たまねぎ品質・調理適性の品質評価法と品種間並びに年次間差異
【 要約 】 たまねぎの硬さおよび内皮着色について、従来の観察と関連性の高い機器測定法を明らかにした。これをもとに北海道で栽培されるたまねぎ(16品種1系統)について、形態的特性や着色、成分量(内部品質)の品種間および年次間差を明らかにした。
北海道立中央農業試験場・農産化学部・品質評価科
北海道立花・野菜技術センター・研究部・野菜第二科
連絡先 01238-9-2001
0125-28-2800
部会名 流通利用 専門 食品品質 対象 根菜類 分類 指導

【 背景・ねらい 】
 同一生産地(中央農試)で栽培されたたまねぎをもとに、その品質の品種間、年次間変動について検討を行い、品種の特性を明らかにしようとした。また、たまねぎ品質の機器測定法について検討するとともに、たまねぎの食味の面からも調査を行う。

【 成果の内容・特徴 】

  1. たまねぎの各調査項目(鱗葉数・厚、外皮色、内皮着色、硬さ、内部成分など)について、各項目ごとに品種の平均値を図示し、品種間差および年次間差や品種の特性を明らかにした(内皮着色/緑色部b*値を例示:図1、分散分析結果一覧:表1)。
  2. 色彩色差計による内皮着色の測定法並びにたまねぎ鱗葉切片の貫入応力測定(テンシプレッサ(TP)使用)による硬さの機器測定法が利用可能と考えられた(図2、図3)。
  3. たまねぎの品質の検討結果から、次の点が明らかになった。
    1. 鱗葉の1枚の厚さ(リング部分)と球径には直接的な関連性はみられなかった。
    2. たまねぎの内皮の白色については、明瞭な品種間差は認められなかった。
    3. たまねぎの内皮緑色部の b*値は、品種の特性値として利用可能であった(図1参照)。
    4. たまねぎの内皮着色の濃さと、外皮色の濃さとの間に関連性はなかった。
    5. 硬いたまねぎ(機器分析値)の貯蔵性は、良好な傾向にあることが確認された(図4)。
    6. ブリックス値は糖含量との相関が低く、乾物率との関連が最も高かった(図5)。
    7. ブリックス値と貯蔵性(健全球率)との間には関連性がみられなかった。
  4. ソテー、ゆでおよびさらしの3形態で、そらち黄、月輪および北もみじ86の3品種の食味試験を行った。ソテーおよびゆでの総合評価では、品種間の食味の差異はなかった。さらしでは、北もみじ86(2月調査)はそらち黄に比較し、形のくずれが少ない特長があったが甘さが弱く、味は嫌われ総合評価は低かった。
  5. 官能検査の総合評価を行う際に重点がおかれた項目は、ソテーとゆでは甘さと食感が、さらしでは辛さと、次いで甘さであった。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 機器による内皮色および硬さの測定法は、客観的評価法として利用できる。
  2. 品質評価値と調理・加工品質を検討するための基礎資料となる。
  3. 3か年の品種特性値の比較した結果であり、品種の特性把握や選択の参考となる。
 平成8年度北海道農業試験会議における課題名及び区分
 課題名:タマネギ品質・調理適性の品種間並びに年次間差異と品質評価法(指導参考)

【 その他 】

研究課題名:タマネギの調理・加工適性解明と品質評価技術の開発
予算区分:道費
研究期間:平成8年度(平成5〜7年)
研究担当者:目黒孝司・土肥 紘・志賀義彦
発表論文等:なし

        「平成9年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.255