津軽海峡西方で蛇行

対馬暖流は津軽海峡西方海域と茂津多岬西方で沖（西方）へ蛇行しています。積丹半島西方には暖水渦（100m層7℃以上）があり、この暖水渦の岸側（東側）の石狩湾湾口部と岩内湾西方沖では水温が低く、岩内湾西方沖では冷水渦（100m層5℃以下）となって見えています。茂津多岬西方沖を北上する4月の対馬暖流の北上流量は平年に比べて非常に多くなっています。水温偏差についてみると（水温偏差表参照）、天売・焼尻島西方の44-30N観測線より南では水温の高いところが多く、対馬暖流の蛇行しているところや暖水渦付近で高水温が顕著となっています。
余市における3月下旬以降5月上旬までの沿岸水温（旬平均）は、3月下旬から4月下旬まで「やや高い」から「平年並み」で推移しましたが、5月上旬に「やや低い」となっています。

親潮順調

40-30N、146-00Eを中心に暖水塊があります（100m層で8℃以上）。一方道東沿岸は親潮に広くおおわれ（100m層2℃以下）、親潮の一部は襟裳岬南方沖から暖水塊と津軽暖流の間を東北沿岸へ南下しています。また、50m層では2℃以下の沿岸親潮（*1）が襟裳岬を越えて西へ広がっています。水温偏差について見ると、暖水塊の海域を除き平年より低いところが多くなっていますが、平年値に近く、ほぼ平年並みの水温となっています。

津軽暖流の分離暖水塊

津軽暖流は沿岸モード（*2）になっています。41-20N、143-00E付近では100層で7℃以上と、津軽暖流の渦モード（*2）起源の暖水が前回（2月）に引き続き見えています。50m層では水温2℃以下の沿岸親潮（*1）が襟裳岬沖から苫小牧沖まで達しています。噴火湾中央部では50m層で3℃台と前回（2月）より低温低塩化し、沿岸親潮（*1）が流入したようです。水温偏差についてみると白老沖観測線では平年より高いところが多くなっています。

宗谷暖流いまだ潜流

50m層では雄武沖まで3℃以上となっていますが、表面水温では0℃台のところが多く見られ、宗谷暖流はまだ大部分が潜流となっているようです。水温偏差についてみると、平年並みのところが多くなっています。

＊1：オホーツク海の海氷の融氷水を含む親潮として特に沿岸親潮という名前が付けられています。
＊2：津軽暖流が津軽海峡から襟裳岬まで大きく張り出してから南下している状態を「渦モード」と呼びます。これに対して，津軽暖流が青森県尻屋埼からすぐ岸沿いに三陸方面へ南下している状態を，津軽暖流の「沿岸モード」と呼んでいます。