加工用スイートコーン新品種「十生24号」(スイートメモリー)の育成
【 要約 】スイートコーン「十生24号」は北海道の道央、十勝中部、網走内陸及び道南に適し、「ページェント」に比べて耐倒伏性、収量性に優れ、加工適性、加工品質は同等である。「ページェント」にかわる缶詰加工用品種として普及が期待される。
北海道立十勝農業試験場 研究部 とうもろこし科
ホクレン農業協同組合連合会農業総合研究所 (共同研究)
連絡先十勝農試
0155-62-2431
部会名畑作
総合農業作物生産(夏作物)
専門育種対象雑穀類分類普及

【 背景・ねらい 】

 北海道の缶詰加工用品種の作付において、「ジュビリー」は全体の40%強を占める ため、加工操業上、原料が一時期に集中する傾向があり、「ジュビリー」より早い熟 期の品種への要望が強い。
 また、「ジュビリー」より早い熟期の中の基幹品種である「ページェント」は、種 子の供給が不安定なため作付が安定せず、耐倒伏性に劣る。これらのことから、「ペ ージェント」にかわる耐倒伏、高品質、多収な品種が強く要望されている。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 熟期:収穫期と収穫時粒水分からみると「ページェント」並の中生の中に属する
  2. 耐倒伏性:耐倒伏性は「ページェント」に比べ明らかに勝る。
  3. 収量性:剥皮雌穂重は「ページェント」に比べると同程度〜やや多い。
    「ページェント」に比べ果粒歩留りは高く、果粒収量は多い。
  4. 雌穂の特性:雌穂長は「ページェント」より長く、先端の不稔割合は小さい。
    粒列数は17行程度である。
  5. 粒の特性および加工適性:粒色は黄色で、粒形は長方形である。糖含量は「ジュ ビリー」並で、「ページェント」よりやや低い。適熟期間は「ページェント」より 長い。
  6. 加工品質:缶詰加工したときの色、香味、食感を総合した評価は「ジュビリー」 、「ページェント」と同程度である。
  7. 耐病性:すす紋病に対する抵抗性は「ページェント」並である。
  8. 採種性:採種量は種子親対花粉親の畦比が2:1で170㎏/10a程度が見込まれる

【 成果の内容・特徴 】

  1. 普及対象地域は北海道の十勝中部、網走内陸、道央および道南であり、普及見込面積は600ha。
  2. 一般栽培法に準ずる。ただし、気象不良な年次や密植栽培では無効、不稔雌穂が 発生することがあるため、適正な裁植密度を守り、気象条件の不良な地帯での作 付は避ける。

【 その他 】

研究課題名:加工適性に優れた耐倒伏性スイートコーンの新品種育成
予算区分 :共同研究
研究期間 :平成4年度(平成2年〜6年)
研究担当者:千藤茂行、門馬栄秀、高宮泰宏、三好智明(以上十勝農試)
        佐藤政雄、及川敏之、氏家克博、鈴木啓徳(以上ホクレン)
発表論文等:なし

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.25