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北見農業試験場

馬鈴しょ牧草グループ(牧草)

Forage Grass breeding Section

1.チモシーの新品種育成試験 (Timothy breeding)

昭和39年から、北海道に適し、多収で耐病性・耐倒伏性・競合力等に優れるチモシー新品種の育成に取り組んでいます。これまでに育成した極早生の「クンプウ」、早生の「ノサップ」・「なつちから」、中生の「アッケシ」・「キリタップ」・「なつぴりか」ならびに晩生の「なつさかり」は、北海道の基幹品種として広く栽培されています。また近年では、極早生で斑点病抵抗性と競合力に優れる「センプウ」(平成30年)や、中生の晩で収量性に優れ、栄養価が高く耐倒伏性と斑点病抵抗性に優れる「センリョク」(令和2年)を育成し、今後の普及が期待されます(育成品種については下表を参照)。

「なつちから」(出穂揃期)耐倒伏性検定試験(1番草刈取り時)大規模集団からの有望個体選抜試験
「なつちから」(出穂揃期)耐倒伏性検定試験(1番草刈取り時)
「なつぴりか」は「アッケシ」に比べ倒伏に強い
大規模集団からの有望個体選抜試験

(1) 北見農試におけるチモシー育種目標

収量性や耐病性、耐倒伏性の向上といった基本的な育種目標に加え、近年は社会情勢や畜産を取り巻く状況の変化を見据えた改良に取り組んでいます。

1.収量性、越冬性、耐病性の向上
2.耐倒伏性、マメ科牧草との競合力(混播適性)の向上
3.飼料成分の向上・・・高糖含量(高WSC)+高消化性(低Ob)
4.強害型イネ科雑草に対する競合力の向上

(2) 北見農試育成のチモシー品種
      (Varieties of Timothy bred in Kitami Agricultural Experiment Station)

早晩性品種名育成時の
系統名
育成
年度
主要特性
極早生クンプウ
(Kunpu)
北見11号昭和55年
(1980年)
再生良好。
*センプウ
(Senpu)
北見33号平成30年
(2018年)
多収で、斑点病に強く、マメ科牧草との混播適性に優れる。
早生センポク
(Senpoku)
北系4305昭和44年
(1969年)
多収で、越冬性が強い。
ノサップ
(Nosappu)
北見2号昭和52年
(1977年)
多収で、耐病性がやや強く、再生良好。
*なつちから
(Natsuchikara)
北見25号平成22年
(2010年)
多収で、倒伏と斑点病に強く、マメ科牧草との混播適性に優れる。
*北見36号
(Kitami No.36)
※品種名未定
北見36号令和6年
(2024年)
マメ科牧草との混播適性に優れ、栄養価に優れる(高WSC・低Ob)。
中生の早アッケシ
(Akkeshi)
北見16号平成4年
(1992年)
多収で、斑点病に強い。
なつぴりか
(Natsupirika)
北見30号平成26年
(2014年)
多収で、倒伏に強く、マメ科牧草との混播適性に優れる。
中生の晩キリタップ
(Kiritappu)
北見18号平成4年
(1992年)
多収で、斑点病にやや強い。
*センリョク
(Senryoku)
北見35号令和2年
(2020年)
多収で、倒伏と斑点病に強く、栄養価に優れる(高WSC・低Ob)。
晩生ホクシュウ
(Hokusyu)
北見7号昭和52年
(1977年)
多収で、再生良好。
なつさかり
(Natsusakari)
北見22号平成16年
(2004年)
倒伏と斑点病に強く、マメ科牧草との混播適性に優れる。

*印の付く品種は、ホクレン農業協同組合連合会との共同育成品種です。
学術情報および知的財産に関する情報については、「道総研農試の育成品種(牧草、飼料作物)」のページをご覧ください。

2.飼料作物品種比較試験 (Adaptability tests for new forage varieties)

牧草およびサイレージ用とうもろこしについて、オホーツク地域での適応性が高い品種・系統の選定試験を行っています。
近年の新品種については、「北見農試の新品種と関連の成果(飼料作物品種比較試験)」のページをご覧ください。

牧草(オーチャードグラス)試験圃場サイレージ用とうもろこし試験圃場
牧草(オーチャードグラス)試験圃場サイレージ用とうもろこし試験圃場

3.(休止中)スムーズブロムグラスの新品種育成試験 (Smooth bromegrass breeding)

昭和39年から平成17年まで、北海道および東北地方に適し、多収で良質・耐病性のスムーズブロムグラスの新品種の育成を行っていました(育成品種については下表を参照)。

「フーレップ」(左)と「アイカップ」
「フーレップ」(左)と「アイカップ」(右)

(1) 北見農試育成のスムーズブロムグラス品種
      (Varieties of Smooth bromegrass bred in Kitami Agricultural Experiment Station)

早晩性品種名育成時の
系統名
育成
年度
主要特性
中生アイカップ
(Aikappu)
北見1号昭和62年
(1987年)
やや多収で、耐病性がやや強い
フーレップ
(Fuureppu)
北見7号平成17年
(2005年)
多収で、耐病性が強い

学術情報および知的財産に関する情報については、「道総研農試の育成品種(牧草、飼料作物)」のページをご覧ください。

4.その他の成果

飼料作物の栽培技術や農業資材に関する試験なども実施しています。とりまとめに関わった近年の成果を紹介します。

(1) 飼料用トウモロコシの倒伏リスク低減技術(R3)

[ 成績概要(pdf) ]

(2) オホーツク(北見内陸)および根釧地域における牧草播種機を利用した夏播種条件下でのチモシー主体草地安定造成のための播種量(H31)

[ 成績概要(pdf) ]

(3) 飼料用とうもろこしの利用方法別安定栽培マップと新しい早晩性指標の開発(H29)

[ 成績概要(pdf)パンフレット(pdf) ]

(4) チモシーの地下茎型イネ科雑草に対する競合力の選抜方法(H28)

[ 成績概要(pdf) ]

(5) 混播草地における夏季更新の播種晩限(H27)

[ 成績概要(pdf) ]

5.定期作況報告(チモシー・サイレージ用とうもろこし)

北見農試における定期作況情報については、「定期作況報告」のページをご覧ください。


 

最終更新:令和6年2月20日


馬鈴しょ牧草グループ(牧草) 電話番号:0157-47-2633(直通)
 

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