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畜産試験場

研究実績


平成31年度(令和元年度)の研究成果(令和2年新技術)

○感染シミュレーションモデルを用いた牛白血病ウイルス清浄化の推進方法

感染源としてハイリスクとされる持続性リンパ球増多症の牛白血病ウイルス感染牛は乳房炎に2倍罹患しやすく、1頭あたりの乳量損失額は約2万円と試算されました。今回開発したシミュレーションモデルを用いた感染牛頭数推移の予測により吸血昆虫対策やハイリスク牛の淘汰など農場の実情にあわせた対策の検討が可能です。
(北海道農業試験会議 指導参考事項)
>>>概要書(PDF 522kB)..


平成28年度の研究成果(平成29年新技術)

○地域貿易のための酪農場の感染症モニタリング法

酪農場において牛舎環境材料やバルク乳を用いてサルモネラ、マイコプラズマ、牛ウイルス性下痢・粘膜病ウイルスを定期的に検査すること(感染症モニタリング)は、陽性農場の検出に有効であり、地域の防疫対策向上に寄与します。現地における感染症モニタリング試行の結果から、実施時の注意事項および実施手順を提示しました。
(北海道農業試験会議 指導参考事項)>>概要(PDF 312KB)



平成27年度の研究成果(平成28年新技術)

○酪農場における牛白血病ウイルス伝播のリスク要因と防止対策

搾乳牛を群飼育している酪農場では、血中ウイルス量が高い牛(ハイリスク牛)や夏季舎飼い時の吸血昆虫などが牛白血病ウイルス伝播リスクの要因となります。ハイリスク牛を優先的に淘汰したり防虫ネットを牛舎に設置したりするなどの吸血昆虫対策により牛白血病ウイルス陽転率が減少し、農場内のウイルス伝播防止に有効であることを明らかにしました。
(北海道農業試験会議 指導参考事項)>>概要(PDF)パンフレット(PDF)


○SPF豚農場における豚サーコウイルス2型ワクチン接種方法とその効果

豚サーコウイルス2型(PCV2)ワクチンを母豚と子豚の両方に接種(母豚・子豚接種法)しているSPF豚農場では、子豚接種だけの農場より、離乳後事故率が有意に低くなることがわかりました。母豚・子豚接種法は、血清中および環境ふん便中のPCV2検出量を減少させることから、SPF豚農場でも最も望ましいPCV2ワクチンの接種方法であると考えられます。
(北海道農業試験会議 指導参考事項)>>概要(PDF)


平成25年度の研究成果(平成26年新技術)

○牛マイコプラズマ乳房炎の感染実態と蔓延防止策

近年、大規模酪農場を中心にマイコプラズマによる乳房炎が増加しています。本症の侵入経路として、肺炎子牛などの排菌牛や外部導入牛を介した感染、呼吸器病に継発した保菌牛による乳房炎発症の可能性が疑われていますが、実態は明らかにされていませんでした。そこで、牛マイコプラズマ乳房炎発生農場調査により、乳汁中マイコプラズマの感染実態と酪農場における高リスク感染源を明らかにし、これらの結果をもとに牛マイコプラズマ乳房炎の蔓延防止策を示すことを目的として取り組みました。本成績では、(1)乳汁からのマイコプラズマ検出実態から、Mycoplasma bovis 等 3 菌種が乳房炎起因菌として重要であること、そして(2)M.bovis による肺炎子牛および M.bovigenitalium が生殖器感染している分娩牛の悪露は高リスク感染源であり、蔓延防止のためにはこれらの牛からの伝播を防止する飼養管理が重要であることを示しました。
(北海道農業試験会議 指導参考事項)>>概要(PDF)


○黒毛和種母牛の飼養管理改善による虚弱子牛症候群の発生低減

虚弱子牛症候群(WCS)は、出生直後から活気がなく虚弱症状を示す子牛の総称です。WCS の子牛は胸腺形成不全に起因する免疫機能の低下により感染症に罹患しやすく、発育不良となり、死亡率が高く、黒毛和種繁殖農場において大きな経済的損失となっています。WCS の発生要因の1つとして、母牛の分娩前の低栄養状態が関与するとされており、WCS の発生低減のための妊娠牛の飼養管理法の確立が求められていました。そこで、WCS発生農場調査および場内牛を用いた飼養試験により、黒毛和種母牛の栄養状態が子牛に及ぼす影響や WCS の発生要因となることを明らかにし、母牛の飼養管理改善により、WCS の発生低減を実証することを目的として取り組みました。本成績は、(1) 黒毛和種母牛を実験的に低栄養にし、虚弱子牛症候群(WCS)の発生を再現し、また、(2) WCS 発生農場において、繁殖ステージ別の群分けや母牛の妊娠末期の飼料増給などの対策を実施することによりWCSの発生を低減できることを実証しました。これらの成績を基にWCS発生低減のための妊娠牛の飼養管理法に関するガイドラインを示しました。
(北海道農業試験会議 指導参考事項)>>概要(PDF)


○養豚場におけるサルモネラ健康保菌の低減技術

全国的な調査からサルモネラの健康保菌豚が確認されています。サルモネラは、人や動物に感染して病原性を示すため、家畜におけるサルモネラの保菌は畜産物を介した人の感染性食中毒症の危険因子であり、保菌農場ではサルモネラの排泄低減対策もしくは清浄化対策の実施が求められていました。 そこで、養豚場においてサルモネラが常在化する要因を明らかにし、感染防止のための重要管理点を示すこと、そして抗菌性物質や生菌剤等の投与による排泄低減効果を明らかにし、養豚場で実施可能な排泄低減技術を示すことを目的として取り組みました。 本成績では、(1)サルモネラの健康保菌が認められる養豚場では保菌母豚からの母子感染と離乳後の水平感染によりサルモネラが常在化することから、母豚の保菌率低減対策が重要であること、また(2)抗生物質投与は保菌率低減に有効だが、効果を持続させるためには消毒済み豚房への移動等の再感染防止対策を組み合わせる必要があることを示しました。
(北海道農業試験会議 指導参考事項)>>概要(PDF)


○畜産地帯における野生鳥類の生息実態と病原微生物保有状況及び畜産農場の防鳥対策

北海道は、多種多様な渡り鳥が多数飛来するため、高病原性鳥インフルエンザやサルモネラ等の病原体が持ち込まれるリスクが他地域に比べ、高い可能性があります。また、北海道では防鳥施設等が完備されていない開放的な畜舎において多数の家畜が飼育されており、野生鳥類由来病原微生物の家畜への伝播リスクを高めています。家畜感染症の発生低減のため、野生鳥類の生息状況調査と病原微生物の保有実態に基づく農場への防鳥技術の開発が必要でした。 そこで、北海道東部の畜産地帯において野生鳥類の生息実態および病原微生物の保有実態調査を行い、留鳥と渡り鳥の接触や家畜への感染症伝播リスクの高い鳥種を明らかにする、また畜産農場において野生鳥類の誘引防止および防鳥対策を示すことを目的として取り組みました。 本成績では、(1)農場内へ侵入する鳥種の内、カラス類がサルモネラを保菌しており、検出された菌株と家畜由来株の遺伝子型解析や薬剤耐性型から家畜との相互感染の可能性があること、そして(2)ワイヤー類を用いた着地抑制技術や畜舎出入口の防鳥対策として防鳥シートカーテン等を開発し、野生鳥類の観察結果と既知の習性を考慮した誘引防止・防鳥対策方法を提示しました。
(北海道農業試験会議 指導参考事項)>>概要(PDF)



その他の研究成果