.45 5.87 5.11 5.02 5.33
D.C.P 0.83 5.80 1.30 2.63 0.95 0.83 0.81 0.86
T.D.N 8.09 6.73 9.60 8.16 8.06 10.71 8.25 9.01
D.C.P 1.46 1.11 1.60 1.39 1.35 1.79 1.37 1.50
全期 T.D.N 6.96 7.93 7.65 7.56 6.83 7.89 6.25 6.82
D.C.P 1.09 1.19 1.19 1.17 1.05 1.15 0.97 1.06

  (4) 飼料費
 飼料費については第8~第9表の如くであるが、全期の飼料費は和種1号と短角種は何れも5万円内外で大差なく、また和種3、3号は約4万円となった。
 第8表  各期の飼料費(各期日1当り飼料費)
  1 2 3 和種平均 4 5 6 短角種平均
Ⅰ期 19,895
(130.9)
15,521
(102.3)
15,320
(100.8)
16,912
(111.3)
20,596
(135.5)
18,996
(125.0)
17,272
(113.6)
18,955
(124.7)
Ⅱ期 10,441
(94.9)
8,622
(70.2)
8,178
(66.5)
9,080
(73.8)
11,170
(90.8)
10,867
(88.4)
10,413
(84.6)
10,817
(87.9)
Ⅲ期 19,253
(202.7)
16,074
(169.4)
15,203
(160.1)
16,843
(177.4)
23,229
(244.5)
21,753
(229.0)
21,407
(225.3)
22,130
(232.9)
全期 49,589
(134.0)
40,217
(108.7)
38,701
(104.6)
42,835
(115.8)
54,995
(148.6)
51,616
(139.5)
49,092
(132.7)
51,902
(140.3)

 第9表  各期増体1㎏当たりの飼料費
  1 2 3 和種平均 4 5 6 短角平均
Ⅰ期 195.4 165.0 183.3 181.2 159.4 173.6 138.5 157.2
Ⅱ期 154.2 100.9 237.5 464.9 171.3 152.4 148.4 157.4
Ⅲ期 307.1 252.8 355.8 305.2 309.5 402.3 323.5 345.1
全期 211.0 238.6 238.9 229.3 201.4 218.7 185.3 201.8

 この濃厚飼料費と粗飼料費の割合は3:1であり、従来推奨されていた若令肥育法の4:1以上に較べ濃厚飼料が若干節約された。
 1日当りの飼料費は放牧したⅡ期が非常に安価であった。
 1㎏増体に要した飼料費は、1㎏増体に要した養分と同様に短角種はⅠ期の飼料費効率は良いがⅢ期は逆に和種が優れる傾向があり、特に5号牛はⅢ期の効率悪く、より早く屠殺した方が経済的に有利であったと思われる。
  (5) 屠殺解体成績
 枝肉歩留は和種平均58.7%、短角種60.4%と従来の成績と逆に短角種が優れたが、和種2、3号が増体悪く、歩留が悪かった点と短角種5号牛が歩留が特によかったので、和種の歩留が短角より劣るとは断言できない。
 肉質では、若令肥育は肉色、肉質、脂肪の状態は充分満足できるものである。両種の比較では、和種は肉色、肉質、屠体に対するロースの大きさで優れ、皮下脂肪の厚さ、脂肪ののりは短角種が優れていた。
 第10表  屠殺成績
  1 2 3 和種平均 4 5 6 短角平均
試験終了時体重㎏ 473 357 345 392 551 500 494 515
屠殺前体重㎏ 454 343 332 376 529 480 474 494
冷屠体重㎏ 277.5 196.8 191.2 221.8 311.2 301.8 281.2 298.1
歩留% 61.1 57.4 58.6 58.7 55.9 62.9 59.3 60.4
除去部位
の重量
( )内%
頭㎏ 151.1(3.3) 13.0(3.8) 13.0(3.9) 13.7(3.6) 17.2(3.3) 16.1(3.4) 15.0(3.2) 16.1(3.3)
肢端㎏ 1.8(1.5) 5.6(1.6) 5.2(1.6) 5.9(1.6) 8.8(1.7) 7.7(1.6) 8.1(1.7) 8.2(1.7)
生皮㎏ 33.0(7.3) 15.7(4.5) 15.2(4.6) 21.3(5.7) 36.4(6.9) 37.7(7.9) 35.4(7.5) 36.5(7.4)
計㎏ 54.9(12.1) 34.3(15.0) 33.4(10.0) 40.9(10.9) 62.4(11.8) 61.5(12.8) 58.5(12.3) 60.8(12.3)

