【指導参考事項】

収穫機に関する試験 (3)玉蜀黍収穫機 (B)簡易コーンセラーに関する試験
北海道立農業試験場十勝支場

Ⅰ 試験目的
 飼料用玉蜀黍の脱粒作業を能率的に行うため、スパイクツーシリンダー型のコンセラーの試作開発をする。また、共同体で利用する場合も考慮して、トラクター直結型とし移動性及び据え置き時間の短縮等をねらう。

Ⅱ 試験方法
 1.供試材料 札幌8行、脱皮乾燥したもの。
 2.調査    所要動力は、1馬力以内であるため、特に動力想定を行わず、回転の低下率を測定し、附加の状態を推定する。又、作業は1分間連続作業を行い脱粒、精度、能率等を測定する。

Ⅲ 供試機の構造
 現在の機構は、トラクター直結型でなく、定置式である。脱粒部は、スパイクツーシリンダーとコンケーブよりなり、シリンダーが回転し、1番口より精粒が出て、2番口から、シンガラが排出される。即ちシリンダーが、送出作動をしながら脱粒することになる。なお、2番口からシンガラとともに若干精粒も排出する。本機は、ベルトプーリ伝導で、1馬力モーターで運転した。

第1図 コーンセラー略図
  1. 材料供給口
  2. 扱胴(扱爪1/2"直径×30mm、有効直径600mm)
  3. コンケーブ(1/2直径スノコ状)
  4. 1番口(精粒)
  5. 2番口(カラシン)
  6. カバ-

Ⅳ 試験結果
 A 作業精度試験
 扱胴の回転数と、毎分供給量、及びコンケーブ間隔を変化せしめ、1番口、及び2番口の子実重、と破砕の程度を調査した。その結果は次の通りである。
 (1) 毎分供給量25kg以上となれば、回転数300rpm以下では、回転低下率が大きい。なお300rpmで扱胴の週速は、9.4m/secである。
 (2) 扱胴の回転が、200~250rpmであれば、未脱粒は、多くなるが、重量比で0.4%くらいで比較的低回転における脱粒率は高い。
 (3) コンケーブの間隔を、40~45mm程度の変化を与えても、脱粒は変わらない。
 (4) 2番口には、全重の5~6%出て来るが、これをシンカラと選別しなくてはならない。

第1表                                            昭和38年1月10日
試験
番号
扱胴回転数 毎分
供給量
(kg)
毎分処理量(kg) 未脱子実
(a)
粉砕重
(%)
破砕重
(%)
備考
無負荷 負荷 1番口
子実
2番口
子実
2番口
カラ
1 268 (9.7)
242
21,604 17,030 1,050 3,524 68 0.6 1.3 コンケーブ間隔40
2 268 (11.2)
238
26,970 20,540 1,390 4,640 10 1.3 2.1
3 200 (4.5)
191
16,670 12,900 1,000 2,770 22 0.9 2.1
4 200 (6.0)
188
17,034 13,670 954 2,410 25 0.4 0.7
5 372 (4.6)
355
17,430 11,900 1,310 4,220 0 2.2 18.3
6 372 (6.5)
349
32,360 24,890 1,830 5,640 0 2.1 14.4
7 256 (1.2)
253
15,910 12,600 930 2,320 11 0.8 2.2 コンケーブ間隔45
8 256 (3.1)
248
21,000 14,870 1,380 4,750 20 0.1 1.8
9 365 (4.4)
349
24,420 18,894 1,894 4,476 0 1.4 12.1
10 365 (6.9)
340
37,490 28,760 2,140 6,590 0 1.8 13.3
(註) 回転数の負荷時の(  )内は、回転低下率を示す。
    子実水分は、13%であった。

 B 作業能率試験
 作業人員は、ホツパーに供給する人と、受台まで、材料をあげる人である。その作業場所まで、運搬するのには、距離的に、一様でないから、算定することができないが、実1ton当り、乾燥機より2名で取出す時間が0.3時間であるとして、すぐそのそばで作業をしているとすると、毎時処理能率は0.9tonとなり、労働1時間、0.45tonの調製が可能である。
 本機の運搬は、今後トラクター直結としPTO伝導により動力を得て作業を実施するような形にもつてゆけば、数戸共同で利用可能となろう。

第2表                                昭和38年1月17日
作業人員 毎分供給量
(kg/min)
処理量(子実)
(kg/min)
補給時間
(hr/ton)
毎時処理能率
(ton/hr)
労働評価
(ton/hr)
2人 24.5 20.7 0.3 0.9 0.45