【指導参考事項】

収穫機に関する試験 (3)玉蜀黍収穫機 (A)可搬型カツター
北海道立農業試験場十勝支場

Ⅰ 試験目的
 デントコンの切込作業を円滑に行うためには、10人程度の人員を要し、切込作業中草丈の高い(2.5~3m)コーンを運搬する労働の占める割合が大きい。このため、従来の作業順序を変更し、畑で切込を行ないこれを運搬して、サイロに漬込む方法により、労働の軽減をはからんとする。

Ⅱ 試験方法
 1. 試験圃場及び調査
  作業対象面積を(25m×200m)0.5haとし、作業能率、作業手順について時間測定を行なう。
 2. 供試機
  供試機は、市販カツターをトラクター後部直結用とし、P・T・Oでパワージョイント結合で動力をとる。シヤフトには、緩衝用スプリングがセットしてあり、過負荷による衝撃を防止する。トラクターは、15馬力級で行なう。又運搬車には、2tonダンプカーを用いる。
 3. 供試材料
  機械実験集落農場、収量 6,800kg、茎水分77.5%(乳熱期)のデントコーン。

Ⅲ 試験結果、及び考察
 切込サイロは、トレンチで、タワーサイロになると、作業が、複雑となり、最終段落にブロワーを必要とする。従来の方法では、トレンチ、タワーの別なく作業は一様である。
 第1表に、可搬型カツター利用、第2表に慣行法による切込作業を示し比較した。従来の方法からみれば、労働評価に於いて1/2の減少をみた。カツターは、8吋(一般・大型)をトラクター直結型に改造したもので、15馬力トラクター用としては、小型で、能率を高める必要がある。又作業能率は、カツターの能率と、材料供給能率が、等しい時に最高となるため、諸条件に応じて、人員配置と運搬車の配慮を考慮しなくてはならない。

第1表
   刈取作業 切込前運搬 切込作業 切込前運搬 能率
可搬型カツタ
l
利用デントコン切込作業
作業
能率
80.7(hr.ton) 0.7(hr/ton) 0.5(hr/ton) 0.1(hr.ton) 1.7(ton/hr)
人員
配置
2 2 (カツター1)
2
(トレラー1)
(2)
(労働)hr/ton
3.6



刈取は手鎌で1人で刈り取るのに1屯を1.4時間費す。カツター作業をきれ目なく行うのには3人の刈取人員が泌世であるが、トレラーに切り込み後運搬するのにカツターが0.1時間/屯休むことになるからその間に丁度供給量が一致する。 切込前の運搬は、刈取後すぐひかかえにし、切込作業員に渡すから非常にスムースに楽に作業ができる。 3分切りで1人が押込み、1人が補給する。この間トラクターは、エンジンをかけたまま無人である。トレラーに1つばいになつたら材料の補給が1番都合のよい場所にカツターをまわす、カツターは、トラクター直結であるから、セツトは容易である。 切込が終ってサイロに運搬するが、距離が500mくらいの範囲内であれば、運搬車は1台でよい、あまり距離が長くなればカツターのアイドリングタイムが多くなり作業、能率が低下する。なおこの運搬人は切込員が行なう。 刈取人員2名切込前運搬2名、切込2名で、合計6名切込後の運搬は切込員が当たる。切込後運搬はロスタイムとなる。
 (註)トレンチサイロ1.8m×1.5m×5.4m(深×巾×長)に入れる作業のみで、サイロ内人員をのぞく。又、畑から サイロまで約200mの距離がある。

第2表
   刈取作業 切込前運搬 切込作業 切込前運搬 能率
慣行法によるデントコン切り込み作業 作業
能率
0.5(hr.ton) 0.7(hr/ton) 0.5(hr/ton) 1.4(ton/hr)
人員
配置
3 (トレラー1)
3
(カツター1)
2
(労働)hr/ton
6.3



カツターをフルに動かすため3人の刈取人が必要である。又、漬込みに若干手助けをする。 切込前運搬は、トレラーに刈取ったままを漬込むがトレラーには、1tonが1ぱいで、つみこみには、ton当り0.4時間要し運搬0.2時間、おろし0.1時間で計0.7時間となる畜力運搬の場合では3台の馬車が必要 押入1名と補給1名で作業をするがトレラーでひと塊りにおろされるとそれを補給人が取りやすくするため1名必要となり、1都合名となる。    合計9名で、切込前運搬と切込作業の差0.2時間/屯がロスタイムとなる。