 第11表  肉質の状態
  筋肉内脂肪の交雑
(ロース)
ロース芯の大きさ
(5.6肋骨断面)
肉色 脂肪ののり ばりの厚さ 皮下脂肪の厚さ
1 +++ 9.2×5.5㎝ +++ +++ 5.3㎝ 1.7㎝
2 + 8.7×4.8 ++ + 3.8 0.5
3 + - ++ + - -
4 ++ 7.6×5.3 +~++ ++ 4.2 1.8
5 + 7.8×4.6 +~++ +++ 3.2 2.1
6 + - +~++ ++ - -

  (6) 肥育収支の概算
 供試牛は両種とも時価評価で購入し、試験終了後屠殺し枝肉のせり売販売した。
 肥育の収支として枝肉販売価格、厚皮販売価格を収入、素牛購入価格、飼料費、市場手数新、屠殺料を支出とし、その差を差引益金とみた。
 差引益金は従来1万円内外であるが、今回は和種1号と短角が3~5万円、和種2、3号牛が1万円と、かなり高く取引きされた。
 第12表  収支の概算
  1 2 3 和種平均 4 5 6 短角平均
収入 枝肉販売価格
( )内枝肉単価
100貫当り
115,440
(155)
73,500
(140)
71,400
(140)
86,780
(145)
131,140
(158)
124,775
(155)
105,750
(141)
120,555
(191)
原皮価格 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000
119,440 77,500 75,400 90,780 135,140 128,775 109,750 124,555
支出 素牛価格 25,000 25,000 25,000 25,000 26,800 25,000 27,500 26,757
飼料費 49,589 40,217 38,701 42,836 54,995 51,616 49,092 51,901
市場手数料 2,308 1,470 1,430 1,736 2,622 2,495 2,115 2,411
屠殺料 800 800 800 800 800 800 800 800
77,697 67,487 65,931 70,372 85,217 80,911 79,507 81,879
差引益金 41,743 10,013 9,469 20,408 49,923 47,864 30,243 42,676

Ⅲ 第2次試験
 1. 試験方法
  (1) 供試牛
 供試牛は35年3月3日~同5月15日までに生まれた黒毛和種4頭、日本短角種4頭の計8頭を用いた。
  (2) 試験期間
 第13表  試験期間
期別 期間 日数
肥育期 Ⅰ期 36.9.5~36.10.4 30
Ⅱ期 36.10.5~36.11.13 40
Ⅲ期 36.11.14~36.12.13 30
36.9.5~36.12.13 100
期別 期間 日数
育成期 前期 36.2.7~36.5.17 100
後期 36.5.18~36.9.4 110
36.2.7~36.9.4 210
全期 36.2.7~36.12.13 310

  (3) 試験区分
 育成期間中は全供試牛同様飼育を行い肥育期に入ってから次の如く区分した。
   イ 肥育区分:育成試験終了牛を各品種とも体重上位のものと下位のものを同数2群とし、上位のものA肥育区(肥育Ⅰ期は放牧、Ⅱ期以降舎飼)、下位のものをB肥育区(肥育Ⅰ期より舎飼)とした。
   ロ 肥育剤区分:肥育効果を高めるため品種及び肥育区分に影響のないように、ノベックス-S、あるいはウルジールを投与した。
  (4) 養分給与計画
 養分給与はモリソン(新-fattening-yearling cattle)標準を基準とした。
  (5) 飼料給与計画
 飼料給与にあたっては前記の標準に合致させ両品種とも同様な割合で給与した。
 なお、肥育期は肥育効果を高めるため乾草は飽食できる程度与えた。濃厚飼料給与量は従前推奨されている量の2~3割低いレベルとして可能な限り経済的な飼養に努めた。
 第14表  飼料給与計画
   配合飼料 馬鈴薯 カブ デントコーン
サイレージ
乾牧草
予備期 0~0.5% - - 2 2
育成前期 0.9 0~0.5 0~0.5 1.2~1.8 1.8
育成後期 - - - - -
肥育Ⅰ期 1.1 2.4 - - 1.1
肥育Ⅱ期 1.35 2.0 - - 0.9
肥育Ⅲ期a 1.6 0.8 0.8 - 0.7
肥育Ⅲ期b 1.8 - - 1.5 0.5
 注 体重に対する給与量、肥育Ⅲ期の前半20日間をa、後半10日間をbとす。

