春播なたね導入品種「Tobin」及び「Westar」の特性
【 要約 】春播なたね導入品種「Tobin」及び「Westar」は、いずれも北海道で古くに栽培されていた「樺太」より早生で、含油率が並からやや高く、脂肪酸にエルシン酸を含まない無エルシン酸品種である。
北海道立中央農業試験場 畑作部 畑作第二科(取りまとめ)連絡先01237-2-4220
部会名畑作
総合農業作物生産(冬作物)
専門育種対象工芸作物類分類指導

【 背景・ねらい 】

 道央地帯等の転換畑地帯などにおける導入作物として、輪作体系の確立を図る目的 で秋播なたねの無エルシン酸品種「キザキノナタネ」が平成4年に北海道の奨励品種 として決定された。
 春播なたねについても同様の目的で試験が開始されたが、国内の育成品種がないた め、外国から無エルシン酸品種を導入し、その道内における生産力及び地域適応性を 中心とした特性を明らかにし、春播なたね導入にあたっての品種選定の資料とした。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 「Tobin」は、草丈が「樺太」より短く、穂長も短い。粒色は黄色〜褐色で 、粒の大きさは「樺太」より小さく、揃いはやや劣る。抽苔期、開花期はともに「 樺太」より早く、成熟期は1〜2週間程度早い。子実重は「樺太」より4〜20%少 収で、含油率は並からやや高い。「樺太」は全脂肪酸組成に対して40%程度のエル シン酸を含むが、「Tobin」は無に近い。
  2. 「Westar」は、草丈が「樺太」よりやや短く、穂長も短い。粒色は黒色で 、粒の大きさは「樺太」よりわずかに小さく、揃いはやや劣る。抽苔期、開花期は ともに「樺太」よりやや早く、成熟期は3〜5日早い。子実重は「樺太」と同程度 で、含油率は並からやや高い。「樺太」は全脂肪酸組成に対して40%程度のエルシ ン酸を含むが、「Westar」は無に近い。

【 成果の活用面・留意点 】

 春播なたねの栽培にあたっての品種選定の資料とする。

【 その他 】

研究課題名:良質なたねの栽培法に関する試験
予算区分 :受託
研究期間 :平成4年度(平成元〜4年)
研究担当者:今 友親、阿部春記、松崎康範(以上中央農試)谷村吉光、渡辺喜芳、
        角田征仁(以上植物遺伝資源センター)、沢口敦史(上川農試)
発表論文等:なし

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.79