水産研究本部

試験研究は今 No.191「青年漁業士大いに語る(3)-根室湾中部漁業協同組合-鈴木聖二漁業士を訪ねて-」(1994年7月8日)

-浜の声-浜ウオッチング 青年漁業士大いに語る(3) 根室湾中部漁業協同組合-鈴木聖二漁業士を訪ねて-

鈴木聖二漁業士
  今回の浜ウオッチングは、根室市にある根室湾中部漁業協同組合の鈴木青年漁業士を訪ねました。鈴木漁業士は、根室西高校卒業後実家の漁業を継ぎ、平成元年漁協青年部長となり、平成4年には北海道青年漁業士の称号を授与(平成3年度認定)きれました。また地元の根室市立幌茂尻小学校のアサリ研究会活動の指導を地道に継続する等地域活動にも積極的に取り組んでいます。

【プロフイール】
昭和42年 1月11日生れ(27歳)
昭和60年 道立根室西高校卒業
平成元年 根室湾中部漁協青年部部長
平成4年 北海道青年漁業士
平成6年 根室支庁管内漁業士会事務局長
現在にいたる。
インタビュー写真
鈴木家の漁業について教えてくれませんか。
父が分家なので、私で2代目です。1年間の漁業の組み合わせは、3~8月まではカレイを中心とした雑刺網、ホッキ、アサリの手堀り、9~11月まではホッキ桁網、1~2月までは氷下待網(コマイ、チカ)といったところです。

漁業を継ぐようになった理由は?
姉と妹がいて男が私一人なんで、自分が継がなければと思っていたんです。中学校時代から網はずしの手伝いをしたりして、漁業に親しみがあったんですよ。

漁協青年部活動について教えてくれませんか。
昔は温根沼のホッカイエビで生活できるほど資源があったんです。資源の減少で平成5年まで禁漁していたんです。そこで青年部で養殖試験を実施し、飼育観察して、エビの生態を知ろうとしたんです。親たちが青年部の活動を見て、エビ資源に対する意識が変わり、母エビの移殖放流、船曳きからカゴ漁業へ転換をしました。こうした努力が実り、資源が回復傾向となり、平成6年からエビ漁解禁となったんです。またコマイ、クロカレイ、チカのふ化放流や河川の水質調査を実施し汚染状況の点検をしています。イベントとしでコープ札幌でホッキ、アサリ、カキの販売を婦人部と協力して行っています。

漁協青年部活動について考えていることは?
課題は流通加工ですね。最近は水産物が安く本当に困っています。水産物は農産物に比べ規制も少なく、輸入物も非常に多くなっている。私たちでできること、例えば鮮度保持、活魚等対応を考えなければ生き残れないですね・・・・。

漁業士活動の抱負は?
根室支庁管内の漁業士会では、これまで視察旅行や研修会を実施しています。最近では根室地区水産指導所の仕事内容を聞いたりして交流を深めています。今年から漁業士会の事務局長になったんでアイデアを出して盛り上げたいと思っているんです。

浜の漁業振興について考えていることは?
漁協の近くには風蓮湖や温根沼等自然に親しめる場所もあるめで、消費者に潮回りのいい春から夏にかけて、アサリの潮干狩りで楽しんでもらいたいですね。漁協ではマリンメイト(員外対象)に6月に感謝の意味でアサリ掘りを実施しています。「朝市」なんかも定期的にやれればいいですね。とにかく消費者に開かれた漁協にしたいと思っているんです。

今最も関心のあることは何ですか?
くんせいトバ(商品名くん太郎)を平成2年頃から手がけているんですよ。きっかけは、たまたま水産指導所へ行ったら、金枝所長(現十勝地区水産指導所)が自家用に造ったくんせいトバが大変おいしかったので、自分でもやってみたいと思って指導してもらったのが始まりなんです。ここ2?3年倍々に生産量を増やすことができ、昨年は7,000袋(1袋60グラム入れ)造ることができたんです。今年は10,000袋の予定です。「くん太郎」のセールスポイントは(1)完全手造り(2)漁師の味(3)天然寒干し(4)スモーク(5)保存料なし。くんせいトバを冬場の手仕事として定着させたいと思っていますので、よろしくお願いします。

【間い合わせ先】
〒087根室市東梅136  電話(01582)5-3142番

漁業後継者のリーダーとして今後の御活躍を祈っています。本日はどうもありがとうございました。

【インタビューを終わって】
腕が太く、不精ひげをはやし、黒く日に焼けた顔が海の男を感じさせます。やさしい目、誠実で素直な人柄は、同行した根室地区水産指導所の青柳専門普及員も絶賛しているところです。根室を町ぐるみで活性化させたいと夢をふくらませる鈴木さんに期待したいものです。
(釧路水試水産業専門技術員)