【指導参考事項】

(3) てん菜収穫機(タツパー・バーベスター)

Ⅰ 試験目的
 てん菜の省力機械化作業体系の中でも収穫作業に解決困難な問題が多く、従来から収穫機が導入され試験に供されたが特にタツピング機構が実用に適するまでにいたらず、この研究が要望されていた。
この点に注目し、専用のタツパーの開発をはかり、加えて、頸葉処理、収穫および堀取の各野で作業を可能ならしめこの組合せ利用により甜菜収穫機械化を進めんとする。
Ⅱ 試験方法
 試験に供した種類は、2機種あり、各々について試験を実施したが、
 A 作業能率試験
 B 性能試験
 に分けて行った。なお頸葉切断機の性能は、切断の過不足の量によって決定されるので、この表現方法を次の如くきめた。
 切断不足率 (%)
 切断された根部を過不足なく、手なおしした根重aとし手なおしした量をbとすればb/a+b×100を切断不足率とする。
 切断過分率 (%)
 切断された頸葉が過分に切除した量を集めこれをcとすればc/a+c×100を切断過分率とした。
 1)トラクター用2畦ビートタツパー(スガノ式)
  ア 試験条件
  1. 試験日時  昭和37年10月22日~24日
  2. 試験場所  河西郡芽室町 中川郡幕別町
  3. 供試作業機  スガノ式ビートタツパー
  4. 供試トラクター (芽室圃場)シバウラS17
              (幕別圃場)クボタT18
  5. 天 候、   晴、時々曇
  6. 圃場条件  (芽室圃場) 火山性砂壌土で平坦、畦巾60cm、反収3.1屯、雑草中程度、培土量やや多し、欠株はほとんどない。
             (幕別圃場)十勝川流域の沖積性埴壌土、畦巾55cm、反収4.6屯、雑草はほとんどなく、培土量少ない。欠株がほとんどない。
  イ 供試機の構造
  15PS級の小型トラクターの後部三点油圧装置によって支持され、2畦用であり、畦巾60?pにてきするが、55?pにも調節し得る。タツピングは傾斜するナイフで行うが、ナイフの直上に装置されているフイラーホイールによって切断厚さが規制される。フイラーホイールは駆動車輪の回転によって回転し、前進速度に対し、1.4周速度を有する。フイラーホイールとタツピングナイフとの間隔がビートの地上高の高低により、自動的に調節される様リンク機構が設けられている。

スガノ式ビートタツパー略図


   1 トラクター装着リンク
   2 駆動輪
   3 フイラーホイール
   4 フイラーホイール加圧調節スプリング
   5 切断位高低自動装置
   6 切断刃
   7 ストリツパー
  ウ 試験結果
  (A)連続作業による作業能率試験
   1.供試面積  1.8ha (470m×38.4m) 芽室圃場
   2.作業人員  2名 (運転手1名 追従作業員1名)
   3.平均作業速度  0.75m/sec
   4.作業過程 畦巾60cmの64畦であり、16往復で作業を終了した。各1回の往復作業時間は次の通りである。

回数 所要時間(分) 左中の施回時間 同停止時間
22分 24秒 4分
16分 45秒 -
25分 58秒 4分
18分 47秒 -
20分 62秒 3分
26分 45秒 3分
30分 84秒 8分
20分 46秒 2分
20分 45秒 3分
25分 39秒 5分
20分 41秒 2分
25分 52秒 3分
22分 48秒 2分
23分 45秒 2分
22分 52秒 2分
22分 23秒 2分
5時間56分 12分36秒 45分

 7往復目は注油に要した時間が加わっている。作業中停止時間の主なるものはタイピングナイフ基部に枯葉や雑草がつまり、これを除去した時間である。追従作業員はその除去に十字したり、畦をそれた場合運転手に注意をうながす役目をした。抽苔したビートの茎はフイラーホイールにつまりやすく、若干作業に支障を来した。圃場に4°内外の傾斜があったが、縦傾斜であったため、作業に支障がなかった。但し上り傾斜では若干速度が低下した。
   5.作業能率  毎日0.3ha
   雑草量が少なく抽苔が少なければ多少速度をあげることが期待される。

  (B) 作業精度試験                                         (芽室町)  
  
作業速度
(m/sec)