 第15表  濃厚飼料の配合割合
  燕麦 屑米 米糖 フスマ 大豆粕 D・M D・C・P T・D・N
予備・育成前期 40% - 30 20 10 87.3% 13.1 70.9
肥育Ⅰ期 27 27 37 - 9 87.3 11.8 75.5
肥育Ⅱ期 30 37 29 - 4 87.1 9.9 75.3
肥育Ⅲ期a 37 37 13 13 - 87.0 9.0 72.6
肥育Ⅲ期b 66 - 17 17 - 87.0 9.8 68.5

  (6) 飼育管理
   イ 各期の飼養管理
 育成前期:舎飼但し、4月28日~5月17日まで20日間放牧-A放牧地(1日4時間)
 育成後期:全放牧(食塩のみ補給)
5月18日~6月6日 20日間 B、C 放牧地
6月7日~6月21日 15日間 C 放牧地
6月22日~8月5日 45日間 D 放牧地
8月6日~9月4日 30日間 B、E 放牧地

 肥育Ⅰ期
  A肥育区は全日放牧
  B肥育区は舎飼(単飼)
 注
  A放牧地 野草地2ha
  B放牧地 不良牧草地2ha
  C放牧地 笹地3.5ha
  D放牧地 普通牧草地1.5ha
  E放牧地 野草地3ha

 肥育Ⅱ期、Ⅲ期:舎飼(単飼)
   ロ 一般飼養管理:飼料給与回数は育成期、肥育Ⅰ期は朝夕2回、肥育Ⅱ、Ⅲ期は朝昼夕の3回とし、運動は1日1~2時間とした。
 2. 試験成績
  (1) 体重の増加
   ア 育成期:育成終了時体重は和種319~343㎏、短角種364~387㎏で両種ともかなり斉一な増体がみられたが予期体重に比して20~25㎏低く、100日肥育の素牛としては体重やや不足と思われた。育成期別に見ると各品種とも全放牧した後期の増体がよく育成前期が悪かった。
 品種別に見ると育成前期では1日増体量は両種ほとんど差がなく、後期では短角は和種に比して優れていた。また各種放牧地における増体量も短角種が優れ、短角種の放牧利用性(和種390~440㎏、短角種476~496㎏)が高いことを示している。
   イ 肥育期:肥育終了時体重は両種とも若令肥育牛の標準仕上げ体重に及ばなかったが、これは素牛の体重に対し肥育期間が短かったことによる。(今回の期間は70日~100日)肥育全期の1日平均増体量は和種0.67㎏、短角0.81㎏で、短角種は斉一な増体を示したが、和種は個体差が著しかった。次の肥育期別に見るとⅠ期ではA区が各品種ともB区より著しく悪く、秋の野草放牧地における増体不良を示している。Ⅱ、Ⅲ期はおおむね順調、特にⅢ期はおおむね順調、特にⅢ期は良好であった。
 肥育促進剤シノベツクスS投与区とウラジール投与区の増体差は全く認められなかった。
 第16表  体重の増加

番号 開始時
体重
育成前期 育成後期
増体重 1日
平均
増体重
(㎏)
B・C C D B・E
増体重 1日
平均
増体重
増体重 1日
平均
増体重
増体重 1日
平均
増体重
増体重 1日
平均
増体重
増体重 1日
平均
増体重



1 711 52 0.52 17 0.85 16 1.07 18 0.42 18 0.60 69 0.63
2 215 48 0.48 15 0.75 19 1.27 8 0.18 14 0.47 56 0.51
3 192 50 0.50 18 0.90 11 0.73 30 0.67 23 0.77 92 0.75
4 193 48 0.48 27 1.35 22 1.47 20 0.44 17 0.57 86 0.78
平均 205.5 49.5 0.495 19.3 0.96 17.0 1.13 19.0 0.42 18.0 0.60 72.3 0.66




5 243 53 0.53 30 1.50 17 1.13 24 0.53 20 0.67 91 0.83
6 252 52 0.52 17 0.75 28 1.87 19 0.42 16 0.53 80 0.76
7 223 44 0.45 28 1.40 21 1.40 23 0.51 24 0.80 96 0.87
8 221 70 0.70 15 0.75 15 1.00 40 0.89 19 0.63 89 0.81
平均 234.8 55.0 0.55 22.5 1.13 20.3 1.36 26.5 0.59 19.8 0.66 89.0 0.81

