海況速報(2014年10月)
平成26年10月21日
北海道立総合研究機構 水産研究本部
9月中旬~10月上旬の海況
海域別情報
日本海海域
松前および宗谷海峡の西方沖では,沖合冷水が本道側へ張り出しています(指標:100m層水温4℃以下)。また,積丹半島,せたなの西方沖には暖水渦(指標:100m層水温9℃以上)があります。このため,対馬暖流(指標:100m層水温6℃以上)は,檜山沖では沿岸寄りを流れていますが,せたな沖から離岸し,暖水渦の西方を流れる蛇行した流路になっています。また,対馬暖流は,石狩湾以北では,本道のやや沖側(東経140度)を北上しています。
対馬暖流の流量はほぼ例年並になっています。
水温は,表面のほぼ全海域で例年よりも高くなっています。特に北緯44度以北では,観測時期が2週間ほど早いためか,表面水温は例年よりも3~4℃高くなっています(水温偏差表参照)。一方,表面よりも下層の水温は,50m~100m層で変化が大きくなっており,暖水渦の分布するせたな沖では例年よりも3~4℃高くなっていますが,沖合冷水が張り出す宗谷海峡西方沖,松前沖および石狩湾湾口部では例年よりも2~4℃低くなっています(水温偏差表参照)。
余市における旬平均水温は,9月中は「平年並み」で推移しましたが,10月からは例年よりも低く,10月中旬では「かなり低い」になっています。
道東太平洋海域
道東沿岸では,道東沿岸流(*1)が流れており(指標:50m層水温10℃以上),その沖合では,親潮(指標:100m層水温5℃以下)が道東海域を広く覆っています。また,根室半島沖の北緯41度30分~北緯42度30分,東経146度の海域では,黒潮系北上暖水(指標:50m層水温10℃以上)がみられます。
水温は,表面で例年よりも2℃以上高い海域が広くみられます(水温偏差表参照)。また,黒潮系北上暖水の分布する海域では,水温は例年よりも2~8℃高くなっています(水温偏差表参照)。
道南太平洋海域
津軽暖流(指標:100m層水温10℃以上)は渦モード(*2)です。
水温は,例年よりも高い海域が広くみられます。特に,暖流が張り出す浦河沖では,水温は4~5℃高くなっています(水温偏差表参照)。
オホーツク海海域
宗谷暖流(指標:50m層水温7℃以上)がオホーツク沿岸を順調に流れています。
水温は,表面のほぼ全海域で,例年よりも2~4℃高くなっています(水温偏差表参照)。
資料
資料 | 観測期間 | 観測海域 |
---|---|---|
稚内水試(北洋丸) | 2014年9月16日~9月17日 | 道北日本海海域 |
稚内水試(北洋丸) | 2014年9月22日~9月24日 | オホーツク海海域 |
釧路水試(北辰丸) | 2014年10月8日~10月10日 | 道東太平洋海域 |
函館水試(金星丸) | 2014年9月26日~9月30日 | 道西道南日本海海域 |
函館水試(金星丸) | 2014年10月8日~10月10日 | 道南太平洋海域 |
*1:夏~秋季に道東沿岸を流れるオホーツク海起源の沿岸流を道東沿岸流と呼んでいます。
*2:津軽暖流が津軽海峡から襟裳岬まで大きく張り出してから南下している状態を「渦モード」と呼びます。これに対して,津軽暖流が青森県尻屋埼からすぐ岸沿いに三陸方面へ南下している状態を,津軽暖流の「沿岸モード」と呼んでいます。
水温平面分布図
表面水温
50m層水温
100m層水温
200m層水温
PDF版
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