株間
(cm)
a
根重
(g)
b
切断不足
(g)
c
切断過分
(g)
b/a+b
不足率
(%)
c/a+c
過分率
(%)
Test  1 0.4 27.8 9.025 207 210 2.2 2.3
Test  2 0.4 26.3 8.311 275 415 3.2 4.7
Test  3 0.4 31.2 9.312 658 101 6.6 1.1
Test  4 0.4 33.3 6.759 10 777 0.2 10.3
Test  5 0.8 27.8 8.706 223 445 2.6 4.9
Test  6 0.8 26.3 8.597 426 281 4.7 3.2
Test  7 0.8 33.3 8.261 575 86 6.5 1.0
Test  8 0.8 31.9 7.787 138 692 1.7 8.2
Test  9 1.1 25.0 10.580 492 360 4.5 3.3
Test 10 1.1 26.3 8.423 460 162 5.2 1.7
Test 11 1.1 29.4 9.439 875 32 8.5 0.3
Test 12 1.1 31.2 8.001 203 303 2.5 3.7
 ただし、Test No.の奇数はフイラーホイールとナイフの間隔を狭く調節し偶数は広く調節した場合をしめす。

                                                  (中川郡幕別町)
     株間
(cm)
畦巾
(cm)
a
根重
(g)
b
切断不足
(g)
c
切断過分
(g)
b/a+b
不足率
(%)
c/a+b
過分率
(%)
Test No.1 17 55 372.3 37.1 0 9.06 0
Test No.2 22.7 55 433.6 549.5 0 11.25 0
比較区ハンドタツピング 21 55 741 54 0 6.74 0

                                                  (河西郡芽室町)
   株間
(cm)
作業
速度
m/sec
a
根重
(g)
頸葉重
(g)
b
切断不足(g)

切断過分(g)
a+b b/a+b
不足率(%)
c/a+c
過分率(%)
T/R
Test No.1 19.9 0.83 19.200 13.250 1.008 0 20.208 4.98 0 0.68
Test No.2 22.8 0.90 20.500 12.800 1.596 389 22.096 7.22 1.86 0.61
Test No.3 19.4 0.85 21.000 13.500 1.840 275 22.840 8.05 1.29 0.63
Test No.4 24.3 0.90 20.600 19.600 0.902 685 21.502 4.19 3.22 0.92
Test No.5 21.8 0.92 16.480 12.120 1.140 343 17.620 6.93 2.04 0.72
比較ハンド
タツピング
       18.700      1.105 0 19.805 5.54 0   

  

エ 考察
 ビートの植生から見て、切断不足も切断過分も零とすることは極めて困難であるが、前者を5%以内、後者を4%以内にとどめえるならば、実用に適すると認めてよかろう。人力でタッピングを行った場合でも5~7%の切断不足がある。切断過分を極端に嫌って調節すれば10%前後の切断不足を生ずるから、歩引が慣行よりも4~5%上廻る結果となるのでよくない。切断過分は収穫損失に該当するが、他の作物においても3~5%の収穫損失が生じている。
 作業速度と作業精度との関係について述べれば、作業速度が増加するにしたがって、切断過分量は減少するが切断不足量が増加し、反対に速度が低下すれば逆の傾向をもっている。しかし、株間の広狭が相当大きな影響をあたえる。一般には0.8~1.2/sec(2.9km/H~4.3km/H)の間で作業するとよい。
 培土量が多い場合には、根径の小なるものは、培土の中にうずまっており、フイラーホイールの働きがにぶるので、切断不足が多くなり茎葉がばらばらに切断され、根部の茎のつけ根が残ることがあるので培土量を多くすることは避けるべきである。
 本機の特徴とする切断位高低自動装置の果す役割は根径の不同がはげしい場合に大きい。一般に根茎の大なるものの地上露出度は大であり、多量にタッピングを必要とするから、フイラーホイールが背の高いビートに接したときにはフイラーホイールとナイフの間隔が大となるようリンク装置に工夫をこらしてある。但し、間引が不十分で株間が不揃いの場合特に大きな株のすぐ隣に小さな株がある場合にはフイラーホイールがその株に接する余裕のないまま切断することがあり、十分に働き得ない。この点からも適確に間引されているか等間隔に移植されることが望ましい。
 本機は試作開始後の2号機であり、市販するまでに多少改良する必要がある。例えばタッピングナイフの基部に茎葉がつかまることを完全になくすること。(現在70m位前進するとつまって来る)良質のベアリングを使用すること。車輪のラグの構造に考慮を加えること等である。
 2) トラクター用2畦ビートタツパー(山田トンボ式)
  ア 試験条件
  1.試験月日 昭和37年10月20日~30日
  2.試験場所 河西郡芽室町
  3.作物    甜菜導入2号  畦幅60cm
          垂直保持抵抗  20kg以上
          平均収量     37ton/10a
          平均スタンド   6,300本
          平均根長     17.0cm
          平均根径     9.5cm
  4.土壌    火山灰性壌土  平坦地
          土壌硬度  株間4.5 (中山式m/m)
                  畦巾17.0
          土壌水分  28%
  5.試験区  頸葉切断機は、頸頭の凹凸1株間距離、畦形状、作業速度に影響されるので以下の区を設定した。
   作業速度: 0.4/sec 0.8m/sec 1.1m/sec
   株間距離: 疎(10a当りスタンド4,000本)
           密(10a当りスタンド6,000本)
   イ 試供機の構造
   本機はフイラーホイールと切断刃の間隔は固定式で、頸頭型、畦状等によって間隔をセットしフイラーホイールの加圧力調製スプリングを調節する。また切断刃のスタンドおよびその下部に、葉莢雑物が捲きつくのを防止するため、コンケーブディスクを取付けてあるが、その角度、深さを適度に調節する。切断部、駆動輪等は55~65cmの畦間に正確に合わすよう移動可能である。
 上田トンボ農機式ビートタツパー略図>

