十勝地方における小豆のピックアップ収穫技術
十勝地方に普及が進んでいる小豆のピックアップ収穫の省力性(投下労働量)、子実の品質特性を調査し、
小豆のピックアップ収穫での収穫適期および留意点を示した。
北海道立十勝農業試験場・研究部・豆類第二科、農業機械科
北海道立十勝農業試験場・農産化学部・品質評価科
連絡先 0155-62-2431
部 会 名 作 物 専 門 栽 培 対 象 豆 類 分 類 指 導

[背景・ねらい]
北海道の小豆の主産地である十勝地方の小豆栽培における収穫方法は、近年、従来のニオ積み収穫体系に替わってピックアップ収穫体系が急速に普及してきている。この収穫体系の急激な変化に対して、一部の実需者等から品質の劣化が懸念されている。
本試験では、ピックアップ収穫体系の特性およびこれに伴う外観品質、加工適性(製餡適性)等の調査を行い、ピックアップ収穫による高品質小豆生産技術を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1.熟莢率100%における小豆のピックアップ収穫による機械収穫体系では圃場損失が5%以下と少なく、残さ処理 を含む体系の投下労働量は6.1〜10.9人時/haであった。
2.完熟期(熟莢率100%)以降に収穫した子実の外観品質(検査等級、屑粒率)は成熟期(熟莢率70〜80%)収 穫のニオ積みと明確な差は無かった(表1)。また、製餡試験では差異は明らかに出来なかった。
3. ピックアップ収穫した子実の種皮色は、内部温度が外気温より高いビニ-ル帽子のニオ積みに比べて、やや淡い。
このため、登熟が遅延した場合は、ピックアップ収穫では"色浅粒"と判定される子実がやや多く、検査等級は やや劣る場合がある(図1)。
4. 小豆の熟莢では気温が15℃以上で降雨が続いた場合、子実の吸水、発根による屑粒率が増加し、地干し乾 燥は立毛より屑粒率が多い(図2)。
5. 茎、子実水分は完熟期以後漸減し、1〜2週間で子実水分は農協等受け入れ水分(16〜18%)となる(図3)。
6. 密植栽培(60×10cm、2本立て)では標準播(60×20cm、2本立て)より10%以上多収となり、完熟期は3日 以上早まり(表2)、特に低温年では登熟が進んだ。また、密植栽培等で倒伏した場合でも、ピックアップ収穫 での圃場損失の増加は認められない。

[成果の活用・留意点]
1.小豆のピックアップ収穫技術は十勝地方の初霜害の受ける恐れが少ない地域に適用する。
2.密植栽培では完熟期が3日以上早まり、収穫適期がニオ積みより遅いピックアップ収穫に適する。
3.小豆のピックアップ収穫の適期は子実水分が農協等受入れ水分(16〜18%)となる完熟期後1〜2週間である。
4.低温年で完熟期が遅れた場合は初霜害を受ける恐れがある。
5.高温年で9月の上中旬に完熟期となった場合、降雨害が懸念されるので、適期に速やかに収穫する。
6.小豆のピックアップ収穫では落葉病対策として収穫後の茎葉残さは集積し、十分な処理を行う。

平成9年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分
課題名:十勝地方における小豆のピックアップ収穫技術(指導参考)

 

[具体的デ−タ](略)

 

[その他]
研究課題名:小豆のピックアップ収穫技術確立試験、 豆類等の高品質・省力収穫技術と高収益輪作体系の確立
(イ)小豆機械化適応栽培法と高品質収穫技術の開発、高規格豆類の生産調整技術の開発
予算区分:道単(豆基)、国補(地域基幹)、受託(十勝圏機構)
研究期間:平成9年度(平成6年〜9年)
研究担当者:村田吉平・島田尚典・白旗雅樹・桃野 寛・加藤 淳・目黒孝司
発表論文等: