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畜産試験場

令和1年度研究成果

令和1年度北海道農業試験会議(成績会議)畜産部会提出課題 
畜産試験場関係

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課題名 判定 成績の要約
中小家畜におけるコーンコブミックスサイレージおよび国産ダブルローナタネ粕の給与法

指導参考

肥育豚および肉用地鶏では、コーンコブミックスサイレージとの混合給与で国産ダブルローナタネ粕を10%飼料中に配合できるが、産卵鶏では飼料摂取量等を考慮し5%とする。本給与技術により、肥育豚、肉用地鶏で飼料自給率60%以上を達成可能である。
感染シミュレーションモデルを活用した牛白血病ウイルス清浄化の推進方法

指導参考

感染源としてハイリスクとされる持続性リンパ球増多症の牛白血病ウイルス感染牛は乳房炎に2倍罹患しやすく、1頭あたりの乳量損失額は約2万円と試算される。開発したシミュレーションモデルを用いた感染牛頭数推移の予測により吸血昆虫対策やハイリスク牛の淘汰など農場の実情にあわせた対策の検討が可能である。
道東地域における牧草夏播種年の飼料収穫量向上のための秋まきライ麦栽培法

指導参考

道東地域において牧草またはとうもろこし収穫翌年の草地更新で夏播種をする場合、ライ麦を9月中下旬に播種し、出穂期までに収穫することでTDN含量60%程度のライ麦を乾物で600~800kg/10a程度収穫できる。乾物収量の増収割合は40~67%と試算され、単位面積あたりの飼料収穫量が向上する。

とうもろこしサイレージ中デオキシニバレノール濃度の簡易スクリーニング法

指導参考

とうもろこしサイレージ生試料に水を加え、ジュースミキサーで攪拌後にろ紙でろ過したろ液を用いて、市販の定量および定性イムノクロマトキットによりデオキシニバレノール濃度を評価できる。抽出から測定までの所要時間は13~15分/点であり、約18時間の乾燥処理を要する従来の簡易測定法に比べ極めて迅速である。

黒毛和種受精卵における産肉能力のゲノム選抜技術

普及推進

黒毛和種受精卵から約15細胞を採取し、全ゲノム増幅を行うことで産肉能力のゲノム育種価を評価できる。ゲノム育種価評価した凍結受精卵の受胎率は約40%と実用水準にある。本技術の活用により、受精卵段階で高能力個体を選抜でき、効率的な道内黒毛和種種雄牛造成および繁殖雌牛改良が可能となる。

牧草およびとうもろこしサイレージの繊維消化率の近赤外分析による推定

普及推進

牧草サイレージおよびとうもろこしサイレージの30、120、240時間培養後の未消化NDF含量あるいは可消化NDF含量を予測する近赤外分析用検量線を開発した。本検量線で推定した値を用いて飼料設計することにより、粗飼料の繊維の質を正しく考慮した飼料給与が可能になる。

とうもろこし(サイレージ用)新品種候補「北交91 号」

普及推進

「北交91 号」は早晩性が“早生の早”の中でもかなり早く、とうもろこし栽培限界地帯においても十分に雌穂の登熟が進む。その分、低収であるが、すす紋病抵抗性、ごま葉枯病抵抗性に優れ、赤かび病抵抗性は弱くない。また、耐倒伏性に優れることから、近年増加傾向の台風被害においても被害の軽減が可能である。

オーチャードグラス 新品種候補「東北8号 OG 」

普及推進

「東北8号OG」は、早晩性が早生で、「はるねみどり」に比べて多収でWSC 含量が3ポイント高く、サイレージ発酵品質が向上しており、TDN 収量が多い。越冬性は全道
で安定しており、主要病害であるすじ葉枯病に対する耐病性は「はるねみどり」より優れる。「東北8号OG」は、早生で収穫時期の分散による気象リスク回避が可能で、飼料品質が改良されていることから、北海道における自給飼料の高品質化と安定生産に貢献できる。

チモシー新品種候補「北見35号」

普及奨励

「北見35号」は、早晩性が中生の晩で、「キリタップ」と比べ、採草利用時と放牧利用時の収量性に優れる。また、耐倒伏性と斑点病抵抗性に優れ、混播適性と越冬性にやや優れる。Ob含量が低く、WSC含量が高く、栄養価にも優れる。さらに、採種性に優れる。

アカクローバ「SW RK1124」

普及奨励

「SW RK1124」はクローバ菌核病罹病程度が低い晩生品種であり、チモシー中生品種との混播に適しており、道内の高品質粗飼料生産に貢献することが期待できる。

とうもろこし(サイレージ用) 「 TH1 51 3 」

普及奨励

「TH1513」の早晩性は“早生の中”に属し、標準品種「チベリウス」よりも乾物収量および推定TDN 収量がやや多く、すす紋病抵抗性もやや強いことから、酪農・畜産の主産地である普及対象地域において良質サイレージ原料の安定栽培と生産性向上への貢献が期待できる。