フリーストール牛舎施設の低コスト化
【 要約 】 既存牛舎施設の有効活用、牛舎施設建設時の低コスト施工法、および簡易フリーストール(ケンネル)牛舎などの技術を用いることにより、フリーストール・ミルキングパーラ方式へ移行する場合の建設コスト低減が可能である。
北海道立根釧農業試験場・研究部・酪農施設科 連絡先 01537-2-2004
部会名 総合研究(農業物理)
畜産・草地(畜産)
専門 農業施設 対象 家畜類 分類 指導

【 背景・ねらい 】
 生産コスト低減、省力的牛群管理をめざして、フリーストール・ミルキングパーラ方式へ移行する場合の牛舎施設建設費の低減を図るため、既存牛舎施設の積極的な活用技術を明らかにし、牛舎施設建設時のコスト低減法の検討を行い、簡易な牛舎構造のフリーストール牛舎を設計・開発する。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 間口10.8mの既存牛舎をフリーストールへ改造する場合は、改造牛舎内には2列あるいは3列のストールを設置することができる。パーラへの改造では、簡易なアブレストやピット式パーラへの改造も十分に可能である。
  2. 施工法によるコスト低減では、帆布式牛舎の屋根工事費が在来工法の約65%で可能である。
  3. 簡易フリーストール(ケンネル)牛舎は、フレーム幅15cm、板厚3〜4cmの柱で、母屋、隔柵、牛床の各部材をはさんで作る。このフレームをパドックなどの舗装した場所に向かい合わせて置き、1.2m間隔で水平方向につなぐことで間口8.2m程度の成牛用フリーストール牛舎ができる。牛床長さは2.6mで軒高さは2.5m〜3.0mである。換気は壁面カーテンの開閉と棟開口で行う。
     建築費は自家施工の場合、基礎をのぞいた建物部分だけで1頭あたり約46千円程度である。
     乳牛適応性は、横臥起立動作を大きく阻害するものはなく、牛床の利用についても一般のフリーストール牛舎の横臥割合と同程度である。
     フレーム強度は、1m〜1.5m程度の積雪荷重であれば十分な耐力がある。積雪荷重に応じた屋根部材の補強、屋根からの落雪の除去などを行う必要がある。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 既存牛舎の改造利用にあたっては、利用年数、増頭年次計画等を考慮して総合的に判断する。
  2. 簡易フリーストール牛舎は、設計積雪深をもとに使用する部材の厚さ等を決定して利用する。腐蝕防止のため防腐処理を行う。転倒防止のためパドック舗装面にアンカーボルト等で固定できる。暑熱対策が必要な地帯では、軒高さ3.0mとし屋根面に輻射熱防止措置をする。耐用年数は、基礎構造によって異なるが、およそ5年〜10年程度である。

平成8年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:フリーストール牛舎施設の低コスト化(指導参考)

【 その他 】

研究課題名 :フリーストール牛舎施設の低コスト化
予 算 区 分:道費
研 究 期 間:平成8年度(平成5〜8年)
研究担当者 :高橋圭二、原令幸、竹中秀行、稲野一郎
発表論文等 :「低コスト簡易牛舎の開発(構造と乳牛の利用性)」平成7年度農業施設学会大会

        「平成9年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.335