番号 品  名 番号 品  名
駆動輪 フイラースプロケツト
動輪シヤフト フイラーホイル
動力伝達スプロケツト ストリツパー
動力伝達ローラチニン コンケイプデスク
中間シヤフト 切断刃
中間スプロケツト フレーイム
フイラーホイルチエン   

   ウ 試験結果と考察
   試験圃場は、トラクターカルチベーターを使用した畦が培土された状態であり、今回の小さなものは、土中に埋没している。試験の結果は次の通りである。
  A)作業能率試験
作業速度
米/秒
作業巾
ロスタイム
分/10a
作業能率
時間/ha
作業効率
%
タツピング投下労働時間
時間/ヘクタール 労働投下比
0.8 1.2 9 0.29 85 機械
(3.4×2)6.8
慣行 機械/慣行
95 1/14

 作業能率は、第1表の如くである。
 機械タツピング中は、作業補助人が1名機械の後にしたがい、莢雑物のつまりを除去し、または種々アドバイスをする。したがって作業人員は2名である。ロスタイムは作業機の廻行、および葉の詰まりを除去するために費した時間、慣行タッピング労働時間は堀取ったものにつき、手タツピングのみを行なう。この比較が1/14であり労働量は大きく減少せしめ得ることを知った。
  B)作業精度試験
 作業の精度は切断不足率、および切断過分率によって示されるが、各種条件下にあつて供試機の性能は次の通りである。切断不足率は普通栽植密度においては速度が速くなると少なくなり、切過率が高くなる傾向を示しているが切断過分は収穫ロスに影響するため作業速度をあまり速すぎないようにする作業速度が速くなれば、不切断株または横たおし切断が多くなり、性能は悪くなる。
 したがつて本株の作業速度は0.8m/sec程度が適当と考えられる。また、切断高さの高位は切断刃間隙をせまくすれば大となる傾向を示すが大にしすぎると切断過分が生ずる故、切不足分が5~6%程度生ずるよう(手でタツピングする場合普通この位の値となる)セットした方が良いと考えられる。
 作業中若干の切断量の調節はトツプリンクの伸縮によつて可能である。なお、実作業に当つて、駆動輪のスリツプ率が7~8%生じているため、機械的に駆動輪えの附加重を考慮する必要がある。また土砂、莢雑物よけのコンケープデイスクは、両方の角度が同じでない場合は、機体がいずれかに流れ、切断不良をきたすので調節に注意する。機体の振れに対して刃巾が若干せまいからフイラーホイールの巾をともに伸した方がよい。また加圧調節スプリングが強すぎる故、考慮する。

