背脂肪の薄いランドレ−スの系統造成
【 要約 】 雄8頭、雌32頭の基礎豚を閉鎖群として7世代にわたり指数選抜を行なった結果 、これまでわが国で造成された40の系統豚の中で最も背脂肪が薄く(育成雄1.14cm )、集団の平均血縁係数が25.4%の遺伝的に均一な系統豚が造成された。
北海道立滝川畜産試験場 研究部養豚科連絡先 0125-28-2211
部会名畜産専門育種対象家畜類分類普及

【 背景・ねらい 】
 北海道の肉豚生産における解決の迫られている技術的問題として、出荷豚の枝肉格 付け成績が低いことと出荷豚のバラツキが大きいことがある。現状では、出荷された 肉豚の枝肉格付けの上物率が39%(平成2年)と全国平均の44%を大きく下回っ ており養豚生産者の収益を低下させている原因となっている。  この格付け成績の内訳をみると、格落ち原因の45%以上が「厚脂」によるもので あり、対策として脂肪が少なく遺伝的に斉一な素豚の育種が求められている。これら の問題を解決するために、遺伝的に均一で背脂肪の薄いランドレ−ス系統豚を造成す る。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 毎世代、雄8頭、雌32頭を繁殖群として、産子豚を産肉能力直接検定法に準じて 検定し、7世代に渡って選抜指数式による選抜を行なった。
  2. 7世代目の選抜形質の平均値は、背脂肪の厚さが雄で1.14cm、雌で1.25cmであり、 背脂肪の厚さはこれまでのわが国の系統豚の中で最も薄い値であった。 一日平均増体重は雄で741g、雌で707g、飼料要求率は雄で雄3.08、雌3.27であった
  3. 7世代目の平均近交係数は9.8%、平均血縁係数は25.4%であった。
  4. 各世代の初産の産子数が10頭以上で経過しているなど繁殖性が優れた系統である
  5. 体型はランドレ−スの特徴を良く備えているほか、4世代以降肢蹄の故障がほとん どないなど肢蹄が太く強健な点が特徴である。
  6. 造成途中豚を用いた系統間交雑試験の結果、増体が早く、上物率も高いなど「ハマ  ナスW1」との組合せ能力が優れていることが示された。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 造成されたランドレ−ス系統豚は系統間の交雑利用が望ましい。
  2. 系統間交雑豚はこれまで得られた知見を参考にして組合せ特性にあった適正な飼料 の給与方法や出荷適期の把握と指導が必要である。

【 その他 】

研究課題名:種豚の選抜法に関する試験
予算区分 :道費
研究期間 :平成4年度(昭和60年〜平成4年)
研究担当者:山崎 昶、梶野 清二、山田 渥、酒井 稔史、岡本 全弘、秦 寛
        小泉 徹
発表論文等:

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.65