ヒートポンプを用いた地温制御及び電照によるアルストロメリアの開花調節
[要約]アルストロメリアの周年栽培において,ヒートポンプによる地温制御+電照
で地温制御あるいは電照の単独処理より増収する。従来の栽培法に比べ夏秋季の収量
が増加し,年間で最も採花の多い春季の採花のピークが遅くなり,また葉芽の発生は
全ての品種で減少する。しかしこれらの処理効果には品種間に差がみられる。
北海道立道南農業試験場 研究部 園芸科 連絡先 0138-77-8116
部会名 作物 専門 栽培 対象 花き類 分類 指導

[背景・ねらい]
北海道電力株式会社で開発・改良を行っているヒートポンプを用い、冬季は地中暖房,夏季は地中冷房を,また秋冬季に電照を行うことにより開花時期を調節し、アルストロメリアの周年的に安定した栽培法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1.夏季の地中冷却より早期開花,処理期間の収量が増加し,品質が向上する。
2.冬季の地中加温により処理期間の収量増加効果が見られ,全ての品種で葉芽が減少す る。
3.秋冬季の電照により開花が早まり,処理期間の収量が増加し,品質が向上する。全て の品種で葉芽が減少する。処理終了後に採花のピークが遅れる傾向がある。
4.電照+地中加温で電照あるいは地中加温の単独処理より開花が早まり,処理期間の収 量が増加する。
5.地温制御により年間の収量が増加する。処理終了後に採花のピークが遅れる傾向があ る。
6.地温制御+電照で地温制御あるいは電照の単独処理より収量が増加する。従来の栽培 法に比べ夏秋期の収量が増加し,年間で最も採花の多い春期の採花のピークが遅くなる。 また葉芽の発生も減少する。
7.上記の処理については,効果が低かったり認められない品種もある。
8.経済性の評価では供試品種の平均では従来の栽培法よりやや収益性が高い程度である。

[成果の活用面・留意点]
1.品種によっては地温制御,電照効果が低い場合や認められない場合があるので,品種 の選択に留意する。

平成9年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:ヒートポンプによる地温制御、電照によるアルストロメリアの開花調節(指導参考)

[具体的データ]

表1.地温制御(昼夜地中・冷却加温),電照(白熱灯)が年間収量に与える影響

表2.年間の収量に対する処理効果 表3.処理時期における切花品質

[その他]

研究課題名:環境制御による花きの周年栽培確立試験 予算区分:共同
研究期間:平成9年度(平成6〜8年度)
研究担当者:生方雅男,立川さやか(現花・野菜技術センター)
発表論文等:「アルストロメリア」の地中加温と電照の効果,北海道園芸研究談話会報,29:46〜47(1996)