課題名 |
判定 |
セールスポイント |
成績の要約 |
黒毛和種肥育における道産稲ワラおよび麦稈の有効活用 |
普及推進 |
道産稲ワラに加え、これまであまり肉牛の飼料として使われていない道産麦稈も十分肥育に活用できる。 |
道産の稲ワラおよび麦稈を肥育牛の粗飼料源として有効活用するため、その粗飼料特性を明らかにするとともに、肥育牛に対する給与効果と産肉性について検討した。物理的に麦稈、稲ワラ、乾草の順に粗剛であるが、牛は1日の反芻時間を長くすることで対処し、これら粗飼料はルーメン発酵に差がなく、産肉性および肉質等級は道内産枝肉の平均値と同等以上であることから、肥育後期の粗飼料として有効に活用できる。 |
放牧育成した黒毛和種肥育素牛の産肉性および放牧育成技術の経済性 |
指導参考 |
放牧で育成した素牛は、肥育期間の採食が良好で増体が高く仕上がりが早い。 |
3カ月齢で離乳した去勢牛を放牧で育成する場合、補助飼料給与水準を代謝体重あたり50gDMとするのが適切であり、放牧期間の日増体量は0.7㎏が確保できる。産肉性は肉質面で舎飼育成に比べてやや劣る傾向にあるが枝肉重量増大と肥育期間短縮が見込める。 |
F1母豚の能力を加味した「ハマナスW1」維持・増殖群の遺伝的評価法の検討 |
指導参考 |
ハマナスW1維持群の遺伝的評価にもとづく産子数の選抜によりF1母豚の産子数の向上が見込める。 |
ハマナスW1維持・増殖群の産子数に対する反復モデルによる推定育種価は、コマーシャル農場のF1母豚の産子数を加味して推定した育種価と正の遺伝相関がある。維持・増殖群における産子数の遺伝的評価にもとづく選抜がF1母豚の産子数向上に有効である。 |
オーストリッチの道内飼養概要と育雛期の飼育管理 |
指導参考 |
道内のオーストリッチ飼養の実態、オーストリッチ飼育上の問題点および週齢別消化能力を明らかにした。 |
育雛率は農場間でばらつき、同一農場でも年による変動が大きく、飼育法に一定傾向はなかった。飼育環境では4週齢迄に夜間低温に暴露されると発育が阻害された。粗蛋白質消化能力は4週齢でほぼ獲得できると考えられるが、繊維成分は6週齢では完成されていなかった。 |
乳牛の第四位変位の発症要因解明とリスク評価 |
普及推進 |
第四胃変位の発症要因を明らかにし、低減のために着目すべき具体的なポイントを示した |
酪農現場における第四胃変位の主要な発症要因は、分娩(妊娠)による第四胃の位置変化、分娩時の過肥および乾物摂取量不足であることを明らかにし、本症の低減には分娩前のボディコンデションスコアのコントロールと分娩前後の乾物摂取量確保が重要であることを示した。 |
黄色ブドウ球菌による潜在性乳房炎の早期診断・治療システム |
普及推進 |
黄色ブドウ球菌による乳房炎も早期診断、早期治療によって治癒できることを実証した。 |
治癒困難とされていた黄色ブドウ球菌による潜在性乳房炎も早期診断、早期治療することにより泌乳期においても70%以上が治癒することを実証した。また、分娩2週前の乳汁検査に基づく分娩前治療の有効性を示した。 |
細胞採取法の改善による性判別凍結受精卵の受胎率向上技術 |
普及奨励 |
性判別済み受精卵の流通を可能とする凍結受精卵の生産技術を開発した |
吸引法とそれに続く24時間の培養により、細胞採取にともなう受精卵の損傷を極力低減することで、直接移植が可能で、高い受胎率が得られる性判別凍結受精卵の生産技術を開発した。また、一連の技術について、プロトコルを作成した。このことで性判別済みの受精卵の輸送、流通が可能になる。 |
LAMP法による牛糞便からのヨーネ菌遺伝子検出法の開発 |
研究参考 |
LAMP法を用いて、迅速で、かつ簡易に牛糞便からヨーネ菌を検出する技術を開発した。 |
ヨーネ菌に特異性の高いLAMP用プライマーを開発するとともに、DNA抽出法や反応阻害物質の抑制法などの改善を図り、迅速・高感度に牛糞便からのヨーネ菌を検出できる方法を開発した。従来の培養法では2~3か月要していた糞便中ヨーネ菌検出が、この利用により数時間に短縮できる。 |
血糖値を用いた牛の分娩予測技術 |
指導参考 |
分娩前の血糖値またはその上昇率によって、乳牛の分娩を予測する方法を開発した。 |
乳牛の血糖値は分娩24時間前頃から上昇する傾向にあり、血糖値またはその上昇率によって、分娩を高い確率で予測できることを示した。牛舎内で血糖値が測定可能な簡易測定器を用いた予測マニュアルを作成した。 |
土地利用型酪農・畜産地域における河川水の養分負荷実態と軽減対策 |
普及推進 |
