農業研究本部へ

畜産試験場

簡易分娩介助器「なんざんす1号」

難産は、子牛のその後の発育や母牛の子宮に悪影響を与えることから、繁殖農家にとって大きな痛手となります。そのため、難産を回避するため、必要に応じて分娩介助を行うことが重要です。しかし、子牛の大きさや姿勢によっては分娩介助に多大な労力を要することがあり、その際には簡易な分娩介助器がほしいところです。そこで、考案されたのが「なんざんす1号」です!!
「なんざんす1号」を考案した藤川氏。手に持っているのが「なんざんす1号」です。

<なんざんす1号の作り方>

材料 : 滑車6個、豆サック(小)6個、豆サック(大)2個、ロープ(7mm)20m
① 滑車ユニットの作成
滑車3個、豆サック(小)3個、豆サック(大)1個 を写真のように組み立てます。同じものを2個作ります。この際に写真では見えませんが、滑車がばらけないように細い針金で固定させておくことがポイントです。
② ロープ通し
写真のように、滑車ユニットにロープを交互に通していきます。
片方のロープの端は滑車ユニット近くで結んでおきます。
③ 早くも「なんざんす1号」の完成
ロープを全部通していくと、「なんざんす1号」の完成です。実際の使用時には、ナスカン(首が360度回転するもの)を滑車ユニット上部に取り付けます。

<なんざんす1号の使い方>

① 分娩を開始した牛に頭絡を装着し、子牛の姿勢や破水からの時間等を考えて介助の判断をする。
② 子牛の両足にテープを正しく装着する。必要によっては頭にもかける。
③ 「なんざんす1号」をテープにかけ、反対の末端を支店に固定する(別のロープ等で長さを調整する)。
④ 「なんざんす1号」を使用する時は、ロープが全部伸びきった状態にしておく。
⑤ ロープを引っ張る。
⑥ 他の介助者は、産道と頭の間に手を入れて娩出を容易にする(※途中で止まると子牛が窒息するので、牛が移動する距離を考えておかなければならない)。
*材料は、お近くのホームセンターで3,000円ほどで手に入ります。
*材料にまったく加工を要さないので、数分で作れます。
*作業性は、市販の分娩介助器(数万円)と変わらず、ロープ長や滑車の数によっては市販のものより引く力を大きくできる可能性があります。