【指導参考事項】

1　試験材料及び方法
　（1）　供試材料
　Ａ　果実

品種	採種期日
りんご「旭」	10月2日
りんご「紅玉」	10月7日（初熟期採種）
	10月24日（適熟期採種）

　Ｂ　ポリエチレン
　　高圧ポリエチレン「エカロン」
　　　　袋の大きさ　　　20×40ｃｍ
　　　　袋の厚さ　　　　0.03㎜、0.05㎜、0.07㎜
　（2）　封入処理、貯蔵方法
　果実は、採取後数日間野外に放冷、選別後、りんご5個宛袋に詰めその口を完全に過熱密封し、直ちに半地下軟石造りの普通貯蔵庫に収納し、翌春まで貯蔵した。なお貯蔵中の温度変化は第1表の通りである。

　表1　　貯蔵中の温度変化

期間

月

10

11

12

1

2

3

4

5

日

１～15

16～31

1～15

16～31

1～15

16～31

1～15

16～31

1～28

1～31

1～15

16～30

1～11

温度0

13～9

10～9

10～6

6～4

5～2

2.0～0.5

0

～0

1.0～1.5

1.5～2.5

3～6

4～7

湿度

80-95%　Ｒ・Ｈ

2　試験結果
　（1）　重量の変化
　表2　りんご貯蔵中の重量減少指数 (品種：　紅玉　　初熟期収穫）　

調査月日	10/19	12/4	2/8	4/2	5/5
無処理区	100.00	98.54	96.92	96.46	95.23
0.03㎜区	同上	99.23	99.06	99.05	99.05
0.05㎜区	〃	99.88	99.80	99.35	99.32
0.07㎜区	〃	99.74	99.74	99.71	99.60

　（2）　貯蔵中の糖分含量とｐＨ値の変化
　表3　貯蔵の糖分含量とｐＨの変化 (品種：　紅玉　　適熟期収穫、　　処理：　0.05㎜包装）

分析月日	還元糖　%		非還元糖　%		ｐＨ値
	無処理	処理	無処理	処理	無処理	処理
1/16	6.50	7.45	4.27	3.56	4.65	4.65
2/14	6.40	6.90	4.01	3.28	3.50	3.50
4/10	6.39	6.97	3.01	3.00	3.70	3.60
5/7	6.09	6.53	2.33	2.05	3.90	3.70

　（3）　病害の程度
　表4　貯蔵病害の被害率

品種名	旭				紅玉（初熟期収穫）					紅玉（適熟期収穫）
調査月日	10/8	12/4	2/3	4/2	10/19	12/4	2/8	4/2	5/5	10/27	12/4	2/8	4/2	5/5
無処理区	0.0	8.0	41.3	91.3	0.0	12.09	23.0	40.9	53.3	0.0	2.0	22.0	37.3	57.3
0.03㎜区	0.0	0.0	0.0	10.0	0.0	0.0	0.0	10.0	30.0	0.0	2.0	9.6	23.3	46.3
0.05㎜区	0.0	4.0	4.0	24.0	0.0	0.0	0.0	0.0	20.0	0.0	0.0	2.5	8.9	19.4
0.07㎜区	0.0	0.0	0.0	40.0	0.0	0.0	0.0	0.0	10.0	0.0	0.0	5.0	8.3	27.8

　(4) 　果実の硬度
　表5　果実硬度（硬度計指度） （ 品種：　旭　　単位　㎜）

調査月日	10/7	12/20	2/10	4/4
無処理区	13.64	12.60	12.00	11.63
0.03㎜区		12.95	12.80	12.87
0.05㎜区		12.37	13.69	13.32
0.07㎜区		13.15	13.85	14.20

3　摘要
　以上の結果は次の如く要約される。
　1.　果実貯蔵中の減量は、ポリエチレン包装により明らかに抑制される。
　2.　包装によりりんご貯蔵中の糖分酸の減少が少ない。
　3.　貯蔵病害の発生率は、包装によりいちじるしく抑制された。
　4.　貯蔵果実の品質に及ぼすポリエチレン包装の効果は極めて顕著で優れ結果を得た。