水産研究本部

試験研究は今 No.527「稚内水産試験場への視察見学について」(2004年7月23日)

稚内水産試験場への視察見学について

  北海道も過ごしやすい季節となり、皆さんも行楽などで外に出る機会も多くなっていることと思います。 ここ、稚内も相変わらず風が強いものの、気温は20度を超えるなど、初夏から夏への様相を呈してきており、スポーツ大会や自然観察会など、様々なイベントが開催されております。

  このような中、稚内水産試験場を訪れる人も多くなり、先月6月には、市内PTAなど3団体からの視察見学がありました。

(稚内水産試験場の視察・見学者の推移)

稚内水産試験場での年間視察、見学者の推移を見ますと、新しい庁舎が完成した平成10年に416人、翌11年には一般公開を行ったこともあり、最高の1,697人を数えましたが、この年以降減少の一途をたどり、平成15年度には123人となっています。(図1)

(図1 稚内水産試験場見学者数)
年度 H10 H11 H12 H13 H14 H15
管内 260 1,447 129 196 121 86
道内 155 200 114 135 57 16
道外 0 41 92 9 7 18
その他 1 9 2 2 3 3
416 1,697 337 342 188 123
グラフ
(稚内水産試験場業務報告書)
  視察・見学者の内訳を見ますと、管内、道内外とも軒並み右肩下がりに減少していますが、その中でも管内からの視察見学者が大きく減少しています。

  庁舎完成当初は、管内関係市町村、漁協、漁業者はもとより、小学校や中学校、高校などから数多くの視察・見学があったようですが、残念ながら水族館や遊園地などのレジャー施設のようにリピーターが確保できるような施設ではなく、一度訪れたあとまた足を運んでみようと思う人もなかなか現れないのが現状のようです。

  ただ、学校については時の経過と共に、新しい生徒が入学してきますので、新規視察、来場者を確保するためには心強い味方であり、広く水産試験場の役割、活動を知って頂くためにも、今後、学校等教育機関に対し、視察・見学の働きかけを行っていくことが必要かと考えます。

見学者への説明

  さて、見学者への説明ですが、私自身、今年4月に赴任したばかりで、稚内水産試験場がどのような研究・調査を行っているか把握しておらず、また、水産生物の生態などについても詳しくなく、なにを話してよいか見当もつきませんでした。

  幸いにして、前任者からの引き継ぎ書類の中に、施設の概要や、取り組んでいる研究内容について書かれた書類(見学者案内マニュアル)がありましたので、それを参考に、視察の順路を設定し、説明内容を考え、また、研究部に耳石等試料の準備や電子顕微鏡の操作方法を教えてもらうなど協力いただき、なんとか見学者に対し説明している状況です。

  大体の説明内容ですが、まず、入り口ギャラリーにおいて、施設の沿革、組織、道の取り組む資源管理型漁業や造り育てる栽培漁業について説明し、電子顕微鏡や資源実験室などを回りながら施設、研究の説明、最後に水槽にて飼育している魚などの説明を行うというパターンで実施しています。

  なお、組織実験室や遺伝解析室など、説明が困難と思われるところは、細かく説明することなく通り過ぎていますが、今後、このような施設についても説明できるようにしパターンを増やしていきたいと思 います。

見学者からの反応

  この度、見学に来られた方々には、「今度はお子様連れで来場してください」と声をかけていますが、残念ながら再訪者はいない状況であります。

  しかし、うれしいことに、ある団体から見学に対しての感想をつづった手紙が送られてきました。

  その感想を読んでみますと、見学にくるまではなにをしているのかわからない未知の建物であったとのことですが、普段食している魚などの資源量、資源動向などの研究や資源を増やすことについての研究を行っていること、また、魚に耳石というものがあり綺麗な輪紋があること、その輪紋を読むことで年齢を割り出しているということに大変興味を持ったことなどが書かれてあり、最後に「水産試験場の研究成果が、美味しく豊かな食生活につながると思うと自然に口がほころんでしまいました。」と結んでありました。

  私自身、あまり上手な説明はできていないと感じていますが、この感想文をいただいたことを励みに、今後とも水産試験場業務の広報活動に取り組んで行こうと決意を新たにしたところであります。
(稚内水産試験場 企画総務部 今)