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畜産試験場

令和2年度研究成果

令和2年度北海道農業試験会議(成績会議)畜産部会提出課題 
畜産試験場関係

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課題名 判定 成績の要約
黒毛和種繁殖牛の飼料給与基準と栄養管理モニタリング法

指導参考

維持期の粗飼料給与は、過肥・削痩防止のため飼料分析値から日本飼養標準肉用牛成雌牛のTDN充足率90%を目安とする。黒毛和種繁殖経営で2番草はTDN60%以上となる割合が高く、維持期での飽食給与量を避ける。繁殖牛の腹胸比から飼料摂取状況が把握でき、維持期の腹胸比1.15未満は飼料摂取不足の指標となる。
黒毛和種去勢牛の肥育におけるハイモイスチャーシェルドコーン給与法

指導参考

濃厚飼料中HMSC乾物割合は肥育前期20%、肥育中期18%、肥育後期10%で慣行肥育と同等の枝肉成績が得られ、飼料自給率は15ポイント向上する。とうもろこしサイレージを併給する場合、濃厚飼料中HMSCを乾物で20%とすることで 慣行肥育と同等の枝肉成績が得られ、飼料自給率が40ポイント向上する。
卵胞発育処理による牛経腟採卵-体外受精胚の効率的生産技術

指導参考

経腟採卵-体外受精(OPU-IVF)の前処理として卵胞発育処理を行うことで、OPU-IVF胚の作出効率を1.5倍程度向上でき、新鮮移植では約50%の実用的な受胎率が得られる。前処理のうち、OPUによる主席卵胞除去を安息香酸エストラジオールの筋肉内投与に代替することで作業者や牛への負担を軽減できる。

飼料用トウモロコシの倒伏リスク低減技術

指導参考

飼料用トウモロコシにおいて倒伏リスクを低減できる栽植密度は、慣行畦幅(72、75cm)では7,500本/10a以下である。畦幅を狭くし、株間を20cm前後確保することで、収量性を確保し、倒伏リスクを低減できる。

土壌凍結地帯におけるチモシー主体放牧地へのペレニアルライグラス追播法

指導参考

土壌凍結地帯でチモシー主体の放牧地にペレニアルライグラスを追播する場合、追播時期を5~7月、播種量を2.0kg/10aとすることで追播2年目以降の秋に20~50%の収量増加が期待できる。5月追播では播種量を1.0kg/10aまで低減することが可能である。

ペレニアルライグラス「 KSP1403 」

普及推進

「KSP1403」は、特に道北・道央の多雪地において、「ポコロ」と比較して収量性は同程度であるが越冬性に優れることから、当該地域の放牧酪農に貢献できる。

とうもろこし(サイレージ用)「HE16040」

普及奨励

「HE16040」の早晩性は”早生の中”に属し、「KD320」より乾物総重・推定TDN収量が多く、乾雌穂重割合が高いことから、酪農・畜産の主産地である普及対象地域において良質サイレージ原料の安定栽培と生産性向上への貢献が期待できる。

とうもろこし サイレージ用 「 KE4352 」

普及奨励

「KE4352」の早晩性は“早生の晩”に属し、標準品種「KD418」よりも乾物・TDN 収量が多く、収穫適期の目安となる乾物率の上昇も速やかで、すす紋病抵抗性も「強」であることから、酪農・畜産の主産地である普及対象地域の特に収穫期をやや早めなければならない場面において、良質サイレージ原料の安定栽培と生産性向上への貢献が期待できる。

とうもろこし(サイレージ用)「KEB7421」

普及奨励

「KEB7421」は早晩性が“ 早生の晩” に属し、収量が標準品種「KD418」よりやや多い。また、すす紋病抵抗性が「KD418」より強く、すす紋病による栄養収量の低減リスクを緩和できる。