酪農生産と流域河川水質(養分負荷)の密接な関連性、および負荷源としての草地の特徴と軽減対策を示した。 |
草地酪農地帯における河川水質水準は流域の酪農生産と密接な関係がある。また、採草地、放牧草地などからの養分の流出負荷は肥料養分の施用時期、量で特徴があり、これらや緩衝帯草地や施設配置改善などによる養分負荷の低減策を提案する。 |
肉用牛ふん尿の処理過程における窒素揮散量とその低減策 |
指導参考 |
肉牛ふん尿処理において牛舎内・堆肥化過程での窒素揮散損失が大きいことをあきらかにし、その低減策をしめした。 |
肉牛ふん尿において排泄窒素の1/4が牛房から揮散し、通気式堆肥化でさらに1/4が揮散する。揮散低減策として牛舎内では敷料への酸性化資材・吸着資材・ウレアーゼ阻害剤の添加が、通気式堆肥化では酸性化資材の添加の効果が有効である。 |
牧草・飼料作物に対するふん尿主体施肥設計法 |
普及奨励 |
現在の肥効率、各種補正係数を改訂し、牧草と飼料用とうもろこしを対象としたふん尿主体施肥設計法を確立した。 |
肥効率と補正係数の考え方を再整理し、新たな数値に改訂した。さらに、草地・飼料畑とも環境に対する影響、草地では草種特性による施肥反応の違いを考慮することにより、施肥設計に係る基礎数値の信頼性を向上させ、ふん尿主体施肥設計法を確立した。 |
牛における腸管出血性大腸菌O157の動態と低減技術 |
普及推進 |
牛床への消石灰散布消毒によって、牛糞中への大腸菌O157の排泄を低減できる。 |
腸管出血性大腸菌O157はその保菌牛群内で再感染を繰り返して維持されている。同菌の排泄低減対策としては、牛床への消石灰の散布消毒が有効であり、また、導入時など必要に応じて感受性のあるサルファ剤や抗生物質の投与を併用することも効果的である。 |
乳牛ふん尿処理・利用過程における大腸菌の動態と低減技術 |
普及推進 |
乳牛ふん尿処理・利用過程おける大腸菌の動態を明らかにし、緊急場面での殺菌技術を示した。 |
高水分固形状ふん尿やスラリー中の大腸菌は数ヶ月の貯留期間中に概ね検出されなくなった。スラリー中の大腸菌は圃場還元(5t/10a)後の土壌からは3~5ヶ月で検出されなくなった。消石灰の添加により殺菌ができた。 |
肉用牛における発酵床の飼育密度に対応した管理法 |
普及推進 |
肉用牛における発酵床方式において、飼育密度や畜舎環境に対応した敷料使用量や作業量の目安を提示した。 |
発酵床では厳寒期を除き乾物分解が進み、敷料追加による水分調整と表層撹拌により床を維持することができた。ふん尿負荷や水分蒸発量を推定し、床の水収支から飼育密度や畜舎環境に対応した敷料使用量を算出できた。発酵床導入によるふん尿処理に関する労力、コストの低減を示した。 |
搾乳牛におけるフリーバーンのふん尿・床管理 |
指導参考 |
北海道で初めてフリーバーン(FB)におけるふん尿・床管理についての実態と留意点を示した。 |
FB農場では飼育密度、床管理労力、敷料量や床除ふんの採用などが勘案されて床が維持されていた。床除ふんの採用は床専有面積6m2/頭以下が目安となる。FBのふん尿は約3割が床に排泄されて堆肥化処理となり、約7割が通路に排泄されてセミソリッド処理となる。 |
簡易ふん尿堆積場の造成法(補遺) |
普及推進 |
現地実証からシート施設の構造や造成作業の手順・留意点などを整理し、造成マニュアルを作成した。 |
シート施設の構造や造成作業の手順・留意点などを整理し、造成マニュアルを作成した。貯留時のふん尿性状の変化は堆積ふん尿の性状により大きく異なり、そのの目安を提示した。 |
ケンタッキーブルーグラス主体放牧草地における軽種馬の栄養摂取量 |
指導参考 |
馬における牧草の栄養価を推定する式を改訂した。軽種馬において放牧地での行動、気象、割り当て草量が採食量と関係することを明らかにした。 |
放牧草の馬による消化率(乾物、TDNおよびエネルギー)を低消化性繊維(Ob)含量から推定できることを示し、ケンタッキーブルーグラス放牧草地における馬の栄養摂取量は、割り当て草量500kg以下では草量の多少に応じて増減すること、また草量にかかわらず、気温・日照によるストレスにより低下することを示した。 |
フレール式ロールベーラで収穫調製されたイネ発酵粗飼料の発酵品質および栄養価 |
指導参考 |
フレール式ロールベーラーで収穫調整されたイネ発酵粗飼料(WCS)の発酵品質、栄養価を明らかにした。 |
道内における飼料用イネの熟期別飼料成分表を作成するとともに、フレール式ロールベーラにより収穫調製されたWCSは消化性の向上は認められないが、発酵品質が優れることを示した。 |