ばれいしょでん粉の品質特性と変動要因[要約]
【 要約 】 ばれいしょでん粉の最高粘度と平均粒子径は品質特性値として重要である。標準的な 施肥量の範囲では品質特性値に差異は認められない。早期収穫はでん粉の小粒化と低粘 度化をもたらし、塊茎1個重の小さいいもは平均粒子径が小さい。
北海道立中央農業試験場・農産化学部・品質評価科
北海道立十勝農業試験場・研究部・土壌肥料科
連絡先 01238-9-2001
0155-62-2431
部会名 生産環境専門食品品質対象いも類 分類指導

【 背景・ねらい 】
 近年の農産物の貿易自由化により、でん粉原料用ばれいしょ生産は厳しい状況にあり 今後ばれいしょでん粉は品質を重視する方向に向かうことが予想される。そこで、ばれ いしょでん粉の品質向上・安定化を図り、かつ、品質評価法を策定することを目的とし て、ばれいしょでん粉の品質特性値の相互関係および、ばれいしょでん粉の特性に及ぼ す施肥、塊茎重、生育時期、品種等の影響を検討した。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 糊化特性間の関係を検討した結果、最高粘度、ブレークダウン、最高粘度時温度の3 項目は互いに相関が高く、特に、最高粘度とブレークダウンは1次式の関係が成立す るため、最高粘度は糊化特性を代表する特性値と考えられた(表1)。
  2. でん粉の特性とでん粉価は関係がない。
  3. 最高粘度、平均粒子径には、標準的な施肥量の範囲で差がなかった。
  4. でん粉の平均粒子径は、塊茎1個重との関係が認められ、S(60g以下)の塊茎から 得られたでん粉は、明らかに平均粒子径が小さい(図1)。
  5. 平均粒子径、最高粘度のいずれも枯ちょう期まで増大し、早期収穫はでん粉の小粒化 と低粘度化をもたらす(図2)。
  6. 同一品種の中では、最高粘度と平均粒子径には相関がなく、独立した品質特性値と考 えられ、最高粘度と平均粒子径をパラメーターとして用いることにより、主要でん粉 原料用品種のでん粉特性の差異を表すことが可能であった(図3)。

【 成果の活用面・留意点 】
でん粉の高品質・安定生産のためには、未熟いもの混入、品種の混合を避ける。

【 その他 】

研究課題名:でん粉利用向け高加工適性バレイショの栽培技術の確立
      でん粉利用向け高加工適性バレイショの品質評価法
予算区分 :補助(特定農産物緊急対応)
研究期間 :平成5年度(平成元〜5年)
研究担当者:古館明洋、山神正弘、沢口正利、下野勝昭、渡邊祐志、目黒孝司
発表論文等:なし

        「平成6年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.340