第2表
試験番号 スタ
ンド
本/10a
作業速度
m/sec
スリップ 切断刃間隙
(mm)
根重
ton/10a
頸葉重
ton/10a
T/R 切断不足
kg
切断過分
kg
不足率
%
過分率
%
作業機
駆動輪
トラクター
1 5,200 0.4 -7.5% 14% 53 3.40 2.70 0.79 241.0 46.0 6.6 1.3
2 5,700 0.4 48 4.10 3.10 0.74 171.0 85.0 4.0 2.0
3 4,000 0.4 53 2.70 2.10 0.72 50.0 230.0 1.8 7.8
4 3,700 0.4 48 2.40 1.70 0.69 147.0 83.0 5.8 3.3
5 6,000 0.8 -7.0 15 53 3.20 2.90 0.86 149.0 180.0 4.4 5.3
6 7,000 0.8 48 4.30 3.70 0.78 246.0 135.0 5.1 2.8
7 3,000 0.8 53 1.70 1.50 0.86 77.0 53.0 4.3 3.0
8 4,700 0.8 48 2.70 2.00 0.74 300.0 17.0 10.0 0.6
9 5,700 1.1 -7.0 16 53 3.20 3.20 0.91 52.0 312.0 1.6 8.8
10 7,000 1.1 48 3.90 3.30 0.80 61.0 253.0 1.5 6.0
11 5,000 1.1 53 2.60 2.50 0.94 170.0 68.0 6.1 2.5
12 4,000 1.1 48 2.40 1.80 0.74 201.0 45.0 7.7 1.8
13 5,700 0.8 -7.0 15 53 3.30 3.10 0.94 416.0 - 11.2 -
14 6,700 0.8 48 3.80 2.90 0.76 381.0 - 9.1 -

第3表  切断刃の追随性(Test No.13~14)
クリアランス a-b平均値 偏差 高位係数
48ミリ 1.4 1.15 82%
53ミリ 2.9 1.13 39
(註) a 基準線より第1葉節までの高さ
    b 基準線より切断刃通過あとの高さ
b a
  a-b=h>0の場合不足
(a) 作業速度と切断不足率の関係
       凡例
  密広……慣行スタンドで切断刃 
        間隙 53ミリ
  粗狭……株切れ区で切断刃
        間狭 48ミリ

第1図 A
(b) 作業速度と切断過分率の関係
       凡例
  密広……慣行スタンドで切断刃
        間隙 53ミリ
  粗狭……株切れ区で切断刃
        間隙 48ミリ

第1図 B

 3) トラクター用ビートデイガー(キヤツチポールタイプ)
 ア 試験条件
 1.試験月日  昭和37年10月25~11月5日
 2.試験場所  芽室町機械化実験集落
 3.試供機   キヤツチポールビートハーベスター(但、ビートタツパーの部分除去)
 4.試験圃場  スガノ式ビートタツパーを使用した後の圃場平坦地
 イ 試供機の利用状態
 本機は、キヤツチポール(英国)製、ビートハーベスターターと、ビートタツパー専用機との組合せ利用を目的としたため、タツピングの部分を除去してある。すなわち、最初の畦は、本機最後部に装置されたリーフビツカーにより頸葉が、拾い集められ、すでに堀取が終了した側の地上にロツトチエンコンベアにより移動放置される。
 第2の畦はスピンナータイプのリーフ、クリーナーが通過し、切株の位置を明確にする。
 第3番目の畦は、堀取を行い、ツーポイントのシヨベルで堀上げたビート根は複列のロツトチエンコンベアーで、はさまれて、タンクに貯められる。タンク容量は、大略100kg入れで、満タンク(50m堀取)になると放出する。堀取には、30馬力級のトラクターが必要である。本機には、タンクの開閉及び堀取刃の舵取りに補助作業人が1名必要である。
 ウ 試験結果および考察
 A 作業能率試験
 第1表
補   助
作業人員
作業速度
(m/sec)
作業巾
(m)
ロスタイム(hr/ha) 所要時間
(hr/ha)
作業能率
(ha/kr)
作業効率
(%)
労働評価
ton/hr
廻行 根おとし
1 1.0 0.6 1.2 1.0 6.8 0.15 70 2.4

