水産研究本部

試験研究は今 No.162「青森県、北海道水産試験研究機関交流・共同研究検討会の開催について」(1993年10月22日)

青森県、北海道水産試験研究機関交流・共同研究検討会の開催について

  平成5年9月21日、函館市において青森県・北海道水産試験研究機関交流・共同研究検討会が開催され、明年度から共同で津軽海峡西口の測流調査に取り組むことになりましたので、この概要について紹介いたします。

  この検討会は、平成3年に発足されたもので、津軽海峡を間にはさんだ青函地域の水産に関する共通の課題を、試験研究機関の立場から意見交換し合いながら、お互いの連携を強めていくことを主な目的としています。そして、これまでに相互の試験研究の内容や漁業情勢等の情報についての意見交換を行いながら、共同研究推進等の可能性について検討してきました。

  当日、青森県側からは青森県水産試験場長・青森県水産増殖センター所長・青森県水産部漁政課総括主査ほか9名、北海道からは函館水産試験場長、栽培漁業総合センター場長・中央水産試験場企画情報室長・水産部漁政課研究企画係長ほか13名が出席しました。

  会議では、まず、本年度の新規研究事業等が紹介された後、共同研究へ向けての両者の取り組み(案)が提案されました。青森県水産試験場からは、「津軽海域総合調査(案)」と題して長期的なプロジェクト構想を北海道・青森県共同で取り組み、大型の予算を確保して行くことについての話題提供がありました。函館水産試験場からは、「津軽海峡西口測流調査計画(案)」と題して、当面の北海道・青森県の共同調査についての提案がありました。これらについて意見交換をした結果、青森県水試の話題提供については将来ビジョンとして受けとめることとしました。函館水試の提案については本年度からさっそく予備調査に入り、明年度からは正式に調査することになりました。
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  次に、この調査について、簡単に説明いたします。

  津軽海峡には、対馬暖流が西口の日本海側から流入し、津軽暖流と名を改め東口の太平洋側に流出しています。この津軽暖流は、九州南西沖で黒潮から分離した後、対馬海峡を通過し日本海を北上する対馬暖流の8割を占めるといわれています。この津軽海峡に流入する対馬暖流の流量については、一般的に、冬には少なく、夏から秋には多いといわれています。また、この流量については、“海水の密度の不均一さ”により起きる流れと、“海面水位の差”で起きる流れとを合算したものが大部分です。しかし現在のところ、密度差による流量だけしか計算されていませんから、海洋観測データに上る流量計算では、入り口となる西口が少なく、出口となる東口で多いという収支の合わないこともあることがわかっています。従って、今後は絶対流量の調査方法を確立し、総体的に流量を評価しなければなりません。

  また、今年の水産海洋学会の学術誌では、対馬海峡の絶対流量が津軽海峡のこれまでの定説と逆で、冬に多くて夏に少なかったと報告されています。

  こうしたところから、津軽海峡における流量評価手法の開発を共同で取り組むことにより、海況の変動を的確にとらえるとともに予測をしていくことが必要となります。そして、このことは海況変動と密接に関連する津軽海峡をはさむ青函双方の重要生物資源の的確な変動予測や増養殖に役立つものと考えられます。
(函館水試企画総務部)
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静内町でミニプラザ開催

  去る9月30日(木曜日)、日高支庁管内、静内町の日高地方婦人会館で、試験研究ミニプラザが開催されました。

  当日は、地元漁業者をはじめ漁協や役場の職員、そして道の関係機関などから合わせて29名が集まりました。
  室蘭支場の上田資源科長から「ケガニの生態と資源動向について」と題して話題提供を行いました。この日は、開催時刻が、午後5時30分と、皆さん仕事を終えてからの参加でしたが、疲れも見せず、熱心に耳を傾けられ、盛会のうちに終了しました。
  なお、このミニプラザの開催にあたっては、漁業士さんが水産技術普及指導所と連携し、漁業者への呼びかけ等の準備を行ってくださいましたので、ここに厚くお礼申し上げます。(函館水試企画総務部)