番号 肥育期 終了時
体重
全期
Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 増体重 1日
平均
増体重 1日
平均
増体重 1日
平均
増体重 1日
平均
増体重 1日
平均



1 7 0.23 59 1.48 31 1.03 97 0.97 440 218 0.76
2 20 0.67 44 1.10 39 1.30 103 1.03 422 207 0.67
3 6 0.20 24 0.60 36 1.20 66 0.66 390 198 0.64
4 8 0.27 24 0.60 47 1.57 71 0.79 406 213 0.61
平均 10.3 0.26 37.8 0.95 38.3 1.28 862 0.86 414.5 209 0.67




5 11 0.37 43 1.08 45 1.50 99 0.99 486 243 0.98
6 26 0.87 35 0.88 43 1.43 104 1.04 488 236 0.76
7 38 1.27 33 0.83 41 1.37 112 1.12 476 253 0.82
8 45 1.50 40 1.00 31 1.03 111 1.16 496 275 0.87
平均 30.0 1.00 37.8 0.95 40 1.33 108.7 1.08 486.5 251.7 0.81

  (2) 飼料の摂取量
 育成期:各個体の正確な摂取量は不明。
 肥育期:体重比で給与したが、短角はよく、和種は劣った。
  (3) 飼料の脂溶性及び飼料費
 育成期:両種には大差ないものと思われる。
 肥育期:両種にほとんど差がなく、一般試験成績よりかなり高率の成績を示したのは肥育期間が短かったこと、肥育剤投与の効果によるものと思われる。
  (4) 屠殺成績
 歩留は和種58.8%、短角種56.1%と肥育程度不足のため標準を下回った。品種別では和種が短角種にくらべ高く、肥育促進剤別では、シノベックス-S区がウラジール区にくらべ高い傾向を示した。しかし肥育期間の長短による差は認められなかった。
 第17表  屠殺成績
    終了時体重
(㎏)
屠殺前体重
(㎏)
冷屠体重
(㎏)
歩留 %
冷屠体重・
終了時体重
歩留 %
冷屠体重・
屠殺前体重
和種 1 440 390 239 54.3 61.3
2 422 390 223 52.8 57.2
3 390 350 213.5 54.7 61.0
4 406 380 213 52.2 55.8
平均 414.5 377.5 221.9 53.5 58.8
短角種 5 486 450 251 51.6 55.8
6 488 450 245 50.2 54.4
7 476 430 253.5 53.3 58.9
8 496 460 255 51.4 55.4
平均 486.5 447.5 251.1 51.6 56.1

 枝肉の状態は第1次試験のものにくらべ重量、皮下脂肪の附着、脂肪の交雑等全般に劣った。品種間では短角種は和種より筋肉脂肪量、皮下脂肪の附着において劣った傾向を示した。
  (5) 収支概算
 せり市で生体販売したが、肥育販売価格を収入、素牛価格、飼料費、及び放牧費を支出としその差を益金とみると、和種6,000~17,000円、短角種20,000円~29,000円であった。
Ⅳ 総括
 肉牛の北海道に適した肥育方法を知る目的で黒毛和種、日本短角種の去勢牛を用い、2回にわたり若令肥育試験を行い次の結果を得た。
   ① 従来奨められている若令肥育法により全期間ある程度濃厚飼料を多給した場合、両種とも生後20ヵ月前後で満足できる肥育牛を仕上げ、十分収支を償い得る肥育を行うことができた。
   ② 夏期間終日放牧、舎飼期間中粗飼料多給で70~100日肥育による若令肥育によっては生後20ヵ月では十分なる肥育牛はできなかった。
   ③ 試験期間中の増体は、短角種が和種より優れる傾向が認められた。
   ④ 終日放牧時の増体は両種ともかなり良好であるが短角は和種より優るように見受けられる。
   ⑤ 短角種は食欲旺盛で飼料摂取量も多かったが和種はときどき食欲不振、給与飼料に対し飽きを示したものがあった。
   ⑥ 飼料効率は両種に著差は認められなかった。
   ⑦ 枝肉の歩留りは本試験で両種の差について明確な結論は得られなかった。
   ⑧ 肉質は中等度の肥育試験(第2次試験)においては、皮下脂肪附着で短角種やや優れ、やや高度の肥育試験(第1次試験)においては、筋肉内脂肪の交雑等で和種が優れるように認められた。