 作業圃場区劃は、畦長100~200mで、0.8~2.0haである。収量の平均値は32ton/haであった。作業速度は1.0~1.2m/sec1で、平均1.0m/sec近くで作業を行った。根おとし作業は、補助作業員が行うが、その間トラクターは、進行を止める。廻行半径が自然廻行で10mで、そのため枕地を8~10m整理して作業を行った。
 作業効率は約70%を示すが、これは圃場係数で、運搬係数として10~20%程度考慮すると、実作業能率は、1時間当り0.1ha程度となる。堀取作業人員がトラクター運転手と補助作業員の2名であるから、2.4トン程度となる。普通、手堀りの場合は、ha当り投下労働時間で85時間程度であるから時間当り、0.4トン程度で、労働評価の比較においては6倍の能率向上である。
 B 作業精度試験
 作業精度は、堀取損失と根部の土砂附着量、損傷固体等の調査によつて判定した。作業速度別に作業精度を調査した結果第2表の通りである。
 第2表
テスト番号 作業速度 PTO
回転数
調査20m間 コボレ量 パケット
土砂内
損傷
(個体数)
根総重 ウモレ量
1 1.3 550 42.8(kg) 0.6
(1.4%)
2.0
(4.7%)
0.8
(1.9%)
18.6%
2 1.2 550 45.5 0.15
(0.3%)
0.55
(1.2%)
1.1
(2.4%)
14.5%
3 1.1 450 41.5 0
(-)
1.9
(4.6%)
1.3
(3.2%)
10.5%

 堀取損失は、ウモレ量とコボレ量で表示したが、ウモレ量は、堀取らなかつた根重、コボレ量は、堀取ったが、シヨベルとコンベアの間、あるいは、コンベアの目から、落下したものである。したがつて、コボレ量は、容易に拾い集め得るものである。
 損傷は、掘取の際ひげ根が折れ、それが、略根茎2cm以上となつた場合、または傷ついた場合を対象としてあるが、ほとんどがひげ根の折れたもので、個体数にすれば、多い数値となるが、重量比では微少である。一般に作業速度が速くなると、堀取損失、損傷が多くなる。ウモレの大部分は1個100g以下で、慣行作業においても員数外のビート根である。コボレは作業速度が速くなれば、比較的大きなビート根が、コンベアの先端で、コンベアに乗り切らず、横滑りするため生ずる。作業速度が遅く、コンベアの速度が遅い場合は、小型のビート根がコンベアの目からこぼれ落ちる。いずれにしても量的には、問題とならないだろう。なお、取根の土砂附着量を調査した結果慣行に比較し機械利用は、大体半分量であった。
 第3表

   土砂附着量 備考
慣行手堀り
キヤツチポール(堀取)
5.2%
2.8%
根部を水洗し土砂量を計算した

 4) トラクター用ビートタツパーとビートデイガーの組合せ利用経費
  てん菜収穫を、前述タツパーとデイガーの組合せにより行った場合、利用経費がどの程度、必要となるか、また、慣行作業に比較してどうなるかを検討すると次の通りとなる。
   機械利用
時間/ha
機械利用経費 円/時間 機械利用
経費
円/ha
労働費
円/ha
合計経費
トタクター 作業機 小計
ビートタツパー 3.35 430 200 630 2,170 3.35時×80円=270 2,440
ルートビツカー 6.7 590 800 1,390 9,300 6.7時×80円=540 9,840
(12,280)
慣 行 0 - - -    180時×80円=14,400 (14,400)
(注) 算定基礎

 トラクターの年間利用時間を各々1,000時間としビートタツパーは、15馬力級、ルートビツカーは、35馬力級のトラクターを利用するものとす、なお、作業機は、150時間利用したものとする。
機械新調価(p) 年間固定費 運転費/時間 機械時間当
費用
燃油 運転手
トラクター15ps  65万 130,000 60 240 430
  〃  35ps  115万 230,000 120 240 590
ビートタツパー  15万 30,000 -    200
ルートビツカー  60万 140,000 -    800
 但、運転手の賃金は、8ヵ月雇用とし月30,000円、その間1,000時間稼働したものとし算定した。また、普通労賃(補助作業員等)は時間80円とした。

 この結果よりみれば、機械利用の方が、収穫に要する経費が安くつき、能率も前述した如く比較的高く利用面が大きいことがわかる。
 本年度、この方式により収穫した面積は、約7haにおよぶが、出荷歩引割合等も手働慣行に比較してそん色なかった。
 表中の慣行は、全部手労働によるものであるが、重労働となるので、近年では、トラクター用、または畜力用のビートプーラー(リフター)を使用し、ビート根を浮上せしめてから作業にかかるのが普通であるから、経費として1,500~2,000円/ha上まわることが予想される。