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畜産試験場

平成23年度研究成果


平成23年度北海道農業試験会議(成績会議)畜産部会提出課題 
畜産試験場関係


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課題名 判定 成績の要約
北海道におけるブラウンスイス種の特性
(根釧農試、畜試)
指導参考 ホルスタイン種(HOL)と同程度の体格となるが、育成期の発育や交配開始が遅れる傾向にあり、妊娠期間はHOLよりも2週間程度長い。乳量はHOLよりも低い(86%水準)が、乳成分率、チーズ歩留まり(3~4%)は高い。放牧時の歩行距離は長く、採草行動は旺盛。粗飼料多給での肥育が可能であり、濃厚飼料を80%減らせる。
大型バンカサイロの踏圧法(補遺)
-大型バンカサイロにおける中水分牧草サイレージ安定調製技術の実証-
(畜試)
指導参考 牧草サイレージ調製で、同時詰め込み本数を2本とすることや踏圧車輌を倍に増やすことで十分な圧縮係数の確保が可能。圧縮係数の向上を優先し、詰め込みに2~3日を要しても発酵品質には問題がない。密封加重作業時に加重物を周囲に乗せる方法でも、発酵品質は低下せず軽労化が可能。
十勝地域における飼料用とうもろこしのイアコーンサイレージ向け安定多収栽培法
(畜試)
指導参考 収量および耐倒伏性から、栽植密度は9000本/10a(雌穂収量835~1153kg/10a)が適当で、収量増に見合いの2kg/10aの窒素増肥を追肥として行う。追肥時期としては4~7葉期が適期。葉面の乾いた状態の散播追肥は側条追肥と同等の効果。
繁殖性を考慮した黒毛和種の交配計画法
(畜試、北海道酪農畜産協会)
指導参考 道内牛群における子牛生産指数の遺伝率は0・08であり、同指数は、繁殖能力の指標として有力な形質といえた。繁殖雌牛の近交係数は6%を超えると悪影響がみられたので、6%以内に抑えるのが望ましい。本交配シミュレーションソフト改良版を活用することで、産肉能力、繁殖能力、および近交係数を考慮して、後継雌牛生産のための交配種雄牛を選定できる。
酪農場における野生動物のサルモネラ保菌実態と対策
(畜試)
指導参考 牛飼養農場内や周辺のアライグマ、キツネおよびカラスからサルモネラ菌が分離された。その一部は血清型等の疫学マーカーにより牛と共通と考えられることから、これら野生動物は牛に対する感染源になりうる。アライグマでは複数年の継続した駆除が、キツネは電気柵、カラスは防鳥ネットが進入防止対策となりうることを確認。
牛の分娩誘起が胎盤節のアポトーシスの発生に及ぼす影響
(畜試)
研究参考 誘起分娩では胎盤節の遺伝子発現の変化や二核細胞の減少が誘導されず、これらが胎盤停滞の一要因と考えられる。しかし、アポトーシス細胞量の解析からはデキサメサゾンが胎盤節の成熟誘導因子であると示唆されたため、今後投与量等の検討が必要である。
ドナー牛の過剰排卵処理における卵巣反応性の予測技術
(畜試)
研究参考 血漿AMH濃度は過剰排卵処理後の回収卵数と相関し、卵巣反応性の予測に利用できる。また、血漿AMH濃度が高くAMPA1遺伝子がGG型のドナー牛は卵巣反応性が最も良く、これらを指標として受精卵の生産性の高いドナー牛を推定できる。
非定型BSE感染牛におけるプリオンの病原性と体内分布
(畜試)
指導参考 脳内接種による非定型BSE感染牛は定型BSE感染牛と比較して、脳組織および末梢組織のプリオン分布に差はなかったが、臨床症状が不明瞭で、飼養困難となるまでの期間が短く、脳組織のプリオン蓄積も早期であったことから、非定型プリオンは病原性が強い。
とうもろこし(サイレージ用)「メルクリオ(HK7705)」
(北見農試、畜試、北農研セ)
普及奨励 「早生の中」に属し、「チベリウス」に比べ、初期生育は並、耐倒伏性も並。乾物総重および推定TDN収量はやや多く、雌穂乾物率がやや低く、総体乾物率が並~やや高く、乾雌穂重割合が並~やや低い。すす紋病抵抗性は「ダイヘイゲン」、「チベリウス」よりやや強い。
とうもろこし(サイレージ用)「KD320(KE8340)」
(畜試、北見・根釧農試、北農研セ)
普及奨励 早生の中」に属し、「チベリウス」に比べ初期生育は並、耐倒伏性も並。乾物総重、推定TDN収量ともにやや多く、雌穂乾物率がやや高く、総体乾物率がほぼ同程度で、乾雌穂重割合がやや低い。すす紋病抵抗性は「ダイヘイゲン」、「チベリウス」より強い。
とうもろこし(サイレージ用)「LG3235(HE0721)」
(畜試、北見農試、北農研セ、家畜改良セ)
普及奨励 「中生の早」に属し、「ブリザック」に比べ初期生育がやや優れ、耐倒伏性は並。乾物総重、推定TDN収量ともにやや多い。総体乾物率、乾雌穂重割合とも並。すす紋病抵抗性は「キタユタカ」よりやや強く、「ブリザック」より弱い。
とうもろこし(サイレージ用)「SHC0702」
(北農研セ、道南農試、畜試)
普及奨励 「晩生の中」に属し、「LG3520」に比べ、初期生育はやや劣り、耐倒伏性がやや強い。乾物総重はやや多く、推定TDN収量は多い。総体乾物率がやや高く、乾雌穂重割合が高い。すす紋病抵抗性は「3540」より強く、「LG3520」よりやや弱い。
農業資材試験(除草剤)
・リードカナリーグラス(RCG)に対する「ZK-122液剤」の秋処理
・リードカナリーグラス(RCG)に対する「NC-622液剤」の秋処理
・飼料用とうもろこしの出芽直前~出芽揃における一年生イネ科雑草に対する「BAS-656乳剤」処理
・飼料用とうもろこしの播種後出芽前における一年生雑草に対する「NM-536-P乳剤」処理
・飼料用とうもろこしにおけるイチビに対する「NC-331水和剤」処理
(畜試・根釧農試・天北支場・植調十勝・植調北海道)
指導参考 経年草地におけるリードカナリーグラス対象の2剤、とうもろこし向け3剤について各資材が実用可能であると確認された。