水稲直播用極早生品種の採種栽培における育苗法
[要約]水稲直播用極早生種の成苗ポット採種栽培では生育、出穂異常により収量、種子品質の低下する場合があることから、慣行35日の育苗日数を25日程度に短縮することで改善できる。このときの苗形質は草丈10cm、葉数3葉、地上部乾物重2g/100本程度が目安となる。
北海道立中央農業試験場・稲作部・栽培第一科
北海道立植物遺伝資源センター・研究部・資源利用科
連絡先 0126-26-1518
0125-23-3195
部会名 作 物 専門 栽 培 対象 稲 類 分類 指 導

[背景・ねらい]
 水稲極早生種の慣行採種栽培では収量および種子品質の低下が懸念される。そこで収量性、苗立ち率、移植精度から育苗日数の検討を行い、水稲直播用極早生品種の採種栽培における育苗法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1.育苗日数と収量(種籾収量=籾重×登熟歩合(塩水比重1.10))の関係は、成苗ポット20〜 35日育苗で高く、40日育苗で劣る(図1)。
2.異なる育苗日数で生産された種籾の苗立ち率は成苗ポット23日育苗で高い(図2)。
3.成苗ポット23日育苗での高い苗立ち率は穂揃性が良いために、種子活性の低下が小さいことによる(図3)。
4.欠株率は成苗ポット20日育苗で高まる事例がみられたが、25日以上では低い。
5.成苗ポット25日育苗の苗形質は中苗マット苗と同等か中苗マット苗と成苗ポット30日育苗との中間 的な値を示し、出穂期は中苗マット苗より2〜3日早い。
6.成苗ポット育苗での苗形質は、草丈10cm、葉数3葉、地上部乾物重2g/100本程度が目安であ る(図4)。
7.以上から、水稲原種栽培管理基準(平成6年4月8日付 農流第64号)の、「極早生 種の育苗日数は、播種量を増し20〜25日程度に止める。」を「極早生種の成苗ポット 育苗での育苗日数は、25日程度とする。このときの苗形質は草丈10cm、葉数3葉、地上部乾 物重2g/100本程度を目安とする。」に改訂する。

[成果の活用面・留意点]
1)極早生種の採種栽培は改訂後の水稲原種栽培管理基準(平成10年1月改訂)に基づき 実施する。
2)育苗期間の気象条件が良好な場合にはハードニングを早めに行うとともに、草丈10cm、 葉数3葉、地上部乾物重2g/100本程度に達した時点で速やかに移植し、過度に育苗日数を延 長しない。

平成9年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:水稲直播用極早生品種の採種栽培における育苗法(指導参考)

[具体的データ](略)

[その他]
研究課題名:水稲直播用高品質種子生産のための育苗管理技術の確立
予算区分 :道費
研究期間 :平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:古原 洋・菅原 圭一
発表論文等:なし