北海道は四方を海に囲まれ、また多くの湖や河川もあり、多種多様な水産資源に恵まれています。そこでは永年にわたって魚を獲る方法や漁具の改良が行われてきました。そして、先人の知恵を引き継いで漁場の環境や魚の習性を利用した様々な漁業が営まれています。

この「北海道の漁業図鑑」は、普及職員で組織する北海道水産業改良普及職員協議会の事業の一環として制作されたものです。多様な魚介類がどのような方法で獲られているのか、皆さんに理解していただけることを目的に、会員が漁船に乗り込み、漁業の様子をカメラに収めたもので、3年の歳月を費やして編集されました。また、現在「食育」が取り組まれている中、その生産現場である北海道の漁業実態が分かるよう、この図鑑に凝縮させています。

北海道の漁業の魅力が少しでも皆様に伝われば幸いです。

発刊にあたり、北海道水産林務部、水産試験場をはじめ、写真撮影にご協力いただいた関係漁業協同組合並びに漁業者の方々、また、取材や原稿執筆を担当された会員や編集を担当された編集委員の方々に対し、心より厚くお礼申し上げます。

 

北海道水産業改良普及職員協議会では、これまでに「北海道沿岸漁具・漁法図鑑」や写真集「北の漁業★最前線」などの北海道周辺の漁業を紹介してきておりますが、水産業改良普及事業が発足以来50年を迎えた足跡を記念して、北海道の沿岸漁業を写真に納め「北海道の漁業図鑑」として制作することになりました。

道内各地の沿岸漁業のうち資源と共に衰退した漁業や沖合漁業など取材の困難な漁業を除いた90漁業種について魚種別・漁業別・地域別に検索できるよう網羅しております。また、近年めざましく発展している人工種苗生産について13種を加え、更に関係する資料も添付しこれまでにない図鑑を完成することができました。

広く関係者、一般の方々に北海道の漁業を紹介すると共に、漁業後継者育成のための教材としてもご活用願えれば幸いに存じます。

この図鑑作成に携わった会員、編集委員の方々にとりましては、多忙の中での取り組みで大変ご苦労を掛けました。また、取材及び編集にご協力頂いた漁業協同組合や漁業者の皆様方には厚く御礼申し上げるとともに、漁業生物図鑑「新・北のさかなたち」の資料を使用させて頂いた北海道立水産試験場の方々に深く感謝の意を表します。