冷凍米飯向け原料米の加工適性と評価
[要約] 調理・加工米飯の流通及び消費性向を明らかにした。原料米の炊飯特性、冷凍適性、官能評価、貯蔵性と内部成分との関連性を検討し、冷凍米飯の加工適ついて評価基準を策定した。この基準をもとに北海道米品種の加工適性を示した。
北海道立中央農業試験場農産化学部穀物利用科 連絡先 (01238)9-2001
部会名 流通利用 専門 加工利用 対象 稲類 分類 指 導

[背景・ねらい]
 米の用途拡大を図るための対策の一つとして、消費の伸びが著しい流通米飯の加工適性に関する評価基準の策定が求められている。そこで、食品加工業界や消費者が求める米の内容を明らかにするとともに、加工米飯全体の74%を占める冷凍米飯向け原料米について加工適性を解析して内部成分に基づく評価基準を示し、北海道米の評価を行う。

[成果の内容・特徴]
1)米飯加工メーカー、外食産業が原料米を選定する際には外観品質の安定性と味やつやを優先していた。また、外食産業の半数で業務の効率化を図るために調理済み米飯の使用を希望していた。

2)調理米飯に関する意識調査では、ピラフ用の米には比較的硬く粘りの少ないものを求めていたが、官能試験ではほどほどの硬さと粘りのある米が好まれた。

3)原料米の白度と冷凍米飯の製品白度との関連性はみられなかった。タンパク含量の高い米では浸漬時の吸水性が低く、製品歩留まりは低い傾向を示した。また、アミロース含量の高い米は、浸漬時の吸水性、加熱時の製品歩留まりが低い傾向を示した(表1)。

4)粒離れを判定するために「ほぐれ度」を評価したところ、タンパク含量8%以下で粒離れが悪く、アミロース含量が20%以下でも同様の傾向を示した(図1)。粒離れからみた米飯の硬さの適正値はテンシプレッサーで約8kgw以上で、タンパク含量の多少が粒離れに強く関与していることを表した。

5)官能評価からみた冷凍米飯向け原料米の適正値は、タンパク含量7〜9%、アミロース含量18〜23%で(図2)、この時のテンシプレッサーの値は、硬さ7〜8kgw, 粘度0.5〜0.7kgwであった。

6)冷凍米飯の貯蔵期間中における水分、テクスチャーの変化は明らかではなかったが、タンパク含量の高い米では氷晶水分の発生が少なかった。

7)現在原料米に使用されている「ゆきひかり」を対照に、北海道米の冷凍米飯としての適性を評価すると、「きらら397」「空育150」「ほのか224」はほぼ同等、「きたいぶき」「ゆきまる」はやや劣るものとみられた(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1) 本試験の成果は、米の集荷、販売業者が、加工米飯(冷凍ピラフ)の原料米を選定する際の基準に用いる。なお、当基準はバラ凍結の冷凍米飯に適用する。

2) 内部成分によって仕分けされた米の用途を区分するうえで参考にする。

3) 米の用途拡大に対応した新品種の開発や栽培技術を検討する時の参考にする。

平成9年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:冷凍米飯向け原料米の加工適性と評価(指導参考)

[具体的データ](略)

[その他]
研究課題名:米の高度利用技術開発
      −食生活の変化に対応した流通米飯の評価指標策定−
予算区分:道 費
研究期間:平成9年度(平成5〜10年)
研究担当者:大村邦男
発表論文など:

 

 

冷凍米飯向け原料米の加工適性と評価(化学)

[要約] 調理・加工米飯の流通・消費性向について調査を行った。また、冷凍米飯向け原料米の加工適性について、内部成分、官能試験、保存性を基にした評価指標を設定し、現有品種の適性及び今後の育種開発、栽培技術を考える上の指針を示した。

 

 

冷凍米飯向け原料米の加工適性と評価(稲作)

[要約] 調理・加工米飯の流通・消費性向について調査を行い、食品関連業界や消費者が求める米の品質を明らかにした。また、冷凍米飯向け原料米の加工適性について、内部成分、官能試験、保存性を基にした評価指標を設定するとともに北海道米の現有品種について冷凍米飯の適性を評価した。これら一連の指標は、北海道米の用途拡大を図るための育種開発や栽培技術を進める上で参考になる。

 

 

冷凍米飯向け原料米の加工適性と評価(稲作)

[要約] 調理・加工米飯の流通・消費性向について調査を行い、食品関連業界や消費者が求める米の品質を明らかにした。また、冷凍米飯向け原料米の加工適性について、内部成分、官能試験、保存性を基にした評価指標を設定した。さらに、現有品種について冷凍米飯の加工適性を評価し、北海道米の新用途拡大を図るための育種開発や栽培技術に参考となる指針を示した。