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畜産試験場

平成25年度研究成果


平成25年度北海道農業試験会議(成績会議)畜産部会提出課題 
畜産試験場関係


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課題名 判定 成績の要約
黒毛和種母牛の飼養管理改善による虚弱子牛症候群の発生低減 指導参考 黒毛和種母牛を実験的に低栄養にし、虚弱子牛症候群(WCS)の発生を再現した。また、WCS 発生農場において、繁殖ステージ別の群分けや母牛の妊娠末期の飼料増給など、母牛の低栄養に起因するWCSの発生低減のガイドラインに示す対策をとることで、WCS の発生を低減できることを実証した。
飼料中リジン含量の調節による筋肉内脂肪含量の高い豚肉の生産技術 指導参考 肥育後期豚において、発育の低下を抑えつつロース中筋肉内脂肪含量を高めるための飼料中リジン含量は0.5%が適当であると考えられた。また、枝肉各部位(ソトモモ、ウチモモ、ウデ)においても低リジン飼料の給与により筋肉内脂肪含量を高めることが可能である。
畜産地帯における野生鳥類の生息実態と病原微生物保有状況及び畜産農場の防鳥対策 指導参考 農場内へ侵入する鳥種の内、カラス類がサルモネラを保菌しており、検出された菌株の遺伝子型解析や薬剤耐性から家畜との相互感染の可能性がある。ワイヤー類を用いた着地抑制技術や畜舎出入口の防鳥対策として防鳥シートカーテン等を開発し、野生鳥類の観察結果と既知の習性を考慮した誘引防止・防鳥対策方法を提示した。
牛マイコプラズマ乳房炎の感染実態と蔓延防止策 指導参考 乳汁からのマイコプラズマ検出実態から、M.bovis 等3 菌種が乳房炎起因菌として重要である。M.bovis による肺炎子牛およびM.bovigenitalium が生殖器感染している分娩牛の悪露は高リスク感染源であり、蔓延防止のためにはこれらの牛からの伝播を防止する飼養管理が重要である。
養豚場におけるサルモネラ健康保菌の低減技術 指導参考 サルモネラの健康保菌が認められる養豚場では、保菌母豚からの母子感染と離乳後の水平感染によりサルモネラが常在化することから、母豚の保菌率低減対策が重要である。抗生物質投与は保菌率低減に有効だが、効果を持続させるためには消毒済み豚房への移動等の再感染防止対策を組み合わせる必要がある。
メドウフォックステイルの防除技術 指導参考 出穂が早く、種子は開花22 日後に発芽能力を獲得し、長期間後発生するなどメドウフォックステイルの生育特性を明らかにした。生育特性に基づいた種子を落とさせない早期刈り取り管理による増殖サイクルの遮断や、ニコスルフロンやグリホサート系除草剤処理による個体の枯殺などを組み合わせた総合的防除技術を確立した。
十勝地域におけるキクイモの耕種的防除技術 指導参考 キクイモは刈り取り、表層撹拌または一部除草剤処理などによる茎葉への防除処理を年3回以上、43日より短い間隔で実施することにより地下部が減少し、完全にまたは著しく抑圧できる。茎葉の防除処理間隔が43日より長い場合、再生塊茎を発生する可能性がある。
非定型BSE 感染牛の歩様と行動量の変化 研究参考 非定型BSE 感染牛の歩様解析では、歩行時における殿部後端と後肢球節間の距離の延長がみられた。また、非定型BSE 感染牛の行動量解析により、発症時に休息状態の減少が継続することを明らかにした。以上のことから、歩様および行動量の解析により、非定型BSE感染牛の臨床症状を客観的に把握できることが示唆された。
低ランク胚移植における単為発生胚の共移植による妊娠認識増強効果 研究参考 単為発生胚の共移植によるインターフェロン・タウ(IFNT)補給は、受胚牛の妊娠認識を増強し、低ランク体内受精胚の胎齢40 日の受胎率が向上したが、胎齢40 日以降の流産が増加した。このことから、新たなIFNT 補給方法の検討により、低ランク胚の移植による子牛生産効率の向上が可能であることが示唆された
北海道黒毛和種基幹種雄牛「勝早桜5」 普及奨励 「勝早桜5」は気高系と田尻系の血液割合が高い。産肉能力は、産子の枝肉格付上物率(4 等級以上)が78%と非常に高く、推定育種価は脂肪交雑4 位、ロース芯面積11 位、バラ厚7 位(評価種雄牛2,579 頭中)とその遺伝的能力も高い。産子の発育能力も高く、繁殖雌牛の改良に資する基幹種雄牛としての活用が期待できる。
アルファルファ新品種候補「北海6 号」 普及奨励 多収で、秋の生育は良好でそばかす病に強く、越冬性が良好である。とくに2番草と3番草の収量が高い。収量性と耐倒伏性が改良されているため、北海道のアルファルファ栽培の安定度を向上させ、栽培拡大に貢献する。
チモシー新品種候補「北見30号」 普及奨励 「北見30号」は、早晩性が中生の早に属し、採草利用で年間合計乾物収量が「アッケシ」、「キリタップ」より多い。耐倒伏性が「アッケシ」、「キリタップ」より強く、混播栽培に必要な競合力が「アッケシ」、「キリタップ」より優れる。
チモシー「SBT0002」 普及奨励 「SBT0002」は早晩性が早生で、年間合計乾物収量が「ホライズン」より多収であるほか、混播適性(競合力)がやや良好である。これらのことから、「SBT0002」はより栽培管理がしやすい早生品種として、良質粗飼料の生産性向上に大きく貢献できる。

メドウフェスク「Cosmopolitan(STGS549/550)」

普及奨励

「Cosmopolitan」は、早晩性が早生に属し、放牧利用で年間合計乾物収量が「ハルサカエ」より多い。越冬性が「ハルサカエ」より優れる。

とうもろこし(サイレージ用)「エリオット(HE0942)」

普及奨励

すす紋病抵抗性が「極強」と優れている「エリオット」は、病害多発年においても収量減を低減することが期待され、本品種の作付拡大を奨励することで、普及対象地域の酪農・畜産経営の安定的発展に寄与するものである。