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畜産試験場

DNA技術

クローン clone
特定の遺伝子型を持った均一な細胞群のこと。クローンを作ることをクローニングという。元々は植物や細菌などが分裂増殖してできる細胞集団や個体群をさす呼び名。ギリシャ語の「切り枝」や「挿し木」の意。DNA(遺伝子)のクローニングとは染色体中や細胞質中の特定のDNA断片をベクターに組み込んで大腸菌などの宿主細胞へ導入し、組み込んだ特定のDNA(遺伝子)のみを大量に増やすことができるようにすることをいう。
PCR法 polymerase chain reaction
ポリメラーゼ連鎖反応法。特定のDNA領域をはさんだ2種類のプライマーとDNA合成酵素(ポリメラーゼ)によるDNA合成反応を温度コントロールすることにより行い、それを数十回繰り返して特定DNA領域を数10万倍に増幅できる。これは極めて簡単な方法であり、マイクロサテライトの種類もこの方法で判定できるので非常に便利。
マイクロサテライトの遺伝子型判定
ウシの血液より白血球を調整し、ゲノムDNAを抽出する。これをテンプレートとしてマイクロサテライトのプライマーによりPCR反応を行い、エタノール沈殿後、電気泳動にかけ遺伝子型の判定を行う。
電気泳動 electrophoresis
DNAはマイナスに帯電しているので、寒天上の物質の上で電気を流すとDNAはマイナスの方向からプラスの方向へと流れる。分子量の大きいものほどゆっく り流れ、小さいものほど早く流れるので、DNAの大きさ(bp)が判定できる。
電気泳動像
子どもは必ず父と母のバンドを受け継ぐ。ここでは508Fは菊福鶴と510Aの子どもであり、432Bは関係ない。
FISH(蛍光インサイチューハイブリダイゼーション) Fluorescent in situ hybridization
調べたいDNA断片が染色体のどの位置のあるのかを決定する方法。スライドグラス上に固定された染色体に蛍光性の試薬で標識されたプローブを反応させて、ハイブリッド(分子雑種)を形成させ、蛍光顕微鏡で観察して位置を決定する。
BAC(バクテリア人工染色体) Bacterial artificial chromosome
バクテリアのF因子といわれるDNAをベクターとして使う。ちなみに、MAC(Mammalian artificial chromosome):哺乳類人工染色体というのも研究されている。
ライブラリー
クローンの集合体。各クローンは互いに重複した領域を含んでいて、全体としてゲノムDNAを全て含むものをゲノムライブラリーgemomic library, cDNAを全て含むものをcDNA libraryという。
キメラ Chimera
遺伝的に異なった細胞からなる個体。ギリシャ神話に登場する頭がライオン、胴がヒツジ、尾がヘビという伝説上の怪獣の名前に由来。最近は、「キメラ遺伝子」(異種の生物の遺伝子をつなげたもの)、「キメラタンパク質」(異種の動物のタンパク質をつなげたもの)、というように適用範囲が拡がってきている。
プライマー preimer
PCR法でDNAを増やすときに使われる20~30塩基対の短いDNA断片。増やしたい部分の両端に結合する塩基配列を持つ。
テンプレート template
PCR法で増やしたいもともとのDNAのこと。
コスミド cosmid
ファージとプラスミドの合いの子ベクター。ファージのcos領域[ファージの殻(頭部)へのファージDNAの包み込み(パッケージング)に必要なDNA 配列]をプラスミドに組み込んだもの。
in situ(イン・サイチュー)
生体内原位置の。ラテン語で「本来の位置に」の意。ちなみに、in vivo(イン・ビボ)は「生体内」、in vitro(イン・ビトロ)は「ガラス器具内」の意。
YAC(酵母人工染色体) Yeast artificial chromosome
巨大DNA断片(数100kb~1000kb)のクローンが作成できる。
コンティグ
連続した一連のクローン。